2019年2月19日
- 調査・研究
© 2020 SASAKAWA SPORTS FOUNDATION
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スポーツ政策研究所を組織し、Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
2019年2月19日
1月に公開した、スポーツライフ・データ分析レポートVol.6「種目別にみた運動・スポーツ実施状況その1」では、20歳以上の成人を対象にした「スポーツライフに関する調査」(2002年~2018年)の年1回以上の運動・スポーツ実施状況を明らかにした。第2弾として、わが国の運動・スポーツ実施状況をさらに詳細に把握するため、週1回以上の運動・スポーツ実施率に着目し、二次分析を行った。
分析レポートVol.6と比較検討するため、本レポートにおいてもエクササイズ系種目はウォーキング、筋力トレーニング、サイクリング、ジョギング・ランニング、水泳、体操(軽い体操、ラジオ体操など)に、競技系種目はサッカー、卓球、テニス(硬式テニス)、バドミントン、バレーボール、野球に分類した。図1に20歳以上の週1回以上の運動・スポーツ実施率と、エクササイズ系種目および競技系種目それぞれ6種目のうち、いずれか1種目を実施した人の割合を示した。
さまざまな種目を含めた全体の週1回以上の運動・スポーツ実施率は2002年の49.7%から2018年の57.6%と過去16年間で増加傾向にある。その中でエクササイズ系種目の実施率は、2002年の27.0%から2018年の36.3%と増加しているが、競技系種目の実施率は、2002年は4.5%、2018年は5.8%と横ばいで推移をしている。
図1 エクササイズ系種目※1と競技系種目※2の週1回以上の実施率 年次推移
注1)全体:週1回以上何らかの運動・スポーツを実施した人の割合
注2)2018年調査の年1回以上の実施率上位6種目(下記参照)のいずれか1種目以上を週1回以上実施した人の割合
※1 エクササイズ系種目:ウォーキング、筋力トレーニング、サイクリング、ジョギング・ランニング、水泳、体操(軽い体操、ラジオ体操など)を含む
※2 競技系種目:サッカー、卓球、テニス(硬式テニス)、バドミントン、バレーボール、野球を含む
年代別にエクササイズ系種目の実施率をみると、年による増減はあるものの20歳代は27.4%(2002年)から26.8%(2018年)、40歳代は24.9%(2002年)から28.6%(2018年)、50歳代は30.3%(2002年)から36.2%(2018年)とほぼ横ばいで推移している(図2)。30歳代は24.8%(2002年)から33.3%(2018年)に増加している。
特徴的な点は60歳代、70歳以上の実施率の増加である。60歳代の実施率は32.5%(2002年)から43.8%(2018年)へ大きく増加した。しかし、2014年の47.8%をピークに減少傾向にある。70歳以上の実施率は20.3%(2002年)から49.1%(2018年)へ2倍以上増加した。2002年では全年代の中で最も低い実施率であったが、2018年には最も高い実施率となった。エクササイズ系種目は、特に中高齢者の実施率が高く、運動・スポーツを行うことが日々の習慣になっていると考えられる。
図2 エクササイズ系種目の週1回以上の実施率 年次推移
注1)エクササイズ系種目:ウォーキング、筋力トレーニング、サイクリング、ジョギング・ランニング、水泳、体操(軽い体操、ラジオ体操など)を含む
注2)n数は表1を参照
20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳以上 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2002年 | 368 | 363 | 397 | 439 | 385 | 315 | 2,267 |
2004年 | 332 | 405 | 385 | 432 | 424 | 310 | 2,288 |
2006年 | 252 | 323 | 286 | 362 | 326 | 318 | 1,867 |
2008年 | 306 | 395 | 322 | 394 | 331 | 252 | 2,000 |
2010年 | 293 | 388 | 333 | 362 | 366 | 258 | 2,000 |
2012年 | 286 | 376 | 352 | 334 | 381 | 271 | 2,000 |
2014年 | 270 | 357 | 376 | 332 | 383 | 282 | 2,000 |
2016年 | 393 | 499 | 570 | 474 | 557 | 433 | 2,926 |
2018年 | 381 | 480 | 595 | 481 | 564 | 428 | 2,929 |
図3に競技系種目の週1回以上の運動・スポーツ実施率を年代別に示した。
20歳代の実施率は6.8%(2002年)から9.7%(2018年)に、30歳代は5.2%(2002年)から7.9%(2018年)に増加している。40歳代は6.5%(2002年)から5.4%(2018年)に減少。50歳代は5.0%(2002年)から4.8%(2018年)とほぼ横ばいで推移している。60歳代は1.8%(2002年)から4.1%(2018年)、70歳以上では1.3%(2002年)から4.0%(2018年)と60歳以上の年代の実施率は増加している。競技系種目の実施率は、過去16年間で20歳代、30歳代、60歳以上の実施率は増加傾向にあるが、40歳代、50歳代の中年者の実施率は横ばい、または減少傾向にある。
