新型コロナウイルスにより一度止まったスポーツ活動も再開し始めましたが、各国、各競技団体で、感染症対策などを踏まえながらスポーツ活動再開に向けたガイドラインを発表しています。笹川スポーツ財団では、国際的なスポーツ・フォー・オールの統括組織であるTAFISAやSSF海外研究員のネットワーク等を通じて、国内外のガイドラインを収集しています。
- 調査・研究
© 2020 SASAKAWA SPORTS FOUNDATION
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スポーツ政策研究所を組織し、Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
新型コロナウイルスにより一度止まったスポーツ活動も再開し始めましたが、各国、各競技団体で、感染症対策などを踏まえながらスポーツ活動再開に向けたガイドラインを発表しています。笹川スポーツ財団では、国際的なスポーツ・フォー・オールの統括組織であるTAFISAやSSF海外研究員のネットワーク等を通じて、国内外のガイドラインを収集しています。
ブラジルオリンピック委員会(Comitê Olímpico do Brasil:COB)が6月12日、「COV-19(新型コロナウイルス)の感染拡大を背景とするオリンピックスポーツの活動再開のガイドライン:検証と考察」と題する資料を発表した(https://www.cob.org.br/pt/cob/home/guia-esporte-covid)。
これは国内の多くの組織や団体の協力を得て作成されたもので、オリンピックスポーツに限らず、他のスポーツへの適用も可能とされている。その概要は以下のとおりである。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界各国のスポーツ界が顕著な影響を受けており、ブラジルもその例外ではない。
このような状況で、暫定的ではあるが、アスリートたちが安全に十分配慮しながらスポーツ活動を再開するためのガイドラインをここに発表する。
60人以上の医師と各スポーツ団体の責任者らによる討議をもとに、以下のような医学的見地からのアドバイスを提示する。
陰性:無症状の場合は少なくとも72時間、健康状態を確認する。引き続き無症状であれば、施設への立ち入りを許可する。健康上、何らかの問題がある場合は治療を受けるか、少なくとも7日間、自宅など隔離された場所で療養する。健康を回復すれば、施設への立ち入りを認める。
陽性:症状が中程度以上の場合は、治療を受ける。症状が軽い場合は、自宅など隔離された場所で、14日間、療養する。その後、再度、検査を受けて陰性が確認されれば、施設への立ち入りを認める。
無症状の場合は最低7時間、健康状態を確認し、無症状のままであれば施設への立ち入りを認める。
何らかの症状がある場合、中程度以上の場合は、治療を受ける。症状が軽い場合は、自宅など隔離された場所で、14日間、療養する。健康を回復すれば、施設への立ち入りを認める。
検査によって新型コロナウイルスの感染と関連する病気が確認された場合:
心電図を取り、異常があれば心臓超音波検査を行う。
PCR検査を行う。心臓、血液などの検査を受ける。これらの検査で異常が発見されたら、治療を受ける。
精密検査を行い、異常が発見されたら治療を受ける。仮に異常が発見されなくても、心臓病専門医の意見を聞きながらスポーツ活動再開に慎重を期する。
故障を避けるには、トレーニングの負荷を少しずつ上げることが極めて重要となる。
トレーニングを停止した期間が短かった場合は、負荷を30~50%に低減したトレーニングを2週間続ける。
トレーニングを停止した期間が長かった場合は、負荷を10~40%に減らしたトレーニングを4週間続ける。
第一段階:CTTBの施設は使用せず、コーチのビデオなどによる指示でアスリートが自宅などで個別にトレーニングを行う。
第二段階:過去14日以上、新型コロナウイルス感染の症状がなく、感染者との接触もなかったアスリートに限り、CTTBの施設を使用してのトレーニングを行う。最低限の人数でトレーニングを行う。
第三段階:より多い人数でのトレーニングを行う。
練習施設へ持ち込んだ私物を持ち、建物の入口の横のエリアに保管しておいた私物を取る。建物から出る前に、手足を消毒する。
第一段階:研究室における活動を再開するためのガイドラインを用意する。
第二段階:2021年東京五輪の出場資格をすでに得ているか、今後得る可能性があるアスリートだけを研究の対象とする。研究室に出入りする研究者やアスリートは、新型コロナウイルスに感染していないことが確認された者に限る。
研究室に出入りする前後に手足を消毒し、研究室内では全員がマスクを装着する。
第一段階:プールは閉鎖中。アスリートは、コーチから動画などによる指示を受け、自宅などで個別にトレーニングを行う。
第二段階:プール使用を許可。2021年東京五輪への出場資格をすでに得ているか、今後得る可能性があるアスリートだけが利用できる。
第一段階:施設は閉鎖中。電話、ビデオ通話、動画、アプリケーションの使用などによってトレーニングを行う。
第二段階:2021年東京五輪への出場資格をすでに得ているか、今後得る可能性があるアスリートに限り、10人以内で使用する。
第三段階:2021年東京五輪への出場資格をすでに得ているか、今後得る可能性があるアスリートに限り、20人以内で使用する。
第一段階:電話、ビデオ通話、動画などで医療従事者から治療、手当てに関する指示を受ける。
第二段階:医療従事者から対面での治療、手当てを受ける。
第一段階:電話、ビデオ通話、動画などで理学療法士、マッサーから指示を受ける。
第二段階:医師から指示を受けたアスリートが、一対一で、理学療法、マッサージを受ける。理学療法は一時間以内、マッサージは30分以内とする。
第一段階:予め時間を定めたビデオ通話で、メンタルトレーナーがアスリートやコーチにケアを施す。
第二段階:メンタルトレーナーが必要と判断した場合、対面で45分以内のケアを行う。
基本的に、「第九章:コンディショニング」を踏襲する。ただし、第二段階、第三段階でも個人練習とする。練習時間は、第二段階で60分以内、第三段階で90分以内。第四段階では、他のアスリートとの合同練習を認める。
レポート執筆者
沢田 啓明
Sports Journalist
Partner Fellow, Sasakawa Sports Foundation