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国際情報
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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

イギリス政府の新たなスポーツ戦略「Get Active」について

イギリスの文化・メディア・スポーツ省(以下、DCMS)は、2015年に策定された「Sporting Future: A New Strategy for an Active Nation」(以下、Sporting Future)をベースとしながら、その成果を振り返ったうえで内容をアップデートし、新たな戦略である「Get Active: a strategy for the future of sport and physical activity」(以下、Get Active)を2023830日に公表しました。

本戦略は202112月にイギリス議会の上院に相当する貴族院(House of Lords)のスポーツ・レクリエーションの国家計画に関する特別委員会(The Committee on a National Plan for Sport and Recreation)が政府に対して、スポーツ・健康・ウェルビーイングのための国家戦略の策定を求めるレポートを公表したことをきっかけとして、省庁横断かつスポーツセクター全体の関係者と連携しながら検討・策定が進められてきました。

Get Activeの目次は下記の通りとなっています。(日本語は仮訳となっています。)

Ministerial foreword
文化・メディア・スポーツ大臣による序文
Executive summary
エグゼクティブ・サマリ
Building on strong foundations
強固な基盤の上に(前戦略 Sporting Futureの振り返り・用語解説など)
Chapter 1: Driving participation and addressing inactivity
優先テーマ1:参加を促進し、運動不足に対処する
Chapter 2: Strengthening the integrity of sport
優先テーマ2:スポーツのインテグリティを強化する
Chapter 3: Making sport more sustainable
優先テーマ3:スポーツの持続可能性を高める
Measuring success
成果の測定について
Summary of actions
今後のアクションまとめ

Get Activeでは3つの戦略上の優先テーマを設定しており、テーマごとに現状のデータや先進事例を紹介した上で、より具体的なサブテーマと今後のアクションを整理しています。

またGet Activeでは、実施したアクションの成果をどのように図るかについても、明確に示されています。成果指標の測定方法はスポーツ・イングランド※12015年から継続的に実施しているActive Lives Surveyが中心となっており、基準となる年次(2021-202211月)と目標年次(2028-202911月)が設定されています。今後はDCMSのアニュアルレポートで、各目標の進捗状況が報告される予定です。

優先テーマ1のサブテーマには「参加レベルの格差」が掲げられており、格差については性別、年齢、障害の有無、社会経済的地位(Socio-Economic group)、民族性(Ethnicity)の5つの要因に加えて、地理的な格差も存在しており、その是正に向けた活動を行うとしています。実際に上述のGet Activeの成果指標には、参加率の格差是正に向けた指標が6つ、地域間の格差是正に向けた指標が3つ設定されています。
これは20211月に発表されたスポーツ・イングランドの長期戦略「Uniting the Movement」に掲げられたミッションとも整合しており、イギリス国内の草の根スポーツ振興において、「格差の是正」が大きなテーマになっていることが読み取れます。

SSFでは、今後もスポーツ政策に関する最新の国際情報を積極的に収集・発信・活用してまいります。

1 スポーツ関連の非省庁公的機関であり、イングランドにおける草の根スポーツの振興を担っている

2 国家統計社会経済分類(NS-SEC)はイギリスの国家統計局による雇用関係と職業に基づく分類である
NS-SEC
区分1-2:経営・管理職、専門職(医師、俳優、ジャーナリストなど)
NS-SEC
区分 3-5:中級・下級監督、技術職、自営業、小規模雇用者(例:秘書、配管工、電車の運転手など)
NS-SEC
区分 6-8:準定型・定型的な職業(例:バス運転手)、長期失業者または働いたことのない者

 

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 政策ディレクター 武富 涼介

【参考資料】

DCMS:Get Active: a strategy for the future of sport and physical activity(英語のみ)
https://www.gov.uk/government/publications/get-active-a-strategy-for-the-future-of-sport-and-physical-activity

DCMS:Government teams up with sport stars to launch new physical activity drive(英語のみ)
https://www.gov.uk/government/news/government-teams-up-with-sport-stars-to-launch-new-physical-activity-drive#:~:text='Get%20Active%3A%20A%20strategy%20for,at%20elite%20and%20grassroots%20level.

DCMS:Government response to the House of Lords National Plan for Sport and Recreation Committee report: 'A national plan for sport, health and wellbeing(英語のみ)
https://www.gov.uk/government/publications/government-response-to-the-house-of-lords-national-plan-for-sport-and-recreation-committee-report/government-response-to-the-house-of-lords-national-plan-for-sport-and-recreation-committee-report-a-national-plan-for-sport-health-and-wellbeing

UK Parliament, National Plan for Sport and Recreation Committee: A new national plan for sport, health and wellbeing is needed to tackle inactivity says Lords Committee(英語のみ)
https://committees.parliament.uk/committee/482/national-plan-for-sport-and-recreation-committee/news/159591/a-new-national-plan-for-sport-health-and-wellbeing-is-needed-to-tackle-inactivity-says-lords-committee/

スポーツ・イングランド:Uniting the Movement(英語のみ)
https://www.sportengland.org/about-us/uniting-movement