オリンピアンの引退理由は、夏季大会・冬季大会ともに、「仕事を優先するため」の割合が最も高く、「年齢による体力的な問題」「自己の成績に満足したため」と続く
夏季大会への出場経験をもつオリンピアンの引退理由で最も割合の高い回答は「仕事を優先するため」(46.0%)で、以下、「年齢による体力的な問題」(45.5%)、「その他」(18.6%)、「自己の成績に満足したため」(18.1%)、「けが」(14.1%)、「競技を楽しめなくなったため」(8.8%)、「金銭的な問題」(6.2%)と続く。ただし、「仕事を優先するため」では、男性の57.1%に対し女性が18.6%と大きな差があり、男性の割合が全体を引き上げたことがわかる。相対的に高い割合を示したのは「年齢による体力的な問題」で、男女とも約半数が引退理由に挙げた。一方、女性の引退理由で男性を大幅に上回った項目は、「自己の成績に満足したため」や「競技を楽しめなくなったため」といったいわゆる競技に対する完全燃焼感、あるいは成績の不振等から起こる心理的な要因がみられる。
競技を継続するために1年間にかかる経費の自己負担額を、夏季と冬季の大会別・性別の平均でみると、夏季大会出場の男性が206.2万円、女性が250.7万円で、冬季大会出場の男性が245.4万円、女性が460.9万円であった
夏季・冬季の両大会出場1人を除き、回答を得た325人のうち、夏季大会への出場者では、平均額が男性で206.2万円、女性で250.7万円と女性が男性を上回った。最高額は男性の4,500万円(馬術)であった。冬季大会への出場者では、平均額が男性で245.4万円、女性で460.9万円と、女性が男性を2倍近く上回ったが、最高額は男女とも3,000万円だった。経費の高い順に競技をみると、前述の馬術に続き、スキー、スケート、セーリング、自転車、ウェイトリフティングで1,000万円を超える自己負担額があった。
引退したオリンピアンの約6割が競技団体の役職員や強化スタッフまたは指導者として従事し、愛好者として続けている約2割も含めると、約8割のオリンピアンが、現在も競技との関わりをもっている。
オリンピックに出場した競技との現在の関わりをみると、「競技団体役職員として」が19.7%と最も多く、以下「愛好者として」(18.0%)、「地域スポーツ指導者として」(15.8%)、「強化スタッフとして」(13.5%)、「部活動指導者として」(10.6%)の順であった。約8割のオリンピアンが、競技団体に従事して競技の普及や強化に携わったり、地域のスポーツ現場で指導者として活躍したり、自身も愛好者として競技を続けたりしている。一方、競技とは「関わっていない」オリンピアンは2割にのぼった。