SSFは『週2回以上、1回30分以上、主観的運動強度「ややきつい」以上』の運動・スポーツ実施者を「アクティブ・スポーツ人口」と定義し、この割合をわが国のスポーツ振興の指標のひとつとして提示してきた。また、文部科学省はスポーツ振興基本計画において週1回以上のスポーツ実施率を、さらに「スポーツ立国戦略」(2010)からは週1回以上と週3回以上のスポーツ実施率の向上を政策目標としている。
しかし、SSF調査の二次分析は、運動・スポーツの実施頻度を高めることを目指してきた現在のスポーツ振興策を支持する結果を提示していない。健康・体力づくりの面からは、ウォーキングや体操などの運動・エクササイズを定期的に実施する人が増えることは望ましいが、週1回には満たない頻度で競技系スポーツを楽しみ、満足している層の実施頻度を高めることは、最優先のスポーツ振興策ではないだろう。多くの国民にとっての豊かなスポーツライフが、「競技系のスポーツを楽しみながら、健康のための運動を織り交ぜて週1回以上の実施頻度を維持する」といった定型に都合よくはまるとは考えにくい。「量から質へ」、わが国のスポーツ振興策は方向転換が必要な時期にきているのではないだろうか。