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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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チャレンジデー感謝のつどい

チャレンジデーを振り返る ~ 31年間の感謝を込めて~

 笹川スポーツ財団では、これまでチャレンジデーフォーラムとして開催してきた会を、チャレンジデーが最後となる今年度は、「チャレンジデー 感謝のつどい」と名称変更して開催いたしました。
 チャレンジデー2023実施自治体をはじめ、 これまでチャレンジデーに大きく寄与してきた方々に参加いただきました。
 テーマを「チャレンジデーを振り返る~31年間の感謝を込めて~」とし、出席者同士の懇親会に加えて、31年間のチャレンジデーを振り返るコーナーや チャレンジデーの発展に大きく貢献した自治体の表彰をいたしました。

チャレンジデー感謝のつどい 開催概要

日時
2023年8月24日(木)15:00~17:00
テーマ
『チャレンジデーを振り返る~31年間の感謝を込めて~』
参加者
チャレンジデー2023参加自治体、チャレンジデー31年特別表彰受賞自治体など
会場
アークヒルズクラブ(東京都港区赤坂1丁目12-32 アーク森ビル イーストウィング 37階)
形式
立食形式

■主な次第

【1】チャレンジデー感謝のつどい 趣旨説明
  (笹川スポーツ財団 チャレンジデー担当  佐藤) 

【2】チャレンジデー31年間の振り返り
  (進行:笹川スポーツ財団 澁谷)
  (1)運営側の思い出
  (2)現場の思い出 
  (3)笹川スポーツ財団 澁谷よりコメント

【3】表彰式
  (プレゼンター:笹川スポーツ財団 理事 青島 健太 氏)

 

笹川スポーツ財団 理事 増田 明美 氏 よりご挨拶

増田 明美氏(スポーツジャーナリスト、笹川スポーツ財団 理事)

増田 明美氏(スポーツジャーナリスト、笹川スポーツ財団 理事)

 私はチャレンジデー大使として、自分のふるさとである千葉県いすみ市、京都府の福知山市を訪問しました。スポーツの力は、一緒に汗をかいたり、触れ合うということにあるのだと、改めて感じる事が出来ました。秋田県の由利本荘市のように、自治体独自にミニチャレンジデーを開催していたり、スポーツ推進計画にチャレンジデーを組み込んでいるところもあるなど、各自治体がチャレンジデーをまちづくりのために有効活用されていると感じております。チャレンジデーの全国一斉開催は今年で終わりますが、これは終わりじゃなくて始まりなのではないでしょうか。これまで培ったノウハウを活かして、スポーツの力を信じて今後も頑張ってまいりましょう。

※ チャレンジデー大使として2017 年、2018 年、2021 年に各自治体を訪問

チャレンジデー31年間の振り返り

1)運営側の思い出

 ・スライドで振り返る31年/ SSF 担当者がみたチャレンジデーの思い出

▲詳細は、PDF(169KB)でご覧いただけます。

2)現場の思い出

 過去、チャレンジデーの発展に大きく寄与された方々に、チャレンジデーを振り返っていただきました。

下田 学 氏(北海道苫前町 元チャレンジデー担当)

 2003年から17年間、チャレンジデーの担当をしておりました。同じ北海道の名寄市が参加していたことで、全住民参加型という形態をまちづくりにいかせるのではないかと考え、参加を決意しました。4カ月後に岡山県哲多町と対戦し、その年の夏、哲多町長以下担当者を含めて11人が当町を表敬訪問していただきました。他にも対戦した自治体とは親しい交流が生まれました。反省点としては開催時期が漁業、農業の繁忙期にあたり、理解を得るのが難しかった点が挙げられます。また、参加者の固定化、マンネリ化も課題だったが、ただ参加報告用紙に名前を書くだけではなく、積極的に参加してもらえるように工夫していた。今は別の業務に携わっていますが、今後も住民参加を意識しながらスポーツの参加を促し、元気なまちづくりをしていきたいと考えています。

関口 昌和 氏(広島県北広島町 一般財団法人どんぐり財団 代表理事)

