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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

被災自治体の今 第4回 宮城県女川町

宮城県女川町

宮城県の太平洋沿岸に位置する女川町は養殖漁業が盛んで、町南部に東北電力女川原子力発電所を抱えている。

■スポーツ施設の中核「総合運動場」の今

女川町総合運動場

同町の被害は深刻で、スポーツ関連施設も大きなダメージを受けた。スポーツ施設の中核となるのが女川町総合運動場。これは県内でも有数と言える大規模な総合運動場で、この中に陸上競技場、多目的運動場、第二多目的運動場、野球場、体育館、テニスコートといった施設がそろっていたが、震災の影響により現在でも稼働していない施設が多い。

多目的運動場、野球場には仮設住宅が建築され、現在も使えない状態となっている。陸上競技場跡地は町で最初となる200戸の災害公営住宅が建設され、2014年3月末に入居が始まった。テニスコートは震災後、自衛隊の活動拠点として提供され、入浴施設や燃料関係のドラム缶置き場として使われた。その結果、テニスコートの表面はまったくテニスのできない状態となった。現在は災害公営住宅のモデルルーム、建築会社の事務所として利用されている。
第二多目的運動場は一部補助金を得て人工芝への張り替えが決定し、2013年12月から工事に入った。小雨や雨上がりでも利用可能となるため、利用者の増加が見込まれている。

■スポーツイベントの現状

スポーツイベントの現状の様子

運動場内にある総合体育館は復旧したものの、施設の減少が主な理由で、町で開催していたスポーツイベントも中止や縮小に追い込まれたケースが多い。町民運動会、町が主催していたうみねこマラソン大会は震災後になくなった。
その後、うみねこマラソン大会はクロスカントリー大会に衣替えし、事業規模を縮小して、町内の高校生と小中学生を対象として開催した。ところが、コース上に仮設住宅が建つなど状況が変わってしまったため、さらに限られた場所でも開催できるウオークラリー大会に変更。今度は小学生のみを対象とする大会に変わった。

こうした状況から、使える施設にはどうしても利用希望者が集中してしまい、町民が以前のようにはスポーツを楽しめないのが現状となっている。町民大運動会も多目的運動場に仮設住宅が建設されたため、開催することができなくなった。この運動会は町内全域の43区を8班に統合し、それぞれの班で競うというスタイルで、年に一度、町民が体を動かして大盛り上がりする大会だった。

女川町教育委員会生涯学習課の木村康行課長は次のように話す。「それぞれのスポーツでその種目に取り組んでいる任意団体は力もあり、それほど心配はしていません。女川町の場合は高齢者が多いのでそこが問題。また、仮設住宅での暮らしは非常にストレスもたまりますから、何かスポーツによって心が晴れる状態にしたい。いずれにしても、場所が大きな問題となります」

屋外でのグラウンドが第二多目的運動場ひとつという状況では、なかなか大人数が集まるスポーツイベントを開催するのは難しい。さらに仮設住宅の場合は、みんなで参加しようとするとコミュニティーの問題も無視できない。

仮設住宅にも自治会はあるが、いろいろな行政区、いろいろな集落の人間が集まった自治会となったため、震災前におのおのが属していた自治会と比べると、まとまりに欠ける。
大勢が集まって行うスポーツイベントの開催を考える上での課題のひとつだ。

■ミニ運動会への模索

「その辺の難しさがあるので、2014年にはミニ運動会的なものができないかと模索しています。第二多目的運動場を人工芝に替えるわけですけれども、それを契機に何か仕掛けられないか。ただ、競い合いにしないと燃えるものも燃えない。レクリエーションとしてやるという考えもありますが、やっぱり競争しないと燃えないということもある。今後どう持っていくかは、自治会長さん、あとは行政区長さん、行政区長会の会長さんといろいろ相談したいとは思っています」(木村課長)

女川町では震災前、大運動会の際は町の職員が総出で運営の手伝いをしていたという。復興の仕事に職員の大半が忙殺されている現状で、新たに大規模な取り組みはなかなか難しい。木村課長は「職員も大変な思いをしている。そのあたりも考慮しながら、いいアイデアを見つけていきたい」と話している。