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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

オリンピック裏話 あなたもこれで五輪雑学博士

オリンピックに人生を捧げて半世紀
招致活動から記録映画まで
五輪のすべてを網羅した50篇

本書は地方税中心の実務研究月刊誌『税』に連載された「スポーツ裏話」から、選りすぐりの50篇を取り出したコラム集である。著者の伊藤公は日本体育協会の職員としてオリンピック関係業務を担当し、のちに取材する側に立場を変え、オリンピックを追いかけ続けた“オリンピック評論家”だ。
著者は1964年の東京オリンピックを終えた2年後に日本体育協会で職を得て、日本がボイコットした1980年のモスクワ五輪では国際担当参事を務めた。つまりは歴史の生々しい現場に身を置いてきたわけであるが、本書はそうした“事件”のドロドロとした裏話とは距離を置いている。

副題の「あなたもこれで五輪雑学博士」とキャッチフレーズに偽りはなく、扱っているトピックスの守備範囲は広い。オリンピックの歴史から、国際オリンピック委員会(IOC)や日本オリンピック委員会(JOC)という組織、はてはオリンピック公式記録映画、オリンピック関連書籍の考察まで、オリンピック評論家の看板に恥じない知見を披露していく。
たとえば日本の五輪誘致の歴史だ。日本は2020年東京大会が決まる前までに、オリンピック開催に9回手を上げ、その戦績は「3勝6敗」だった。言うまでもなく3勝は1964年の東京、1972年の札幌、そして2020年の東京ということになるが、6敗の中身をパッと口にできる人は少ないだろう。

また、前回の「東京」は言うまでもなく1964年大会のことを指すが、その前にも「東京」はあった。戦前の1940年、東京で夏季大会、札幌で冬季大会の開催が決まったのだ。
ところが戦火の拡大により、国は大会の2年前にIOCに開催返上を申し出る。1935年生まれの著者にしてみると「年輩者ならだれでも知っている」話とはいえ、2020年に初めてオリンピックを経験する世代となると、知らない人も多いだろう。2020年東京大会を迎えるにあたり、このあたりのエピソードもおさえておくと、オリンピックへの関心がグッと高まるに違いない。

メダルの数にまつわる話が比較的多いのも、本書の特徴と言えるだろう。メダル数争いを強調するのは、ここ10年ほどのメディアの“過剰な報道”として非難の対象となりがちだ。しかし「国別メダル獲得数」といった比較に、多くの人が興味を惹かれるのは事実である。著者はメダル獲得数の話題に何度も触れながら、「オリンピックはメダルの数がすべてではない」と必ず断ってから本題に入るところが何だか微笑ましい。
著者はこの作品を2013年12月に上梓し、その半年後にこの世を去った。オリンピックをこよなく愛した評論家の遺作は、2020年をより楽しむための指南書にもなろう。

(掲載:2018年02月02日)

著者
伊藤公
編集発行
ぎょうせい
紹介者
笹川スポーツ財団
ジャンル
スポーツ文化
定価
1,800円+消費税