平成26年度 文部科学省『スポーツにおけるボランティア活動活性化のための調査研究(スポーツにおけるボランティア活動を担う組織・団体活性化のための実践研究)』報告書
スポーツを通じて、全ての人々が幸福で豊かな生活を営む社会を実現する上で、スポーツを「支える」ボランティアの重要性が高まっている。地域の競技団体・クラブによる日々の指導や、大小様々な規模のスポーツイベント(町の運動会から日本で開催される国際競技大会まで)など、あらゆるスポーツの場面において、スポーツボランティアの存在は不可欠である。しかしながら、我が国のスポーツボランティア実施率は、近年6%~8%で推移しており、その活用は十分ではない。
そこで、本事業はスポーツボランティア個人やスポーツボランティア団体等の詳細な実態把握を行うことによって、スポーツにおけるボランティア活動の担い手(個人や組織・団体)の要件を整理し、活動の活性化のための今後の方向性と「支えるスポーツ」の推進を図るための基礎資料とすることを目的とした。
主に、スポーツボランティア組織・団体の実態調査と9組織・団体での事例調査、3組織・団体でのトライアル事業を実施した。
地域で活動しているスポーツボランティア組織・団体(5団体)、ボランティアを活用しているトップスポーツチーム(4団体)のヒアリング調査の結果をまとめた。
<地域で活動する組織・団体>
①日産スタジアム運営ボランティア
- スタジアム専属のボランティア組織として1999年に設立。
②NPO法人成田空港ボランティア・スカイレッツ
- 長野オリンピック・パラリンピック時に、成田空港で案内や送迎を担当したボランティアが1998年に組織化。
③北九州市障害者スポーツボランティアの会 SKET(スケット)
- 1992年に結成した障害者スポーツ指導組織を、大規模イベント開催を機に再編。
④山口県スポーツボランティア
- 2011年の「おいでませ!山口国体」に向け、募集・養成したボランティアを組織化。
⑤埼玉県スポーツボランティア
- 2004年「彩の国まごころ国体」に参加したボランティアを組織化。
<トップスポーツチームのボランティア組織・団体>
⑥川崎フロンターレボランティア
- 1997年にボランティア組織を設立し、ホームゲームと地域イベントで年間延べ150日以上活動。
⑦仙台89ERSボランティア
- 仙台市内のスポーツボランティア団体と連携してボランティア組織を2005年に設立。
⑧山雅後援会TEAM VAMOS(チームバモス)
- 2005年にサポーターの有志がボランティア組織を設立。2011年に山雅後援会が設立し、その下部組織として位置付けられる。
⑨北海道日本ハムファイターズボランティア
- 2004年の北海道への移転後、地域密着を目指して、2007年にボランティア組織を設立。
①スポーツボランティアの育成及び組織の創設支援(岡山県)
効果
スポーツボランティア42人、スポーツボランティア・リーダー23人を育成することができた。
県内の1市でスポーツボランティアに関する取組が行われた。
②スポーツイベントボランティアの活動活性化支援(広島市)
効果
協会、依頼団体、ボランティアの三者が一堂に会した意見交換ができた。中心となる登録ボランティアの活動意欲が向上した。協会の事業を発展的に展開・活動するための足掛かりとなった。新たなボランティアの活動の場の開発につながった。
③中高生のスポーツボランティア育成講座の開設(仙台市)
効果
中学1年~高校3年の29人が参加、うち22人が修了生となった。本プログラムが中高生スポーツボランティアの発掘・育成に有効であることが確認できた。
本報告書は、文部科学省の委託事業として、公益財団法人笹川スポーツ財団が実施した平成26年度「スポーツにおけるボランティア活動活性化のための調査研究(スポーツにおけるボランティア活動を担う組織・団体活性化のための実践研究)」の成果をとりまとめたものです。したがって、本報告書の複製、転載、引用等には文部科学省の承認手続きが必要です。