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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツライフ・データ 2020

週1回以上の運動・スポーツ実施率は、調査開始以来最高の59.5%
スポーツライフ・データ2020

笹川スポーツ財団では、2020年8月から9月にかけて「スポーツライフに関する調査」を、全国18歳以上の男女3,000人を対象に実施しました。本調査は、1992年から2年ごとに実施している全国調査で、今回で15回目(2014年までは20歳以上、2016年以降は18歳以上を調査対象としている)。 過去28年分のわが国成人のスポーツライフの動向を把握することが可能です。最新の結果の中からポイントをご紹介します。

 1992年に開始した隔年実施の本調査は、今回の2020年調査で15回目となる。今回は「みる」「ささえる」の数値が前回調査から大幅に減少したものの、「する」では上昇傾向が認められた。週1回以上の運動・スポーツ実施率は59.5%(前回比:1.6ポイント増)、週2回以上は49.9%(前回比:2.1ポイント増)となり、ともに調査開始以来の最高値を記録した。

 背景としては、健康増進の時流に乗ったこれまでの上昇傾向に加えて、コロナ禍で身近な場所や一人でもできる運動・スポーツがより支持された点が指摘できる。一方で、チームスポーツの実施率は伸び悩み、施設利用の制限等の影響を受けた種目もみられる。運動量のみならず、質の観点からもスポーツライフの豊かさをどのように担保するかが今後の課題といえる。今後はスポーツ実施率とともに日常の身体活動の動向にも着目し、人々が長くアクティブに生きられる社会の実現に資する資料を提供したい。

【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策オフィサー 宮本幸子


主な調査結果

1. 週1回以上の運動・スポーツ実施率が、調査開始以来最高の59.5%を記録。

■週1回以上の運動・スポーツ実施率

1992年の23.7%から漸増を続けていたが、2012年の59.1%をピークに2016年までわずかに減少傾向へと転じ、定常状態となっていた。2018年に再び上昇し、今回の2020年調査では59.5%となり、2018年を1.6ポイント上回るとともに、過去15回の調査において最も高い運動・スポーツ実施率となった。

■アクティブ・スポーツ人口

週2回以上、実施時間1回30分以上、運動強度「ややきつい以上」という3つの条件をクリアしている運動・スポーツ実施者の割合を「アクティブ・スポーツ人口」と定義し、その割合を追跡している。2020 年調査のアクティブ・スポーツ人口の割合は22.1%であり、2018 年に続き最高値を更新した。

■年1回以上の運動・スポーツ実施率

1992年には50.9%と半数をわずかに超える程度であったが、2000年には70.7%に上昇した。その後、2006 年までは60%台から70%台の範囲を行き来する状態が続いたが、2008年以降は70%台での横ばい状態が続いている。今回の2020年調査では73.3%となり、前回調査から0.7ポイント減少したが、年1 回以上の運動・スポーツ実施率の大きな変化はみられない。

2. 18, 19歳および20歳代において種目別運動・スポーツ実施率が大きく変動、「筋力トレーニング」「散歩」「ウォーキング」において大幅な増加。

■年代別・週1回以上の種目別運動・スポーツ実施率

年代別にみた週1回以上の種目別運動・スポーツ実施率は、18・19 歳と20 歳代では「筋力トレーニング」が最も高く、18・19 歳29.2%、20 歳代23.6%であった。30 歳代と40 歳代では「散歩(ぶらぶら歩き)」の実施率が最も高く、30 歳代 22.1%、40 歳代18.1%であった。50 歳代以降は「ウォーキング」が最も高く、50歳代21.9%、60歳代26.6%、70歳以上34.2%であった。

■前回2018年調査との比較

2018年調査時と比べると、18・19歳の「筋力トレーニング」14.1%から29.2%、「散歩(ぶらぶら歩き)」8.5%から18.1%と大きく実施率が増加した。20歳代の「筋力トレーニング」も11.8%から23.6%と、10ポイント以上の増加となった。新型コロナウイルス感染症の流行により、特定の施設を必要とせず一人で行える種目の実施率が増加したと考えられる。18・19歳や20歳代以外の年代ではこのような実施率の大きな変動はみられず、普段から「散歩(ぶらぶら歩き)」「ウォーキング」「筋力トレーニング」「体操(軽い体操、ラジオ体操など)」といったエクササイズ種目を実施していたためであると推察される。

