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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツライフ・データ2012

笹川スポーツ財団では、2012年6月から7月にかけて「スポーツライフに関する調査2012」を、全国20歳以上の男女2,000人を対象に実施しました。本調査は、1992年から2年ごとに実施している全国調査で、今回で11回目。過去20年分のわが国成人のスポーツライフの動向を把握することが可能です。最新の結果の中からポイントをご紹介します。

調査結果

1. SSFの視点「スポーツライフに関する調査」からみる健康・スポーツ政策の現在地

スポーツ基本計画に掲げられた「スポーツ実施率」 その目標値の問題点とは?

スポーツ基本計画に掲げられた成人の「スポーツ実施率」の政策目標は、「週1回以上を3人に2人(65%程度)」「週3回以上を3人に1人(30%程度)」である。SSF調査の結果(下図)をみると、2012年の週1回以上の実施率は目標に迫っており、週3回以上の実施率は既に目標に達している。これは「スポーツ実施率」の目標が、内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」を根拠に設定されていることに起因する。内閣府調査(2009)では、『その運動やスポーツを行った日数を全部合わせると、1年間に何日くらいになりますか』といった質問で調査を行っているため、判明するのは年間に「週1日以上」「週3日以上」運動・スポーツを実施した者の割合であり、「週1回以上」「週3回以上」の実施率とは厳密には異なる。この違いにより、SSF調査の分析では目標値を既にクリアしているという現象に繋がっている。しかし、スポーツ基本計画が「週1回以上」「週3回以上」という目標値を設定している以上、目標値に応じた調査を行う必要があるのではないだろうか。

定期的な運動・スポーツ実施率および非実施率の年次推移

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2012

人々はスポーツ振興のためにtotoを購入しているのか? -宝くじの購入者との関係-

スポーツ基本計画には「スポーツ振興投票制度については、さらに助成財源を確保するため、売り上げの一層の向上や業務運営の効率化により収益の拡大に努め、スポーツ推進のための貴重な財源として有効に活用する」とある。SSF調査(2004年と2012年)によると、わが国の成人の90%以上が過去1年間に「スポーツ振興くじ(toto)」を購入していない。また、2012年の調査で宝くじの購入経験と合わせて分析すると(下表)、totoのみの購入者はほとんどいないと判断できる(0.1%)。totoの売り上げの多くを当せん金の高い「BIG」が占めている現状に照らせば、「宝くじの購入者が、高額当せん金目当てでtotoを購入している」という図式が推察される。しかし、スポーツ推進の継続的な財源確保を考えれば「totoだから購入したい」という独自の理念と販売促進策を創案・推進する必要があるのが現状ではないだろうか。

スポーツ振興くじと宝くじの購入経験

※1「過去1年間ではないが、買ったことがある」(15.2%)と「ない」(41.6%)の合計
※2「過去1年間ではないが、買ったことがある」(7.4%)と「ない」(86.2%)の合計

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2012

2. 「アクティブ・スポーツ人口」が初めて20%を突破し、定期的な運動・スポーツ実施率も過去最高に

「週2回以上、1回30分以上、『ややきつい』以上」の条件で運動・スポーツを実施している「アクティブ・スポーツ人口」が、1992年の調査開始以来、初めて20%を突破した。「週1回以上」「週2回以上」の実施率もそれぞれ59.1%、49.3%と過去最高を記録し、増加を続けている。わが国成人の積極的な運動・スポーツ実施状況が明らかとなった。

定期的な運動・スポーツ実施率の年次推移

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2012

3. スポーツボランティアの実施率は過去18年間変化せず

過去1年間にスポーツボランティアを行ったことが「ある」と回答した者は全体の7.7%で、2010年調査の8.4%を0.7ポイント下回った。1994年から経年でみると、2010年調査時に過去最高の8.4%を記録したが、過去18年間1割以下にとどまり、ほぼ横ばいの状態にある。

