当財団が2001年から4年ごとに実施している「10代のスポーツライフに関する調査」で「スポーツ実施の二極化」を明らかにし、それが「体力低下」「運動能力低下」を招いていると考えました。では、二極化はいつの年齢から始まっているのか。その検証を主眼に、わが国初の「4~9歳のスポーツライフに関する調査」を実施しました。最新の結果の中からポイントをご紹介します。
- 調査・研究
© 2020 SASAKAWA SPORTS FOUNDATION
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スポーツ政策研究所を組織し、Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
当財団が2001年から4年ごとに実施している「10代のスポーツライフに関する調査」で「スポーツ実施の二極化」を明らかにし、それが「体力低下」「運動能力低下」を招いていると考えました。では、二極化はいつの年齢から始まっているのか。その検証を主眼に、わが国初の「4~9歳のスポーツライフに関する調査」を実施しました。最新の結果の中からポイントをご紹介します。
本調査では10代の調査と同様に、4~9歳の運動・スポーツ活動を「幼稚園や保育園・学校の休み時間の活動・部活動は含めるが、園や学校の授業は行事のマラソン大会などは含めない」と定義し、スポーツのみならず、広く「運動・スポーツ」活動としてたずねています。
わが国の4~9歳は、どれくらい運動・スポーツを行っているのでしょうか。過去1年間の運動・スポーツの実施頻度(回数)をまとめたものが図1です。
全体の3分の1以上の子どもが週7回以上の運動・スポーツを実施しており、活発な運動・スポーツの実態が明らかになりました。一方、まったく実施しなかった子どもは5.3%とおよそ20人に1人となっています。
次に、過去1年間に1回以上行った運動・スポーツ種目をまとめたものが表1です。
1位「おにごっこ」、同率2位に「かくれんぼ」「なわとび」、4位「水泳(スイミング)」、5位「かけっこ」といわゆる運動あそびが上位を占めました。スポーツ種目に限ると、上位10種目に入ったのは、7位「サッカー」と10位「野球」のみでした。
【図1】運動・スポーツ実施頻度(n-1,196)
資料:笹川スポーツ財団「4~9歳のスポーツライフに関する調査」2010
(%)
順位 | 種目(n=1,196) | |
---|---|---|
1 | おにごっこ | 61.0 |
2 | かくれんぼ | 49.4 |
なわとび | 49.4 | |
4 | 水泳(スイミング) | 44.7 |
5 | かけっこ | 42.7 |
6 | ドッジボール | 37.9 |
7 | サッカー | 36.4 |
8 | 海水浴 | 26.5 |
9 | キャッチボール | 22.5 |
10 | 野球 | 20.1 |
11 | 体操(軽い体操・ラジオ体操など) | 18.9 |
12 | バドミントン | 17.2 |
13 | サイクリング | 16.1 |
14 | 木登り | 15.6 |
15 | 竹馬 | 14.9 |
16 | 釣り | 14.7 |
17 | 一輪車 | 14.2 |
18 | そり | 12.8 |
19 | ボウリング | 12.7 |
20 | キックボード | 11.5 |
資料:笹川スポーツ財団「4~9歳のスポーツライフに関する調査」2010
年齢ごとに運動・スポーツ実施頻度をみると、未就学児においては男女で大きな差はなく、高頻度群に注目すると、4歳~7歳までは男子よりも女子のほうが高い値を示しました(表2)。
一方、8歳以上になると女子よりも男子の高頻度群の割合が高くなり、その傾向は18歳まで続きます。8歳という年齢は、小学校の2・3年生にあたる年齢であり、特に運動・スポーツ実施とジェンダー※の関わりが強固にみられるターニングポイントである可能性が示唆されました。
また、11歳→12歳の非実施群(男子1.0%→5.3%、女子6.3%→11.8%)や、15歳→16歳の非実施群(男子6.5%→13.9%、女子15.5%→33.3%)、高頻度群(男子55.6%→43.5%、女子40.2%→19.0%)がターニングポイントとなっています。特に15歳→16歳における女子の運動・スポーツ離れが顕著です。
※身体的な性別とは異なる、社会的・文化的な性のありよう
(%)
男子 | 非実施群 | 低頻度群 | 中頻度群 | 高頻度群 |
---|---|---|---|---|
4歳 (n=65) |
16.9 | 23.1 | 23.1 | 36.9 |