【図表2】週1回以上の種目別運動・スポーツ実施率(年代別:複数回答)
18・19歳(n=72) 20歳代(n=377) 30歳代(n=458) 40歳代(n=591)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
1 筋力トレーニング 29.2 1 筋力トレーニング 23.6 1 散歩(ぶらぶら歩き) 22.1 1 散歩(ぶらぶら歩き) 18.1
2 散歩(ぶらぶら歩き) 18.1 2 散歩(ぶらぶら歩き) 12.2 2 筋力トレーニング 16.2 2 ウォーキング 15.4
3 ジョギング・ランニング 12.5 3 ウォーキング 10.9 3 ウォーキング 11.1 3 筋力トレーニング 10.7
4 ウォーキング 8.3 4 ジョギング・ランニング 9.5 4 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 9.8 4 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 10.0
サッカー 8.3 5 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 6.1 5 ジョギング・ランニング 6.6 5 ジョギング・ランニング 7.1
体操(軽い体操、ラジオ体操など) 8.3 6 サッカー 2.9 6 なわとび 3.3 6 サイクリング 3.7
7 スケートボード 6.9 7 サイクリング 2.7 7 サイクリング 2.8 7 ヨーガ 2.7
8 バレーボール 5.6 ヨーガ 2.7 8 バレーボール 2.4 8 なわとび 1.9
9 キャッチボール 4.2 9 バスケットボール 1.9 9 ヨーガ 2.0 9 バレーボール 1.7
野球 4.2 バドミントン 1.9 10 サッカー 1.7 10 キャッチボール 1.5
釣り 1.7
50歳代(n=503) 60歳代(n=522) 70歳以上(n=477)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
順位 実施種目 実施率
(%)
1 ウォーキング 21.9 1 ウォーキング 26.6 1 ウォーキング 34.2
2 散歩(ぶらぶら歩き) 20.7 2 散歩(ぶらぶら歩き) 22.8 2 散歩(ぶらぶら歩き) 27.7
3 筋力トレーニング 14.1 3 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 17.0 3 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 24.3
4 体操(軽い体操、ラジオ体操など) 13.1 4 筋力トレーニング 8.6 4 筋力トレーニング 10.5
5 ジョギング・ランニング 7.6 5 ゴルフ(練習場) 3.6 5 水泳 3.8
6 ヨーガ 4.0 6 水泳 2.5 6 卓球 2.5
7 サイクリング 3.4 7 ジョギング・ランニング 2.1 7 アクアエクササイズ(水中歩行・運動など) 2.3
8 ゴルフ(練習場) 2.8 ヨーガ 2.1 グラウンドゴルフ 2.3
9 エアロビックダンス 2.2 9 サイクリング 1.7 9 太極拳 2.1
10 水泳 1.6 10 エアロビックダンス 1.5 ヨーガ 2.1

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2020

3. 直接スポーツ観戦率の上位10種目すべて、2018年と比較し観戦率が低下。

回答者全体において直接スポーツ観戦率が高かった上位10種目を取り出し、推計観戦人口、観戦回数、推計動員数を算出した。

■種目別直接スポーツ観戦率・推計観戦人口

1位の「プロ野球(NPB)」の観戦率は9.6%、推計観戦人口は1,015 万人となる。2位から5位は「Jリーグ(J1、J2、J3)」3.3%、「高校野球」2.8%、「マラソン・駅伝」1.6%、「サッカー(高校、大学、JFLなど)」1.4%であった。6位以降には「バスケットボール(高校、大学、WJBLなど)」1.0%や「プロバスケットボール(Bリーグ)」1.0%、「バレーボール(高校、大学、Vリーグ)」0.8%などが入った。2018年と比較すると、いずれの種目も観戦率が低下している。

■種目別直接スポーツ観戦率・推計観戦人口

各種目の観戦者における観戦回数の平均値を算出した後に推計観戦人口を乗じ、延べ観戦者数である推計動員数を算出した。観戦回数が最も多い「サッカー(高校、大学、JFLなど)」6.51 回を筆頭に、次いで「バスケットボール(高校、大学、WJBLなど)」5.83回、「高校野球」2.94回、「Jリーグ(J1、J2、J3)」2.85回と続く。推計動員数は「プロ野球(NPB)」2,517 万人、「Jリーグ(J1、J2、J3)」995 万人、「サッカー(高校、大学、JFLなど)」963 万人を算定した。

【図表3】種目別直接スポーツ観戦状況(複数回答)
順位 観戦種目 2020年(n=3,000) 2018年(n=3,000)
観戦率
(%)

推計観戦人口
(万人)

観戦回数
(回/年)

推計動員数
(①×②)
(万人)
観戦率
(%)

推計観戦人口
(万人)

観戦回数
(回/年)

推計動員数
(④×⑤)
(万人)
1 プロ野球(NPB) 9.6 1,015 2.48 2,517 13.7 1,453 2.09 3,037
2 Jリーグ(J1、J2、J3) 3.3 349 2.85 995 5.5 583 2.82 1,644
3 高校野球 2.8 296 2.94 870 5.8 615 3.03 1,863
4 マラソン・駅伝 1.6 169 1.28 216 3.8 403 1.34 540
5 サッカー(高校、大学、JFLなど) 1.4 148 6.51 963 1.9 202 7.14 1,442
6 バスケットボール(高校、大学、WJBLなど) 1.0 106 5.83 618 1.5 159 3.38 537
プロバスケットボール(Bリーグ) 1.0 106 2.21 234 1.7 180 1.65 297
8 アマチュア野球(大学、社会人など) 0.8 85 1.67 142 1.6 170 3.37 573
バレーボール(高校、大学、Vリーグなど) 0.8 85 2.78 236 1.1 120 3.26 391
10 大相撲 0.7 74 1.20 89 1.5 159 1.36 216
ラグビー(高校、大学、トップリーグなど) 0.7 74 2.38 176 1.0 106 3.14 333

