セーリングの歴史・沿革
ヨットはオランダがその発祥といわれ、その後、英国へ渡り普及していく。交通手段が発達してない時代、大海原を渡るためにヨットは生まれた。当初は輸送や連絡などの実用的な用途に使用されていたが、レジャーとして利用したのは英国王チャールズ2世が最初だといわれている。1660年から1683年にかけて英国で26隻のヨットが建造されたという記録もある。ただし、まだまだスポーツ的な要素は少なかった。
スポーツとしてのセーリングの歴史は、船の小型化が進み、アイルランドで1720年に世界最古のヨットクラブが設立されたのが歩みの始まりだ。世界最古のヨットクラブはコークウオータークラブとされている。その後、1800年代中期よりスポーツとしてのセーリングが活発になっていく。1896年には、第1回アテネオリンピックの競技にも採用されたのだ(当時は悪天候により競技は実施されなかった)。
現在、セーリングは国際セーリング連盟(ISAF)によって統括されている。ISAFには日本(JSAF)を含む100以上の国・地域が加盟し、セーリング競技を管轄するための意思決定を行っている。
ISAFの前身は国際ヨット・レーシング・ユニオン(IYRU)で、レースを行う統一した競技規則と計測システムが必要なことから1907年10月に設立された。1996年8月、IYRUはISAFに改称され、国際オリンピック委員会(IOC)にセーリング競技の世界的統括団体として正式に承認されている。
ISAFは国際的なセーリング・スポーツのプロモーションやオリンピックでのセーリング競技の運営、国際セーリング競技規則やレギュレーションの管理、ジャッジやアンパイアなどのトレーニングと管理、世界中でのセーリング・スポーツの普及など、すべてのセーリング・スポーツに関する事柄に責任を負っている。
1996年のアテネオリンピックまでは、セールボート競技をヨット競技という名称だった。今でもヨットという言葉は一般的に日常でも使用されている。オリンピックでは2000年の大会以降、セーリングという名称に変更されている。
セーリングの概要
主たる推進装置として帆(セール)を使用する船をセールボートと呼び、セールボートを使用するスポーツやレジャーをセーリングと称す。今も昔も動力を使わず、風の力のみを使って大海を滑るように進むスポーツで、そこが大きな魅力と言える。
セールボートはディンギーとクルーザーに大別される。ディンギーはオリンピックに採用されるような小型セールボートで、短距離を走る。そのため、夜間航海の設備を有しておらず、日没までには帰港するのが基本だ。
一方、クルーザーは夜間航海のほか、船内調理や就寝ができるキャビン設備を持っており長距離航海が可能となっている。
また、ディンギーを使った競技はインショア(内海)で行われる。転覆しても自力で船を起こし再帆走が可能だが、レースは救助体制が整う環境下で行われる。一方、クルーザーの競技はスタートからフィニッシュまで自己の帆走能力だけを頼りに帆走し、インショアだけではなくオフショア(外洋)を走ることや、夜間航海をすることもある。
ディンギー、クルーザーともに海上に仮想スタートライン(本部船とブイを結ぶ見通し線)を設置し、それをスタートしてコースを帆走する。コースはレースごとの帆走指示書によって定められている。
セーリングのルール
セールボート競技のルールであるレーシングルール・オブ・セーリング(Racing Rules of Sailing)は4年に1回、オリンピックの翌年に改定される。
セーリングのコート・用具
【レースコース】
コースはレースごとの帆走指示書によって定められる。例えば、オリンピックなどでは図のようなトラぺゾイドコースが採用されている。図の中の本部船(Race Committee Signal Boat)と左側の旗(アウターマーク)の間の仮想線がスタートラインとなる。このラインを風上マークに向かって超えたらスタートする。その後は指示に従ってマークを回航し、フィニッシュライン(本部船とアウターマークを結ぶ仮想線)を横切ることによってフィニッシュとなり、着順を競う。
公式サイト
日本セーリング連盟