 私が豊平町の教育委員会にいたとき、絶対にチャレンジデーをやりたいという強い熱意を持つ同僚がいました。開催には核となる組織が必要で、当時立ち上げたばかりの総合型地域スポーツクラブを活用することになりました。豊平町は、2005年に周辺の自治体と合併して北広島町となりましたが、私はこの事業にかかわり続けました。最初にチャレンジデーをやりたいと言った同僚はその年の9月に亡くなりました。この年に笹川スポーツ財団からいただいたチャレンジデーの記念盾が今でも彼の仏壇の脇に飾ってあります。今日は会場にお越しの皆様にも見て頂きたいと思い、彼の息子の写真をお持ちしました。彼の存在もあり、チャレンジデーには思い出が沢山詰まっています。

田中 忠夫 氏(秋田県 三種町体育協会 元会長)

 秋田県では、総合型地域スポーツクラブを全25市町村に広げる目的でチャレンジデーの全市町村参加に注力しました。25市町村となるとそれぞれ温度差があり、調整には大変な苦労がありました。そこでお力添えいただいたのが、秋田県出身のオリンピアンで笹川スポーツ財団の前理事長である小野清子さんです。小野前理事長のご尽力があり、すべての市町村を説得し、2015年に念願の全国初の全市町村参加を達成いたしました。2015524日には、秋田魁新報で2ページに渡りチャレンジデーを特集していただき、住民への周知促進をはかりました。チャレンジデーの全国一斉開催は幕を閉じますが、今後も何らかの形で生涯スポーツの普及に貢献できればと考えています。

飯坂 尚登 氏(公益財団法人秋田県スポーツ協会 事務局長)

 私の心に残っているのは、秋田県内全25市町村でチャレンジデーを開催できたことです。田中忠夫さんの熱意に小野前理事長が応えて各市町村長を口説いてくれました。開催の1週間前の市町村長会議では決起集会を開いたことの意義も大きかったと考えています。これがチャレンジデーに取り組む上で情報交換の場となり、首長の意識、職員の意識が高まる契機になりました。また秋田県は県のスポーツ推進計画にチャレンジデーという言葉を記載しています。ひとつのイベントを推進計画に載せることに対する反対意見もありましたが、スポーツに取り組むきっかけとなる重要なイベントだと説得し、推進計画に載せて周知することになりました。今後も皆様と力を合わせて、生涯スポーツの推進に力を尽くしていきたいと考えています。

佐々田 享三 氏(秋田県由利本荘市教育委員会 元教育長)

 かつて秋田県はチャレンジデーに参加していない市町村が多く、由利本荘市もその一つでした。由利本荘市はチャレンジデーに参加したおかげで、その後に「スポーツ振興まちづくり条例」が制定され、スポーツ立市となりました。チャレンジデーに参加した最初の大会では、小野前理事長のご主人である元五輪体操金メダリストの小野喬さんにお越しただきました。3回目の大会には競泳のオリンピアンであるの長崎宏子さん(笹川スポーツ財団評議員)に来ていただきました。スポーツ立市宣言をするときには、元マラソン選手の谷川真理さんに講演をお願いしました。これらすべてが、チャレンジデーが土台になっています。由利本荘市では現在、市民の健康づくりを推進する取り組みのひとつとして、スポーツ施設を無料開放して月1回のミニチャレンジデーを開催しています。

木ノ下 博氏(岩手県 NPO法人葛巻町体育協会 元事務局長)

 チャレンジデーには1995年から参加しています。秋田県琴丘町(現三種町)の田中忠夫さんから、北緯40度線上にある自治体間のスポーツ交流の一環で、チャレンジデーを推薦されたことが参加のきっかけです。通算戦績は20121分です。2011年の震災の年には北海道の新得町から「災害後で大変な状況ですが初対戦させていただけませんか」とお声掛けいただき、例年と形式を変えずに対戦したことが印象に残っています。チャレンジデーの全国一斉開催が終了するという話を受け、葛巻町長が「チャレンジデーは生涯スポーツにおいては、最も効果的な事業だった」と申していました。当町といたしましてはチャレンジデーのようなスポーツに取り組むきっかけとなるイベントを、年1回でも実施をしていきたいと考えています。

土江 博昭 氏(島根県雲南市教育委員会 元教育長)