注1)2020年の推計観戦人口:18歳以上人口(20歳以上は2019年1月1日時点の住民基本台帳人口、18・19歳は同時点の住民基本台帳人口のうち、15~19歳の人口に2015年の国勢調査から得られた18歳および19歳の人口割合を乗じて得られた推計値を利用した)の105,750,654人に観戦率を乗じて算出。

注2)2018年の推計観戦人口:18歳以上人口(20歳以上は2017年1月1日時点の住民基本台帳人口、18・19歳は同時点の住民基本台帳人口のうち、15~19歳の人口に2015年の国勢調査から得られた18歳および19歳の人口割合を乗じて得られた推計値を利用した)の106,056,838人に観戦率を乗じて算出。

注3)「ラグビー(高校、大学、トップリーグなど)」の2018年は「ラグビー」の値。

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2020

4. スポーツボランティア実施者の割合は5.3%、調査開始以来最低の数値に。

2020年調査における、過去1年間にスポーツボランティアを行った者の割合は5.3%で、スポーツボランティア実施状況の調査を始めた1994年以降、最低であった。新型コロナウイルス感染症流行によるスポーツボランティアの活動機会の減少が、スポーツボランティア実施率の減少をもたらしたと予想される。

スポーツライフに関する調査2020 概要

調査対象
全国の市区町村に居住する満18歳以上の男女3,000人(男性:1,493人、女性1,507人)
  1. 地点数:300地点(大都市89地点、人口10万人以上の市122地点、人口10万人未満の市64地点、町村25地点)
調査時期
2020年8月28日~9月23日
調査内容
  1. 運動・スポーツ実施状況:
    過去1年間に1回以上実施した種目、過去1年間でよく行った主な5 種目、実施頻度、実施時間、運動強度、同伴者、実施日、今後行いたい運動・スポーツ種目、今後最も行いたい運動・スポーツ種目、直近1ヶ月間の運動・スポーツへの取り組み
  2. 運動・スポーツ施設:
    利用施設・場所、施設のタイプ
  3. スポーツクラブ・同好会・チーム:
     加入状況、加入しているスポーツクラブ・同好会・チームの種類、加入希望、加入を希望するスポーツクラブ・同好会・チームの種類
  4. スポーツ観戦:
    直接スポーツ観戦、直接スポーツ観戦種目、直接スポーツ観戦頻度、今後直接観戦したいスポーツ種目、テレビ観戦、テレビ観戦種目、今後テレビで観戦したいスポーツ種目、インターネット観戦、インターネット観戦種目、今後インターネットで観戦したいスポーツ種目、好きなスポーツ選手(種目名含む)、eスポーツの認知度、eスポーツの参加・観戦経験
  5. スポーツボランティア:
    スポーツボランティア活動、活動内容、活動頻度、活動希望、希望する活動内容
  6. 日常生活における身体活動:
    仕事中の強度の高い身体活動、仕事中の中程度の強さの身体活動、移動のための徒歩・自転車の利用、余暇時間の強度の高いスポーツ・運動等、余暇時間の中程度の強さのスポーツ・運動等、各身体活動の1 週間あたりの実施日数、各身体活動の1日あたりの実施時間、座位時間
  7. 生活習慣・健康:
     朝食の摂取、平日・休日の就寝時刻・起床時刻、睡眠、体力の主観的評価、主観的健康感、平日・休日のメディア利用時間、1日における仕事や学業・家事の時間と自由時間、自由時間に行っている活動と行いたい活動
  8. 個人的属性:
    年齢、性別、身長、体重、婚姻、家族構成、住居の形態、職業、最終学歴、世帯年収
  9. 自由記述:
    スポーツへの思い、スポーツの普及や発展に関する意見

『スポーツライフ・データ2020』

仕様
A4判/204ページ
価格
定価 3,300円(本体 3,000円+税 10%)
発行
2020年12月31日

SSFスポーツライフ調査委員会

委員長
海老原 修(横浜国立大学 教育学部 教授)
委員
大勝 志津穂(愛知東邦大学 人間健康学部 教授)
澤井 和彦(明治大学 商学部 准教授)
鈴木 宏哉(順天堂大学 スポーツ健康科学部 先任准教授)
高峰 修(明治大学 政治経済学部 教授)
堤 裕美(上田女子短期大学 幼児教育学科 専任講師)
野井 真吾(日本体育大学 体育学部 教授)
中島 光(笹川スポーツ財団 常務理事)     (所属・肩書は刊行時)
データの使用申請

最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。

活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2020年度

担当研究者