5歳 (n=93) |
4.3 | 20.4 | 43.0 | 32.3 |
6歳 (n=97) |
4.1 | 29.9 | 34.0 | 32.0 |
7歳 (n=100) |
1.0 | 20.0 | 47.0 | 32.0 |
8歳 (n=100) |
1.0 | 25.0 | 40.0 | 34.0 |
9歳 (n=166) |
2.4 | 18.7 | 40.4 | 38.6 |
10歳 (n=68) |
0.0 | 20.6 | 36.8 | 42.6 |
11歳 (n=102) |
1.0 | 17.6 | 42.2 | 39.2 |
12歳 (n=95) |
5.3 | 9.5 | 36.8 | 48.4 |
13歳 (n=100) |
3.0 | 7.0 | 31.0 | 59.0 |
14歳 (n=118) |
4.2 | 5.9 | 39.0 | 50.8 |
15歳 (n=108) |
6.5 | 12.0 | 25.9 | 55.6 |
16歳 (n=108) |
13.9 | 13.9 | 28.7 | 43.5 |
17歳 (n=110) |
19.1 | 18.2 | 30.0 | 32.7 |
18歳 (n=89) |
16.9 | 31.5 | 28.1 | 23.6 |
19歳 (n=107) |
18.6 | 46.1 | 21.6 | 13.7 |
(%)
女子 | 非実施群 | 低頻度群 | 中頻度群 | 高頻度群 |
---|---|---|---|---|
4歳 (n=70) |
11.4 | 28.6 | 21.4 | 38.6 |
5歳 (n=76) |
6.6 | 21.1 | 28.9 | 43.4 |
6歳 (n=68) |
4.4 | 26.5 | 33.8 | 35.3 |
7歳 (n=91) |
7.7 | 28.6 | 30.8 | 33.0 |
8歳 (n=107) |
6.5 | 28.0 | 37.4 | 28.0 |
9歳 (n=163) |
4.9 | 27.0 | 42.3 | 25.8 |
10歳 (n=69) |
2.9 | 30.4 | 40.6 | 26.1 |
11歳 (n=112) |
6.3 | 31.3 | 35.7 | 26.8 |
12歳 (n=110) |
11.8 | 21.8 | 27.3 | 39.1 |
13歳 (n=97) |
14.4 | 15.5 | 30.9 | 39.2 |
14歳 (n=100) |
16.0 | 16.0 | 36.0 | 32.0 |
15歳 (n=97) |
15.5 | 17.5 | 26.8 | 40.2 |
16歳 (n=105) |
33.3 | 25.7 | 21.9 | 19.0 |
17歳 (n=98) |
34.7 | 19.4 | 27.6 | 18.4 |
18歳 (n=93) |
35.5 | 22.6 | 25.8 | 16.1 |
19歳 (n=108) |
24.1 | 40.7 | 22.2 | 13.0 |
資料:笹川スポーツ財団「4~9歳のスポーツライフに関する調査」2010
兄弟姉妹の有無別に子どもの運動・スポーツ実施状況をみると、非実施群では、ひとりっ子9.5%、兄弟姉妹がいる者4.5%とひとりっ子の方が5.0ポイント高くなっています(図2)。一方、中・高頻度群については、ひとりっ子では59.2%、兄弟姉妹がいる者72.2%と13.0ポイントの差があり、兄弟姉妹がいる方が子どもの運動・スポーツ実施頻度は高いことが明らかになりました。
また、兄弟姉妹がいると回答した者を対象として、兄弟姉妹の中でひとりでも運動・スポーツを実施している場合と、全員が非実施の場合の子どもの運動・スポーツ実施状況をみたものが図3です。中・高頻度群については、兄弟姉妹非実施群では63.3%であるのに対し、兄弟姉妹の誰かひとりでも運動・スポーツを実施している群では74.1%となっています。兄弟姉妹がいる場合、そのうち誰かひとりでも運動・スポーツを実施しているならば、子どもの運動・スポーツ実施頻度が高いことがわかりました。
【図2】兄弟姉妹の有無と運動・スポーツ実施頻度群
資料:笹川スポーツ財団「4~9歳のスポーツライフに関する調査」2010
【図3】兄弟姉妹の運動・スポーツ実施と運動・スポーツ実施頻度群
資料:笹川スポーツ財団「4~9歳のスポーツライフに関する調査」2010
『子どものスポーツライフ・データ2010』
最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。
活用例
スポーツライフ・データ
2010年度