スポーツボランティア実施率の年次推移

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2012

4. 「サッカー日本代表試合」のテレビ観戦者は1.5倍、直接観戦希望者は2倍に増加。
なでしこジャパンも上位にランクイン

過去1年間にテレビで観戦したスポーツ種目は、「プロ野球(NPB)」が61.5%で1位、「サッカー日本代表試合(五輪代表含む)」が56.7%で2位、「バレーボール(日本代表試合)」が52.1%で3位、「フィギュアスケート」が50.8%で4位、「サッカー日本女子代表試合(なでしこジャパン)」が49.5%で5位であった(表1)。2010年調査では38.3%であった「サッカー日本代表試合(五輪代表含む)」が18.4ポイントの上昇、今回の調査から項目に追加した「サッカー日本女子代表試合(なでしこジャパン)」が49.5%で5位にランクインし、サッカー日本代表の人気の上昇が見て取れる。
また、今後の直接スポーツ観戦希望種目(表2)をみても、1位は「プロ野球(NPB)」31.0%であるが、2010年調査では10.8%(6位)であった「サッカー日本代表試合(五輪代表含む)」が23.0%(2位)と倍増し、「サッカー日本女子代表試合(なでしこジャパン)」も14.7%と5位にランクインした。

【表1】テレビによるスポーツ観戦種目別観戦率(全体・性別:複数回答)
全体(n=2,000)
順位 種目 希望率(%)
1 プロ野球(NPB) 61.5
2 サッカー日本代表試合(五輪代表含む) 56.7
3 バレーボール(日本代表試合) 52.1
4 フィギュアスケート 50.8
5 サッカー日本女子代表試合(なでしこジャパン) 49.5
6 高校野球 49.1
7 マラソン・駅伝 47.9
8 大相撲 38.3
9 プロゴルフ 31.2
10 メジャーリーグ(アメリカ大リーグ) 30.5
男性(n=990)
順位 観戦種目 観戦率(%)
1 プロ野球(NPB) 73.3
2 サッカー日本代表試合
(五輪代表含む)
59.7
3 高校野球 53.4
4 サッカー日本女子代表試合
(なでしこジャパン)
49.7
5 マラソン・駅伝 48.3
6 バレーボール(日本代表試合) 48.1
7 大相撲 44.0
8 メジャーリーグ(アメリカ大リーグ) 40.1
9 格闘技(ボクシング、総合格闘技など) 37.9
10 Jリーグ(J1、J2) 37.4
女性(n=1,010)
順位 観戦種目 観戦率(%)
1 フィギュアスケート 64.8
2 バレーボール(日本代表試合) 55.9
3 サッカー日本代表試合(五輪代表含む) 53.8
4 プロ野球(NPB) 49.8
5 サッカー日本女子代表試合
(なでしこジャパン)
49.3
6 マラソン・駅伝 47.5
7 高校野球 44.8
8 大相撲 32.7
9 プロゴルフ 25.3
10 Jリーグ(J1、J2) 22.8
【表2】種目別直接スポーツ観戦希望状況(複数回答;n=2,000)
順位 観戦種目 観戦
希望率
(%)
継続観戦
希望(リピーター)率
(%)
新規観戦
希望率
(%)
推計観戦
希望人口
(万人)
推計継続
観戦希望(リピーター)
人口
(万人)
推計新規観戦
希望人口
(万人)
1 プロ野球(NPB) 31.0 11.2 19.9 3,223 1,165 2,069
2 サッカー日本代表試合
(五輪代表含む)
23.0 1.0 22.0 2,391 104 2,287
3 フィギュアスケート 20.2 0.3 20.0 2,100 31 2,079
4 バレーボール(日本代表試合) 14.9 0.3 14.6 1,549 31 1,518
5 サッカー日本女子代表試合
(なでしこジャパン)
14.7 0.3 14.4 1,528 31 1,497
6 高校野球 14.2 4.1 10.1 1,476 426 1,050
7 Jリーグ(J1、J2) 13.4 3.6 9.8 1,393 374 1,019
8 大相撲 12.3 0.6 11.7 1,279 62 1,216
9 メジャーリーグ
(アメリカ大リーグ)
11.9 0.1 11.8 1,237 10 1,227
10 海外プロサッカー
(欧州、南米など)
11.8 0.3 11.5 1,227 31 1,196

資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2012


『スポーツライフ・データ2012』

仕様
A4判/192ページ
価格
3,000円+消費税
発行
2012年12月31日
データの使用申請

最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。

活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2012年度

担当研究者