日本における既存のスポーツ施設をめぐる状況――数・種類・所管
- 日本では、スポーツ施設を持つ省庁は複数あり、施設の管理および情報の把握は各省庁がそれぞれ行っている。
- 現在、各省庁で行われている調査では、把握しきれない「スポーツの場」の存在が明らかに。
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スポーツ政策研究所を組織し、Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
日本における既存のスポーツ施設をめぐる状況――数・種類・所管
スポーツ施設情報一括管理の先行事例 ――フィンランド「Lipas」の場合
日本におけるスポーツ情報公開サイト構築の可能性
現在、スポーツ施設の把握は、文部科学省の「社会教育調査」などでなされているが、調査対象から漏れている施設や重複している施設があるなど、多くの課題があると指摘されている。本調査では、日本国内の基礎自治体および広域自治体において、公共スポーツ施設以外の公共施設について現状の「社会教育調査」などから漏れている施設の存在が改めて明らかとなり、ストックマネジメントの上でも今後、社会教育調査などを改良する必要性が示唆された。
今回ヒアリングをしたフランス、フィンランドにおいては、国単位で情報の集約と更新、公開を行っているが、目的は一般市民への情報公開ではなく、地方自治体担当者の予算作成や政策立案時の活用となっている。「スポーツの場」に関する情報を一元化して公開するためには、どの施設でどのような種目が実施可能かという情報を正確に把握することが求められる。日本において同様の取り組みをする場合には、①ターゲットの明確化②スポーツ施設や種目を詳細に定義付け③更新者や更新頻度、更新情報の詳細を決定④情報収集担当者となる自治体担当者や施設所有者がメリットを感じられる体制の構築、以上4点を事前に決定する必要があるといえよう。今後、わが国においても両国の仕組みや調査票等を参考にしつつ独自のスポーツ施設情報公開システムの構築が求められる。
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 研究員 清水 恵美
※各省庁の調査結果よりSSF作成(報告書p.3~5を参照)
全文(PDF:2.51MB)