日本にスポーツボランティア文化が根付くために
スポーツには「する」「みる」「ささえる」の3つの関わり方があると言われています。そのうちの「ささえる」がスポーツボランティアとして捉えられ、その活動は多岐にわたります。スポーツボランティアはオリンピックなどの国際イベントから地域スポーツ大会まで、スポーツイベントの成功に必要不可欠な存在です。
スポーツには「する」「みる」「ささえる」の3つの関わり方があると言われています。そのうちの「ささえる」がスポーツボランティアとして捉えられ、その活動は多岐にわたります。スポーツボランティアはオリンピックなどの国際イベントから地域スポーツ大会まで、スポーツイベントの成功に必要不可欠な存在です。
スポーツボランティアは、イベントの受付や案内、給水などの運営支援をイメージされる方が多いと思いますが、私たちの身近なところでもスポーツボランティアは行われています。地域スポーツの指導や審判、選手や用具の運転・運搬などです。また、アスリートが子どもたちの指導を行ったり地域イベント参加などの活動もあります。スポーツ大会やイベントの現場を支え、感動の瞬間を共有できるのが、スポーツボランティアの魅力です。
笹川スポーツ財団では、スポーツボランティアの参加状況や環境など詳細の実態調査を行い、現状と課題を把握し、さまざまな視点で調査・分析を行います。研究成果は、団体や自治体、イベント主催者などにデータを共有し、日本にスポーツボランティア文化が根付くことを目指します。
東京2020大会言語サービスチームとオリンピック放送機構のメンバー
ボランティアの語源は、ラテン語の voluntas (ウォランタス)であり、自由意志や自主性を意味しています。2000年に文部省(現・文部科学省)「スポーツにおけるボランティア活動の実態等に関する調査研究協力者会議」において、下記の通りスポーツボランティアを定義しました。
国のスポーツ基本計画でもスポーツボランティアの重要性が記載されています。競技団体、イベント主催者、地方自治体がスポーツボランティアの参画環境を整えていく必要性があります。
地域におけるスポーツクラブやスポーツ団体において、報酬を目的としないで、クラブ・団体の運営や指導活動を日常的に支えたり、また、国際競技大会や地域スポーツ大会などにおいて、専門的能力や時間などを進んで提供し、大会の運営を支える人のこと
SSFの調査結果(2019)で過去1年間のスポーツボランティア実施状況をみると、過去1年間にスポーツボランティア活動を「行った」者(スポーツボランティア実施者)は 5.5%、「以前に行ったことがあるが、過去1年間は行っていない」者(スポーツボランティア過去経験者)は 9.8%、「これまでに行ったことはない」者(スポーツボランティア未経験者)は 84.8%となっている。
SSFの調査結果(2018)では、スポーツボランティアの活動内容で多いのは、「【地域のスポーツイベント】大会・イベントの運営や世話」(39.3%)、「【日常的な活動】スポーツの指導」(29.3%)などとなっています。
年間の平均実施回数は「【日常的な活動】スポーツの指導」が20.5回と最も多く、「【地域のスポーツイベント】大会・イベントの運営や世話」は3.3回。スポーツ指導や団体運営など、地域の日常的なスポーツ活動をささえるボランティアに加えて、スポーツイベントの運営に多くのボランティアが関わっていることがわかります。
ボランティア活動の内容 | スポーツボランティア実施者 | |
---|---|---|
過去1年間に 行った活動 |
平均実施回数 | |
N=532 | ||
【日常的な活動】スポーツの指導 | 29.3% | 20.5回 |
【日常的な活動】スポーツの審判 | 17.9% | 10.1回 |
【日常的な活動】団体・クラブの運営や世話 | 25.0% | 15.7回 |
【日常的な活動】スポーツ施設の管理の手伝い | 18.6% | 5.8回 |
【地域のスポーツイベント】スポーツの審判 | 12.2% | 5.9回 |
【地域のスポーツイベント】大会・イベントの運営や世話 | 39.3% | 3.3回 |
【全国・国際的スポーツイベント】スポーツの審判 | 1.7% | 5.2回 |
【全国・国際的スポーツイベント】大会・イベントの運営や世話 | 13.3% | 1.7回 |
その他 | 1.1% | 6.3回 |
「スポーツにおけるボランティア活動活性化のための調査研究」の結果を踏まえて、スポーツイベントに特化し、スポーツボランティアの運営者向けの運営ガイドブックも併せて作成しました。
そもそもスポーツボランティアとはなにか?なぜスポーツボランティアが必要か?募集から活動終了までのボランティア運営の流れやボランティアやリーダーの養成、ボランティア運営上の留意点などをわかりやすく解説しています。是非ご活用ください。
SSFは、日本スポーツ協会(JSPO)、日本スポーツボランティアネットワーク(JSVN)との3者連携を2019年に締結しました。スポーツボランティア活動に参加する人と場の拡充を図りスポーツボランティア文化の醸成を目指します。
ラグビーW杯、東京オリンピック・パラリンピックをはじめとした大規模スポーツイベントなどで、スポーツボランティアの存在感は高まりました。ボランティアを経験し「継続してボランティアを行いたい」という実施意欲が高い経験者、「ボランティアに興味がでてきた」という希望者が国内でスポーツボランティアを行うために、活躍の場を提供する取り組みです。
JSPOからスポーツ団体主催者を、JSVNからスポーツボランティア研修会を、SSFからはスポーツボランティの調査結果を提供し、さまざまな視点でスポーツボランティアに携われる機会を届けてまいります。
日本財団ボランティアセンターが運営するボランティアプラットフォーム「ぼ活!」。国際スポーツ大会や大規模イベント、あるいは国内外での宿泊型ボランティアなどの募集情報に加え、英語や手話などボランティア活動以外にも役立つスキルを学ぶセミナー情報も満載。より充実したボランティアライフをサポートします。
東京2020大会のボランティアとして活躍された西川千春氏(前SSF特別研究員)による、ボランティアレポート。東京大会では、言語サービスのメンバーとして、選手が試合直後にインタビューを受けるミックスゾーンで、選手とメディアの通訳を行いました。
史上初めて南米で開催された2016年リオデジャネイロパラリンピック。開幕前には、治安や運営、施設・会場整備、現地市民の関心度などが不安視され、開催すら危ぶまれました。しかし、ふたを開けてみれば、課題は多々見られたものの、テロはもちろん大きなトラブルもなく大会は運営されました。
旧ソ連時代も含め、ロシアで初の開催となったパラリンピック大会。「バリアフリー都市から、バリアフリー国家へ」生まれ変わろうとしてる中、大幅にバリアフリー環境はかいぜんされています。この大会のボランティア平均年齢は25歳。新しい若いパワーが躍動した大会でもありました。