「あの日」から3年。
絶望から希望へ。風景が変わる。スポーツに励まされ、ほほ笑みが戻った。
石巻市の郊外にある石巻市総合運動公園である。その野球場のバックネット裏のスタンドの一番上に立てば、青空の下、遠くには市街地の建物をぼんやり見ることができた。改修中のバックスクリーンの先の小高い山の陰あたりが、津波にのまれた門脇・南浜地区。
「震災の夜、(球場の)本部席からみたら、ぼわーっと明るい火の手が上がって、ぜんぶ焼け野原になったんですよ」。
ビュービューと強い北風を受けながら、白髪の黒澤慶栄さんは辛い記憶をたどる。石巻市教育委員会体育振興課の総合運動公園管理事務所の副所長。
59歳は少し表情をやわらげた。「なんというのでしょう。あれから3年。重機とかトラックが動いているのを見ると、復興に向けて徐々に徐々にという感じがしますね」