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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

運動・スポーツ実施率、コロナ禍前の水準には戻らず。国民の3割が過去1年間にまったく運動・スポーツをしていない結果に。

スポーツライフ・データ 2024
スポーツライフ・データ2022

 笹川スポーツ財団は、1992年から隔年で「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」を実施しています。全国の18歳以上を調査対象に、頻度・時間・運動強度からみた SSF独自の指標である「運動・スポーツ実施レベル」をはじめ、運動・スポーツ実施率やスポーツ観戦率、スポーツクラブ加入率、好きなスポーツ選手の推移など国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。
 このたび、最新の調査結果をまとめた「スポーツライフ・データ 2024」(調査期間:2024年6月~7月)を、3月28日に刊行いたしました(Amazonブックストアなどで発売中)。本調査は、新型コロナウイルス感染症が5類移行後、初の実施となります。ポストコロナ社会における「する・みる・ささえる」スポーツの現状は、コロナ禍前(2018年調査)の水準には戻り切っていない可能性があり、年1回以上の運動・スポーツ実施率は2006年以来の6割台に減少しました。

 今回の調査は2024年6~7月に実施された。新型コロナウイルス感染症5類移行後の過去1年間を振り返る質問を中心に、コロナ禍で実施された過去2回の調査を含む年次推移の把握が可能となった。
 「する」の主な指標である運動・スポーツ実施率(年1回以上)は7割を下回り、2022年からさらに減少した。コロナ禍以降、身近な場所で一人でも実施できるエクササイズ系種目(散歩、筋トレ等)の実施率は高く、実施場所も道路や自宅の利用率が高い。
 コロナ禍を経たスポーツライフの現状は、全体として大きな回復の兆しはみられていない。仕事や学校が通常の動きを取り戻したことによって家庭での生活を含め多くの人がより時間に追われ、「する・みる・ささえる」すべてにおいて関わる余裕がない可能性が高い。一方でコロナ禍を契機として、運動・スポーツに参画しやすい環境やサービスの拡充も進んでいる。それらを有効活用し、限られた時間の中で少しでも身体を動かしたり、観戦を楽しんだり、活動をサポートしたりすることで心身ともにより健やかな生活を送れる社会の実現に向けたターニングポイントとなり得る結果とみている。

【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策オフィサー 水野 陽介


【主な調査結果 詳細】

「する」スポーツ

■運動・スポーツ実施率の年次推移

 年1回以上の運動・スポーツ実施率をみると、1992年調査では50.9%と半数をわずかに超える程度であったが、2000年には70.7%に上昇した。その後、2006年までは60~70%台の間を行き来し、2008年以降は70%台での横ばい状態が続いていた。2024年調査では69.8%であり、前回の2022年調査から3.1ポイント減少して2006年以来の6台となった

図表1. 運動・スポーツ実施率の年次推移

図表1. 運動・スポーツ実施率の年次推移

注1) 2014年までは20歳以上、2016年以降は18歳以上を調査対象としている。
注2) アクティブ・スポーツ人口:週2回以上、1回30分以上、運動強度「ややきつい」以上の実施者
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

■運動・スポーツ実施レベルの年次推移

 運動・スポーツ実施レベルは、「実施頻度」「実施時間」「運動強度」をもとに、運動・スポーツ実施状況を量的・質的観点から捉えるSSF独自の指標である。

図表2. 運動・スポーツ実施レベルの設定

図表2. 運動・スポーツ実施レベルの設定

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

 運動・スポーツ実施レベルの年次推移をみると、「レベル4」(アクティブ・スポーツ人口)は、1994年調査の7. 6%から漸次増加し、2012年では20. 0%に達した。2018年は20.7%、2020年の22. 1%で過去最高を示したが、2024年は18. 3%であった。運動強度・時間に関係なく、週2回以上運動・スポーツを行う「レベル2」は9.4%と、1994年調査以降6~10%の間を推移しており、コロナ禍前の2018年9.5%から横ばいである。過去1年間にまったく運動・スポーツを実施しなかった「レベル0」は、1994年は50. 1%と全体の半数を占めていたが、2022年は4分の1程度まで減少した。しかし2024年は30. 2%に増え2006年以来の3割超えとなった

図表3. 運動・スポーツ実施レベルの年次推移(全体)

図表3. 運動・スポーツ実施レベルの年次推移(全体)

注) 2014年までは20歳以上、2016年以降は18歳以上を調査対象としている。
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

「みる」スポーツ

■直接スポーツ観戦率

 過去1年間にスタジアムや体育館等で直接スポーツを観戦した者の割合の年次推移を示した。2024年は26. 2%であり、コロナ禍前の水準には戻り切っていないが、2022年19. 3%から6. 9ポイント増加した。

