障害者スポーツ教室や大会・イベントなどが多く開催され、スポーツの競技性や志向に至るまで、多種多様なニーズに対応できる専門家を有しています。また、「移動支援や同行援護の福祉サービス」 「放課後等デイサービス/日常的な活動」などのサービスも充実しており、障害児・者が「スポーツをやりたい!」というときに、安心して始めることができます。
全国29の障害者スポーツセンター一覧(2024年5月時点)です。設備は施設により異なりますが、体育館、トレーニング室、プール、多目的室などの設備があり、なかには、サウンドテーブルテニス室(盲人卓球室)なども整備されている施設もあります。設備が充実されているため、さまざまなイベントや大会、教室が実地されます。
障害者スポーツセンターを中心とした、障害者専用・優先スポーツ施設における、障害者の利用者数の推移です。2019年度の障害者の利用者数が10万人を超えた施設は、「大阪市長居障がい者スポーツセンター」「障害者スポーツ文化センター(横浜ラポール)」「大阪市舞洲障がい者スポーツセンター(アミティ舞洲)」「東京都障害者総合スポーツセンター」「埼玉県障害者交流センター」でした。2019年度の障害者の利用者数が多かった上位10位までの施設は、全てにおいて、2020年度の障害者の利用者数は大幅に減少しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響と考えられます。
笹川スポーツ財団では、国内で障害者が気軽に運動できる施設があるのか調査をしており、最新(2021年)の結果では、障害者スポーツセンターを含む障害者専用・優先スポーツ施設は150あることが分かっています。障害児・者の運動・スポーツの日常化に向けて、地域の障害者スポーツセンターを中心に、周辺の障害者専用・優先スポーツ施設や公共スポーツ施設、福祉施設などがネットワーク化することで、障害者のスポーツ参加を促進すると提言しています。
障害者スポーツセンターなどの障害者専用・優先スポーツ施設の付帯施設をみると、「体育館」が85.5%と最も多く、ついで「トレーニング室」(45.5%)、「プール」(41.8%)、「多目的室」(27.3%)、「サウンドテーブルテニス室(盲人卓球室)」(26.4%)でした。「その他」は、スケートボードパーク、重度体育室、ゲートボール場、クラフトルームなどとなっています。
障害者スポーツセンターなどで障害者スポーツ用具を保有している施設の用具の貸出状況を確認します。「卓球/用具(ラケット/ボール等)」が85.7%と最も多く、ついで、「ボッチャ/ボッチャボールセット」(82.4%)、「フライングディスク/用具(フライングディスク・アキュラシーゴール・ディスゲッター等)」(76.9%)、「バドミントン/ラケット・シャトル」(72.5%)となっています。
障害者スポーツセンターなど障害者専用・優先スポーツ施設における放課後等デイサービス、総合型地域スポーツクラブ、小・中・高等学校の運動部活動の利用状況についてみると、「放課後等デイサービス/日常的な活動」が64.5%と最も多く、ついで「小・中・高等学校の運動部活動/日常的な活動」49.5%でした。
東京都障害者スポーツ協会、東京都障害者総合スポーツセンター、東京都多摩障害者スポーツセンターの役職員との議論を経て、障害者専用スポーツ施設のあり方を5項目に定義しました。障害者専用スポーツ施設は、障害者のスポーツ推進の中核拠点としての役割が求められます。
障害者のスポーツ推進の中核拠点としての役割が求められる、障害者スポーツセンターなどの障害者専用スポーツ施設には、障害者スポーツ活動推進のために、さまざまな事業・機能が期待されます。
例えば、「障害者が運動・スポーツを新たに始めたい」「もう一度再開したい」というときに、障害の種類や程度と本人のニーズを踏まえて、適した種目や活動を紹介する機能 です。重度障害者が安全にスポーツをする際、医師や理学療法士などの専門家の知見が必要な場合があることから、重要な機能となります。
ほかにも、種目別、レベル別、障害種別など、指導者のもとで目的や対象に合わせスポーツ教室を実施する、主に障害者やその家族からなる種目別、障害の種類別のクラブやサークルの支援などの事業・機能があります。
障害者スポーツセンターなどの障害者専用・優先スポーツ施設における障害者スポーツ指導に関わる有資格者の配置状況についてみると、「初級障がい者スポーツ指導員」を配置している施設は82.9%で、平均指導者数は3.7人でした。
障害者スポーツセンターなど障害者専門スポーツ施設における専門職のあり方として、専門職が備えるべき能力を3つにまとめました。
①支援力・指導力:障害の種類・程度、利用の目的などを問わず、一人ひとりに向き合いスポーツ支援・指導ができる。
②想像力・創造力:各施設や場所の特色を理解し、障害者のスポーツ環境を整えることができる。
③発信力・調整力・情報収集力:障害者スポーツに関する情報を発信し、地域の関係機関・団体をつなげることができる。
住所などの詳細は、PDF(277KB)をご覧ください。
笹川スポーツ財団では、「障害児・者の運動・スポーツの日常化」「共生社会の実現」に向けて、国内の障害者スポーツにかかわる調査・研究を行っています。また、障害者スポーツを推進する外部団体と共同実践研究も実施。日頃の調査、実践研究から得た結果を、政策提言として発表しています。