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国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

SSFシンポジウム スポーツからの暴力の根絶

2.スポーツからの暴力根絶

まずひとつめに「スポーツからの暴力の根絶」についてです。皆様方ご承知のように、近年、スポーツ団体の不祥事が頻発しております。たとえば、本年1月には、全日本柔道連盟の女子代表選手15名が、スポーツ指導中の暴力行為を理由にJOCに訴え出ました。調査の結果、代表チーム監督による暴力行為や暴言があったこと等が判明しております。また、昨年末には、大阪市立桜宮高校で運動部活動中の体罰を背景とし、生徒が自殺したという痛ましい事案が明らかになりました。

このスポーツにおける暴力について、ある体育大学の学生に行われた調査では、体罰を容認する趣旨の回答をした者の割合は40%となっております。このことは「スポーツにおける暴力は許されない」という考え方が、わが国ではまだ浸透しきっていないということであり、意識改革が必要と考えます。

さらに、こうした暴力事案のほかにも、スポーツ振興に係る助成金について、その趣旨を潜脱するような不適切な行為が一部のスポーツ団体によりなされていたことが明らかになっております。こうした一部のスポーツ団体における不祥事は、スポーツ団体全体に対する国民の信頼を失わせる可能性があり、「スポーツ団体の判断や説明には大きな社会的責任が伴う」ということを踏まえた対処が課題となっております。

私も、女子柔道の指導者による暴力事案をわが国の「スポーツ史上最大の危機」と捉え、本年2月にメッセージを公表しました。その中では、「スポーツ指導から暴力を一掃することについて、全ての人々が意識を共有することが重要」との問題意識の下、スポーツ指導者の養成・研修のありかたの改善や、スポーツ団体におけるガバナンス・コンプライアンスの確立が重要であることを強く訴えました。

先のメッセージでも述べておりますが、暴力事案があった後の対応に止まらず、そもそも暴力が起きないようにするためには、スポーツ指導者の資質能力の向上が必要です。そのため、暴力によるのではなく、コーチング等のスポーツ医・科学に立脚した「新しい時代にふさわしいスポーツの指導法」を検討すべく、本年4月、福井文部科学副大臣の下に「スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議(タスクフォース)」を設置しました。これまで会議を4回開催して、元プロ野球選手の桑田さんなどからご意見をいただきました。ちょうどこの時間、本日開催の第5回会議で報告書の取りまとめについて議論が行われている最中です。この会議は、スポーツ指導における暴力行使の事案をきっかけとして設置したものですが、暴力根絶のみならず、新しい時代のコーチング及びコーチの実現に向けてどのような方策が必要かという観点から議論が行われており、近日中には報告書が取りまとめられる予定です。