エクササイズ系種目、競技系種目の年次推移を年代別に分析した結果、両種目で60歳以上の実施率が増加していることが明らかになった。他の年代についても、減少傾向にある年代は少なく、週1回以上の運動・スポーツ実施率は全体的に横ばいから増加傾向にある。
図3 競技系種目の週1回以上の実施率 年次推移
注1)競技系種目:サッカー、卓球、テニス(硬式テニス)、バドミントン、バレーボール、野球を含む
注2)n数は表1を参照
図4 週1回以上の種目別推計実施人口の年次推移(エクササイズ系種目)
注) 推計実施人口:表3の住民基本台帳人口(人)に表2の実施率(%)を乗じて推計
(%)
2002 (n=2,267) |
2004 (n=2,288) |
2006 (n=1,867) |
2008 (n=2,000) |
2010 (n=2,000) |
2012 (n=2,000) |
2014 (n=2,000) |
2016 (n=2,926) |
2018 (n=2,929) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ウォーキング | 11.6 | 14.7 | 14.2 | 16.3 | 17.8 | 17.3 | 18.1 | 16.8 | 18.0 |
筋力トレーニング | 5.2 | 5.7 | 5.1 | 7.2 | 8.4 | 7.9 | 8.4 | 9.4 | 10.3 |
ジョギング・ ランニング |
2.1 | 3.3 | 2.9 | 3.4 | 4.2 | 5.5 | 5.3 | 4.5 | 5.3 |
(人)
2002 (2001.3.31) |
2004 (2003.3.31) |
2006 (2005.3.31) |
2008 (2007.3.31) |
2010 (2009.3.31) |
2012※ (2011.3.31) |
2014 (2013.3.31) |
2016 (2015.1.1) |
2018 (2017.1.1) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
100,649,429 | 101,730,947 | 102,636,961 | 103,387,474 | 103,824,522 | 103,973,831 | 103,811,681 | 103,888,078 | 103,708,284 |
※:2011年東日本大震災により人口を報告できなかった22市町村については、2010年3月31日現在の住民基本台帳人口を使用。
注) 各年の人口:( )内の日付現在の住民基本台帳による。
出典:総務省統計局ウェブサイト(住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯調査数)
図5 週1回以上の種目別推計実施人口の年次推移(競技系種目)
注) 推計実施人口:表3の住民基本台帳人口(人)に表4の実施率(%)を乗じて推計
2002 (n=2,267) |
2004 (n=2,288) |
2006 (n=1,867) |
2008 (n=2,000) |
2010 (n=2,000) |
2012 (n=2,000) |
2014 (n=2,000) |
2016 (n=2,926) |
2018 (n=2,929) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
バドミントン | 0.8 | 1.0 | 0.7 | 1.1 | 1.0 | 0.9 | 1.1 | 1.4 | 1.0 |
卓球 | 1.4 | 0.8 | 0.4 | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 0.9 | 0.8 | 1.0 |
サッカー | 0.6 | 0.5 | 0.5 | 0.9 | 1.0 | 1.4 | 1.0 | 0.9 | 1.2 |
わが国の運動・スポーツ実施状況を週1回以上の実施率に着目し分析したところ、エクササイズ系種目は、ほぼ全ての年代の実施率と種目ごとの実施人口は増加しており、全体的に増加傾向にある。一方、競技系種目は年代や種目によって特徴がみられ、全体的には横ばいで推移をしている。年代別などの特徴や傾向としては以下の3つがみられた。
年代別の傾向をみると、エクササイズ系種目、競技系種目ともに60歳以上の中高齢者の実施率は増加しており、定期的に運動・スポーツを実施している人が増えている。特にエクササイズ系種目で大きく増加した。中高齢者の実施率の推移は年1回以上の運動・スポーツ実施状況と同様の傾向がみられ、実施頻度に関係なく増加している。
一方、競技系種目では、20歳代、30歳代の実施率が増加しており、20歳代、30歳代の実施率が減少傾向にある年1回以上の実施状況とは異なる結果がみられた。若い世代は競技系種目を不定期に楽しむ層より、定期的に取り組む層が増加していると考えられる。
本レポートは分析レポートVol.6に引き続き、週1回以上の運動・スポーツ実施状況を分析した。今後も経年のデータを分析し、わが国の運動・スポーツ実施状況を明らかにしていきたい。
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所研究員 鈴木 貴大
最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。
活用例
スポーツライフ・データ