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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

青少年のスポーツボランティア実施率の変化

青少年のスポーツ「する・みる・ささえる」からみる10年間の変遷③

2024年2月22日 

青少年のスポーツボランティア実施率の変化

 前回のコラムでは、「みる」スポーツをテーマに、20112021年の10年間における青少年の直接スポーツ観戦率の変化を分析した。その結果、この10年間で青少年のスポーツ観戦率は低下傾向にあり、特にコロナ禍の影響を受けた20192021年の2年間では大きく低下した。また、観戦率の男女差は全体的に拡大傾向にあることが示された。

 今回は、「ささえる」スポーツに関わる青少年の実態として、過去10年間のスポーツボランティア実施率の変化について分析した。

コラム① 青少年のスポーツ参加状況の変化  

コラム② 青少年の直接スポーツ観戦率の変化

コラム③ 青少年のスポーツボランティア実施率の変化 ←今回のコラム

コラム④ 青少年の「する・みる・ささえる」スポーツ参加状況の変化(3月公開予定)
-単一化するスポーツとの関わり、進む女子のスポーツ離れ-

1.12~19歳の青少年におけるスポーツボランティア実施率の推移

 スポーツボランティアとは、報酬を目的とせず自分の労力、技術、時間を提供して地域社会や個人・団体のスポーツ推進のために行う活動を意味する。その活動内容の多くは、スポーツの審判や指導・スポーツイベントの手伝いなどである。

 図1に1219歳におけるスポーツボランティア実施率の過去10年間(20112021年)の推移を示した。2015年の16.8%がピークとなり、その後201714.2%201913.9%と緩やかに低下の傾向を示していた。そして、2021年には10.0%となり、2019年から3.9ポイント低下した。2019年から2021年にかけての実施率の変化は、他の調査年よりも低下の幅が大きい。この要因として、スポーツ観戦率の減少(コラム②参照)と同様、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により運動部活動や地域のスポーツ活動、スポーツイベントが大幅に制限され、ボランティアの機会が減ったと考えられる。

 このように、過去10年間で青少年の「ささえる」スポーツへの関わりは全体的には減少している状況が読み取れる。

2.性別にみるスポーツボランティア実施率の推移

 図2に性別にみたスポーツボランティア実施率の推移を示した。男子では201120.6%から202113.8%と低下傾向を示している。女子では2011年の11.7%から2019年(12.4%)までは横ばい傾向にあったが、2021年には6.6%に低下した。全体の低下傾向と合わせて、男女ともにスポーツボランティアへの参加率が低下している状況が確認できる。

 また、男女差をみると、過去10年間一貫して男子のスポーツボランティア実施率の方が高い。また、2019年から2021年にかけて女子の減少率が大きく、2021年の実施率は女子が男子の半数程度となった。男子に比べて女子の方がコロナ禍による影響を大きく受けたといえる。このような結果から、スポーツボランティア活動への参加が、男女で異なる傾向を持っていると示唆される。

3.中学生~大学生のスポーツボランティア実施率の推移

 図3に性別・学校期別にみたスポーツボランティア実施率の推移を示した。男子では中学生は2011年の21.7%から2021年の16.0%へ、高校生は2011年の20.8%から2021年の15.6%へといずれも低下傾向を示している。大学生も変動が大きいものの、2011年の23.7%から2021年の4.5%と低下している。

 女子では、中学生は2011年の12.4%から2021年の6.3%へ、高校生は2011年の11.9%から20217.5%へと全体的には男子と同様に低下傾向にある。しかし、2011年からコロナ前の2019年までの8年間でみた場合、高校生は11.9%から15.3%と向上傾向にあった。

 スポーツボランティアを行っている高校生や大学生のうち、男子では45割程度、女子では56割程度がスポーツイベントの手伝いを行っている(笹川スポーツ財団,20172019)。2019年から2021年にかけて大学生男子は12.8ポイント、高校生女子は7.9ポイント低下しており、この年代はコロナ禍によるスポーツイベントの減少や制限などの影響を強く受けたと推察される。

4.まとめ

 過去10年間でスポーツボランティア活動に参加する青少年の割合は全体的には減少している状況が示された。特にコロナ禍の影響により、2021年の実施率は顕著に低下した。スポーツボランティア実施率の低下は、ひいては地域のスポーツ活動や運動部活動、スポーツイベントを将来ささえる人が減少することを意味する。コロナ禍によって中断されたスポーツボランティアの機会が今後さらに縮小してしまうことのないよう、今後は地域や教育機関、スポーツ団体によるスポーツボランティアの機会を意図的に増やす取り組みが望まれる。

 例えば、日本スポーツ少年団では、将来の指導者を育成することを目的に、小学5年生から大学生年代までを対象として地域で活動するクラブのメンバーのまとめ役や、指導者と協力してチームを育てていく役割などを担う「リーダー」を育成している。このようなリーダー制度を活用して、普段の活動や大会運営なども積極的に子どもや青少年たちに任せていくのもよいだろう。

 実際に、徳島県で活動する石井リーダースポーツ少年団では、中学生や高校生のリーダーを育成し、普段の活動では幼児や小学校低学年の子どもたちへの運動遊びの指導を任せている。このような現場での経験を積み重ね、中学生のリーダーが小学校の授業で運動遊びのプログラムを教えられるまでに活動の幅が広がっている。あわせて、スポーツ少年団の全国交流大会や四国地域の交流大会でも、会場アナウンスや開会式での誘導、水分補給の手伝いなど当日の運営を担うほか、大会で行うレクリエーション活動の内容も事前にリーダーたちが検討しており、積極的に様々な活動を行っている。

 石井リーダースポーツ少年団は、中学生になっても少年団活動を続けたいという子の受け皿として1992年に設立され、お手本となるお兄さん・お姉さんをみて「リーダー活動をしたい」という中学生が定期的に入団する。保護者もリーダー活動を勧めてくれるのだそうだ。代表の田中久美氏は、リーダー活動が自分自身の成長につながるのだということを、いつも中高生のリーダーたちに伝えているという。普段は静かに見守っているが、リーダーが困ったときは、いつでも周りの大人(指導者)がサポートできるような環境をつくっている。

 ボランティア活動は、青少年の責任感や共同体意識、リーダーシップやコミュニケーション能力などを育成する機会でもある。青少年や保護者に対してもスポーツボランティアのメリットや楽しさを伝え、彼らが参加しやすい方法や環境を検討していくことが大切である。

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活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
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