 日本で初めてチャレンジデーに参加した自治体が加茂町(現雲南市)です。1993年、準備期間20日間たらずでドイツのノルデンハムと対戦しました。当時の加茂町の人口は6,783人。参加率71.7%で勝利しましたが、先方と連絡がつかず、言葉も通じず、集計が出るまで3日のはずが半月掛かったという思い出があります。一方で、チャレンジデーを楽しいイベントにするという趣旨に賛同した製麺会社の協力を得て、15分間でラーメンを315メートルまで伸ばすという種目を実施し、500名が参加しました。加茂町は2004年に合併して雲南市となりましたが、チャレンジデーはその後も続いて30年の歴史を積み上げました。町民の皆様が報告用紙を投票箱に入れる様子、感謝の気持ちとともに拝見していました。スポーツは人をつなぎ、地域をつなぎ、健康にもつながります。全国一斉開催が終了することへの寂しさはありますが、大きな成果を上げたチャレンジデーでした。

長崎 宏子 氏(スポーツコンサルタント、笹川スポーツ財団評議員)

 毎年新しいスケジュール帳を買って、家族や親しい友人、知人の誕生日を入れる事と同時に、必ず5月の最終水曜日に「チャレンジデー」と書き記すのが恒例でした。今年はどこに行くのかなと考えるのが年始の楽しみでもありました。行く先々でエネルギーをもらいました。空き缶を積み上げた個数を競う種目があり、「えっ、これってスポーツなの?」とはじめは感じましたが、気がついたら一人で夢中になっていました。盆踊りに参加した時に、熱心に教えてくれる方がたくさんいて、筋肉痛になったのもいい思い出です。皆様とチャレンジデーに参加して、スポーツの素晴らしさ、心身の健康づくりの大切さ、人と人とのつながり、温かみを改めて知ることができました。この場をお借りしてチャレンジデーに携わったすべての方々に御礼を申し上げます。

※チャレンジデー大使として2011年、20132015年、2018年、2019年に各自治体を訪問

表彰式(プレゼンター 笹川スポーツ財団 理事 青島 健太 氏)

1)表彰

上野村チャレンジデー2023大賞

①上野村
チャレンジデー2023大賞

神奈川県31年特別表彰 県を挙げてチャレンジデーをサポート

②神奈川県 31年特別表彰
県を挙げてチャレンジデーをサポート

③秋田県31年特別表彰

③秋田県 31年特別表彰
県を挙げてチャレンジデーをサポート

④岩手県陸前高田市31年特別表彰 24回の参加、カテゴリー別優秀賞を3回受賞

④岩手県陸前高田市 31年特別表彰
24回の参加、カテゴリー別優秀賞を3回受賞

⑤岩手県葛巻町31年特別表彰

⑤岩手県 葛巻町 31年特別表彰
29回の参加、コロナ禍の2021年を除き金メダルを毎年獲得

⑥秋田県 三種町 31 年特別表彰

⑥秋田県 三種町 31年特別表彰
29回の参加、複数回ワールドチャレンジデーに参加するなど国際交流にも積極的

⑦島根県 雲南市 31年特別表彰

⑦島根県 雲南市 31年特別表彰
1993年の第1回目のチャレンジデーに全国で唯一参加、2023年で30回目の参加

⑧北海道 名寄市 31 年特別表彰

⑧北海道 名寄市 31年特別表彰
笹川スポーツ財団がコーディネートを行う以前よりチャレンジデーを開催し、独自開催を合わせて36回の参加

⑨青森県 新郷村 31 年特別表彰

⑨青森県 新郷村 31年特別表彰
2015年から2019年までの5年連続でチャレンジデー大賞を受賞、全国の自治体で唯一の殿堂入り自治体

笹川スポーツ財団 理事 青島 健太 氏より総括

青島健太氏(参議院議員、笹川スポーツ財団理事)

青島健太氏(参議院議員、笹川スポーツ財団 理事)

 大使としてチャレンジデーに参加した時は、朝から夕方まで全種目全力で取り組み、本当にヘトヘトになりました。私にとっては「どこまで頑張れるか」というチャレンジをする事がチャレンジデーでした(笑)。おかげさまでスポーツを楽しんでいる人の姿を日本中で見て、行政の方々が素晴らしい準備、運営をしていることも拝見しました。

 チャレンジデーはスポーツの参加率を競うイベントですが、必ずしも100%がいいわけではありません。ドイツの社会学者、ノルベルト・エリアスは「スポーツという文化は民主制の社会からしか生まれない」と言っています。みんなでスポーツを楽しむことができるのは、私たちの社会が極めて民主的だからです。そう考えると、60%70%という参加率がみんなで目指すべきところだったと感じています。これからも、力を合わせて日本のスポーツをともに支えていきましょう。

※チャレンジデー大使として2014年、2018年、2019年に各自治体を訪問