2 年に 1 度実施している『中央競技団体現況調査』の 2020年度調査結果を公開いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響を受け思い通りに活動が出来ない中、2020年東京オリンピック・パラリンピック後を見据え、普及と強化を進めなければならない中央競技団体について、「役職員構成」「登録競技者数」など、項目ごとに現況をまとめています。
- 調査・研究
© 2020 SASAKAWA SPORTS FOUNDATION
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スポーツ政策研究所を組織し、Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
2 年に 1 度実施している『中央競技団体現況調査』の 2020年度調査結果を公開いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響を受け思い通りに活動が出来ない中、2020年東京オリンピック・パラリンピック後を見据え、普及と強化を進めなければならない中央競技団体について、「役職員構成」「登録競技者数」など、項目ごとに現況をまとめています。
① 経常収益の変化
新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業活動が制限された2020年4月~9月期における当初収支予算に対する経常収益の変化について、最も多かったのは「20%以上の大幅なマイナス影響が発生」(44団体)で、全体の半数以上で大きな減収。
② 経常収益減少の要因
「主催・公認大会の自粛・延期・中止」が81.5%と最も高く、以下「登録競技者数の減少(61.5%)、「オフィシャル・スポンサー収入の減少」(52.3%)、「その他」(6.0%)の順
「スポーツ団体ガバナンスコード」(2019)の遵守と公表が追い風となり、中央競技団体の組織運営体制の整備が進められている。特に役員の構成では、目標割合の設定とその具体策により女性役員の増加がみられる。恐らく、今年度に改選期を迎える団体では、更なる女性役員の登用が加速するだろう。多様性の確保の観点から、競技経験のみならず女性ならではの視点や経験が反映される組織運営が望まれる。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大は中央競技団体の経営に多大な影響を与えている。2020年度上半期における経常収益の変動をみると、回答団体の9割にあたる71団体が、大会等事業の自粛・延期・中止やそれに伴う登録競技者の減少、スポンサー契約の見直し等の要因により一定程度のマイナス影響があったと回答した。同感染症の収束の見通しが立たない中、断続的な制限が求められる事業活動を鑑みると、年間を通じてさらに大きな減益が生じる可能性があり、中央競技団体の厳しい経営状況が浮かび上がる。東京オリンピック大会後を見据え、収益力を高める経営強化や適正なガバナンスの確保など、中央競技団体の責務は拡大する一方だが、統轄団体をはじめとしたスポーツ界全体でこの難局を乗り越える施策や仕組みづくりに期待したい。
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策ディレクター 吉田 智彦
1.役職員および評議員
団体の役職員および評議員について、「理事(常勤)」「理事(非常勤)」「監事」「評議員」「正規雇用者」「契約/嘱託職員」「出向」「派遣職員」「アルバイト」「インターン」および「その他」の分類で性別に人数をたずねた。78団体の役職員および評議員の合計は4,126人であり、このうち「理事(常勤)」「理事(非常勤)」「監事」(3役職を合わせて以下、役員とする)が1,615人、「評議員」が1,394人、役員および評議員を除いた職員等は1,117人であった(図表1)。
(人)
種別 | 男性 | 女性 | 計 |
---|---|---|---|
理事(常勤) | 119 | 21 | 140 |
理事(非常勤) | 1,100 | 210 | 1,310 |
監事 | 145 | 20 | 165 |
評議員 | 1,252 | 142 | 1,394 |
正規雇用者 | 395 | 269 | 664 |
契約/嘱託職員 | 107 | 79 | 186 |
出向 | 70 | 21 | 91 |
派遣職員 | 7 | 37 | 44 |
アルバイト | 28 | 44 | 72 |
インターン | 13 | 1 | 14 |
副業・兼業 | 30 | 7 | 37 |
その他 | 7 | 2 | 9 |
合計 | 3,273 | 853 | 4,126 |
役員の人数を全体(4,126人)に対する割合でみると、理事(常勤)が3.5%、理事(非常勤)が31.7%、監事が4.0%と、理事(非常勤)の割合が飛び抜けて高く、多くの理事(非常勤)が存在していることがわかる。性別にみると、男性役員の合計が1,364人であるのに対して女性役員は251人と、役員の84.5%が男性で占められている。
また、78団体のうち9団体(11.5%)では女性役員が存在せず、39団体(57.1%)では女性役員が2人以下であった。なお、分析対象としている団体が異なるため単純な比較は難しいが、女性役員が存在しない団体の割合は2010年度44.3%、2012年度31.0%、2014年度19.1%、2016年度17.7%、2018年度11.1%と減少傾向にある。
役員・評議員を除いた職員等の数は78団体で1,117人であり、1団体あたりの平均は14.3人である。前述の役員と同様に、回答団体が異なるため単純な比較は難しいが、2018年度調査の職員等902人から総数で215人の増加がみられた。人数の分布は0人から221人までその規模はさまざまである。職員等が存在しない団体(5団体)では、役員が職員の役割を兼務しているものと推察される。性別にみると、男性が657人(58.8%)、女性が460人(41.2%)であり、役員・評議員と比較すると女性の割合が高かった。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業活動が制限された2020年4月~9月期における当初収支予算に対する経常収益の変化についてたずねた。最も多いのは「20%以上の大幅なマイナス影響が発生」の44団体で、全体の半数以上が大きな減収があったと回答した(図1)。次いで「一部のマイナス影響が発生」が21団体、「今後、年度内にマイナス影響が発生する見込み」が6団体、「算定不可」が3団体であった。マイナス影響を受ける団体の割合が突出する一方、「変化なし」(3団体)、「プラス影響の発生・発生見込み」(2団体)と回答する団体もあった。
「20%以上の大幅なマイナス影響が発生」または「一部のマイナス影響が発生」と回答した65団体の経常収益減少の要因については、「主催・公認大会の自粛・延期・中止」が81.5%と最も高く、以下「登録競技者数の減少」(61.5%)、「オフィシャル・スポンサー収入の減少」(52.3%)、「その他」(6.0%)の順であった(図表3)。「その他」の要因には、「受取補助金の減少」「各種講習会等の中止に伴う参加料減収」などの回答が含まれる。
このうち、「主催・公認大会の自粛・延期・中止」において大会数の回答があった32団体をみると、自粛・延期・中止が1~10大会に及んだのは20団体にのぼり、11~20大会が6団体、21大会以上が6団体であった。最少は1大会(3団体)、最大は150大会(1団体)であった。「登録競技者数の減少」につき、おおよその減少割合を回答した27団体では、4割にあたる11団体で約20%もしくはそれ以下の減少があった。そのほか、約41~60%が9団体、約61~80%が4団体、約21~40%が3団体で、約80%を超えた減少割合を回答した団体はなかった。同様に「オフィシャル・スポンサー収入の減少」へ回答した19団体の減少割合をみると、7団体が約20%以下と回答した。続いて約41~60%が5団体、約21~40%および約81~100%がともに3団体ずつ、約61~80%が1団体であった。100%と回答する団体もあり、スポンサー収入の減少が厳しい状況にある。
スポーツ・ガバナンス
2020年度
公益財団法人 笹川スポーツ財団