図表4. 直接スポーツ観戦率の年次推移

図表4.  直接スポーツ観戦率の年次推移

注)2014年までは20歳以上、2016年以降は18歳以上を調査対象としている。
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

■インターネット観戦率

 2024年調査のインターネットスポーツ観戦率は全体の24. 2%で、コロナ禍前の2018年11.5%から12.7ポイント、2022年21.6%からは2.6ポイント増加した。

図表5. インターネットによるスポーツ観戦率の年次推移

図表5.  インターネットによるスポーツ観戦率の年次推移

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

「ささえる」スポーツ

 2024年調査におけるスポーツボランティア実施率は5. 4%で、2022年の4. 2%から1. 2ポイント増加した。コロナ禍前の2018年は6.7%であった。

図表6. スポーツボランティア実施率の年次推移

図表6.  スポーツボランティア実施率の年次推移

注)2014年までは20歳以上、2016年以降は18歳以上を調査対象としている。
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

「する・みる・ささえる」スポーツ

 「する」「みる」「ささえる」の各スポーツ参画を組み合わせた構成比を示した。前回の2022年と比較すると、「する・みる・ささえる」スポーツ参画は2.5%で0.4ポイント増加とほぼ横ばいであった。いずれにも関わらない非参画は36.5%と0.9ポイントの増加にとどまるが、コロナ禍前の2018年からは5.2ポイント増加している。「する」は35.2%で8.0ポイント減少、「みる」は7.7%で2.4ポイント増加、「ささえる」は0.3%で前回と変わらなかった。

図表7. 「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画の構成比の推移

図表7. 「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画の構成比の推移

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

日常生活における身体活動量

 本調査では、国際比較が可能である質問票として世界保健機関(WHO)が開発し、信頼性・妥当性が確認された「世界標準化身体活動質問票(GPAQ)」の質問項目を2020年から採用している。
 GPAQでは「仕事」「移動」「余暇」「座位」の4領域に回答し、運動・スポーツを含めた日常生活における身体活動量を把握する。身体活動の強度は安静時を1メッツとし、2024年の全体の総身体活動量は30.6メッツ・時/週であり、2022年から約4メッツ減少していた。身体活動量を「仕事」「移動」「余暇」の領域ごとにみると、構成比の内訳は仕事56.6%、移動22.9%、余暇20.5%で、2022年より仕事の割合が3.6ポイント減少し、移動の割合が4.3ポイント増加した。

※メッツ:「安静時を1としたときに、何倍のエネルギーを消費するか」を示す活動強度の単位。歩行は3メッツ、速歩は4.5メッツ、ランニングは10メッツ。週に3時間のランニングを行った場合、10メッツ×3時間=週30メッツ・時となる。

図表8. 身体活動量および各領域の構成比の年次推移(全体)

図表8. 身体活動量および各領域の構成比の年次推移(全体)

注)仕事・移動・余暇の身体活動量の下に記載した括弧内の数値は、総身体活動量に占める各領域の割合を示す。
資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024

「スポーツライフ・データ2024」調査概要

調査内容
運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・同好会・チーム、スポーツ観戦、スポーツボランティア、日常生活における身体活動、生活習慣・健康 他
調査対象
全国の市区町村に居住する満18歳以上の男女3,000人(男性: 1,498人、女性1,502人)
地点数
300地点(大都市90地点、人口10万人以上の市122地点、人口10万人未満の市64地点、町村24地点)
調査時期
2024年6月7日~7月7日

『スポーツライフ・データ2024』

仕様
A4判/200ページ
価格
定価 3,300円(本体 3,000円+税 10%)
刊行日
2025年3月28日

SSFスポーツライフ調査委員会

委員長
高峰 修(明治大学 政治経済学部 教授)
委員
青野 博(公益財団法人 日本スポーツ協会 スポーツ科学研究室 室長)
大勝 志津穂(椙山女学園大学 人間関係学部 教授)
甲斐 裕子(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 副所長/上席研究員)
鎌田 真光(東京大学大学院 医学系研究科 講師)
城所 哲宏(日本体育大学 体育学部 准教授)
佐々木 玲子(慶應義塾大学 体育研究所 教授)
澤井 和彦(明治大学 商学部 准教授)
横田 匡俊(日本体育大学 スポーツマネジメント学部 教授)
吉田 智彦(公益財団法人 笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策ディレクター)
(※五十音順、所属・肩書は刊行時)
データの使用申請

最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。

活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2024年度

担当研究者