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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツ行政における公共部門の役割に関する研究

『スポーツ行政における公共部門の役割に関する研究』を発表

2011年度研究調査事業として行った『スポーツ行政における公共部門の役割に関する研究』を発表し、わが国におけるスポーツ行政の現状についてまとめました。

調査対象
岐阜県、長崎県、神奈川県
調査方法
ウェブサイト等の公開資料
発行
2012年3月

POINT 1

特別会計の統廃合などによって、スポーツと関連が強い政策分野以外の予算把握が困難になっており、『スポーツ庁』が省庁横断的組織として設置される可能性は低い

省庁横断的なスポーツ関連予算は、唯一『体力つくり関係予算額調』のみによって把握されているのが現状であり、体力つくり関係予算は主に国土交通省所管予算の影響を受け、近年大幅に減少している。
また、厳しい財政状況にあって、社会保障関係以外の予算を拡大することは難しいため、各省庁は所管事業の推進に必要不可欠な予算がスポーツ庁に移管されることを警戒することも考えられる。
スポーツ基本法の成立により、スポーツ庁設置の機運が高まる中で、政治の動きやそれに伴う行財政改革、さらには各省庁の思惑といった事象も複雑に絡み合い、スポーツ関連予算の把握はより一層困難になると思われる。

POINT 2

都道府県のスポーツ関連予算(支出)は分野横断的に把握されておらず、現状では過小に評価されている

調査対象県2県の支出金額の合計は66.7億円。そのうち、両県のスポーツ支出の合計額は42.6億円であった。体力つくり関係予算が約428億円、文部科学省が把握する都道府県スポーツ関係予算が493億円であるため、2県のスポーツ関連支出の大きさがうかがえる。また、スポーツ支出の2県平均支出金額は21.3億円である。文部科学省が把握するスポーツ関係予算(493億円)の都道府県平均額は約10.5億円であるから、全都道府県について同様の調査をする必要はあるが、都道府県のスポーツ(関係)予算は実際よりも過小に把握されてきた可能性が示唆される。

研究担当者コメント

わが国のスポーツ関連予算を省庁横断的に把握してきた『体力つくり関係予算額調』であるが、近年の行財政改革によりその役目を終えつつある。しかし、今後スポーツ庁の設置を検討するならば、国土交通省・厚生労働省などの他省庁が所管するスポーツ関連政策の予算・権限などを詳細に把握し、集約していくことが求められる。また、それが出来なければスポーツ庁を設置する意義は薄れてしまう。国が行うスポーツ関連行政の現状把握と整理を早急に行う必要があるだろう。

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 研究員 藤原 直幸

共同研究者コメント

地方自治体には国の『体力つくり関係予算額調』に相当する、スポーツ関連政策・予算を分野横断的に把握できる資料は存在しない。これは、スポーツ関連政策がさまざまな部局によって進められているため、スポーツ関連予算データの集約が困難であることを意味する。国による地方分権の推進、地方における厳しい財政運営、法律改正によるスポーツ行政所管部署の移管などの状況の中で、スポーツに関係する予算・権限を分野横断的に把握した上で、今後の地方スポーツのあり方を考える必要がある。

PHP総研 政治経済研究センター 主任研究員 宮下 量久

報告書

全文(PDF:1.09MB)

目次

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本事業は、ボートレースの交付金による日本財団の助成金を受けて実施しました。

テーマ

スポーツ政策・予算

キーワード
年度

2011年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

共同研究者
  • 宮下 量久 PHP総研 政治経済研究センター
    主任研究員