2015.10.13
- 調査・研究
© 2020 SASAKAWA SPORTS FOUNDATION
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スポーツ政策研究所を組織し、Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
2015.10.13
ボストン・レッドソックスの記事でも触れたように、米国Major League Baseball(MLB)では、将来世代である子どもの野球離れを防ぎ、球場へ呼び込むことが重要な課題となっている。レッドソックスがRed Sox Kid Nation(子ども会員制度)、Wally's Clubhouse(子どもが遊べる場所)といった取り組みを始めたほか、他球団でもさまざまな面で対策が行われている。今回は、個性豊かなMLB各球場の中でも「子ども・家族に優しい=family friendly」球場を目指すペトコ・パーク(サンディエゴ・パドレスの本拠地)を、短報の形で簡単に紹介したい。
写真.ペトコ・パーク(Petco Park, San Diego)
ペトコ・パークはカリフォルニア州サンディエゴに位置し、2004年に開場した比較的新しい球場で、収容人数は42,000人ほどである。子ども・家族に優しい球場という観点で言うと、その特徴は何といっても、Park at the Park (球場の中の公園)と呼ばれる外野後方の芝生の公園、そしてライト側外野席にある子ども用の砂場である。
写真の通り、外野席後方には幼い子どもがバッティングを楽しめる小球場がある。ボールを投げてくれるスタッフもいて、子どもには人気のスポットなのか、行列が出来ている。大きなスクリーンには試合の様子が映し出されており、気になる試合経過もリアルタイムで確認できる。球場内の歓声はよく聞こえるため、球場にいるという臨場感はここにいても感じることが出来る。
野球とは関係ないが、バスケットボールやボード・ゲーム等があるコーナーも隣接している。観戦に飽きてしまった(あるいは初めからこちらが目的の)子ども達で賑わう。
芝生が広がるスペースにはソファが置かれており、子どもが走り回る中、ゆっくりくつろぐ大人も。当然、窮屈なスタンド席よりも居心地は良い。金曜日等の試合前には、このスペースでParty in the Park(Fiesta in the Park)というイベントが開催されており、写真中央付近に見えるステージで音楽が演奏される中、飲食やダンスを楽しめる。
こちらがライト側外野席の砂場である。訪れる前は説明を聞いても信じ難かったが、本当にフェンス際に砂場がある。ホームランにだけは要注意である。
見守る大人が座る座席の下は芝生になっていて心地良い。他の座席よりもリラックスして球場の雰囲気を味わえる。
写真.球場全景.右下に砂場と芝生のライト側外野席、奥に芝生のスペースが確認できる
"Petco Park from above" by User thegordons on Flickr - From Flickr;
description page is (was) here. Licensed under CC BY-SA 2.0 via Commons -
以上、子ども・家族目線で作られたペトコ・パークの特徴を写真で簡単に紹介してきた。他に、食べ物の持ち込みが可能となっているなど、とにかく親に子どもを連れて来させ、「球場=楽しい場所」という記憶を子どもの脳裏に焼き付けさせることが狙いとなっている。子どもの頃の幸せな記憶をもとに、将来、自分の子どもを連れてまた球場へと帰ってくる。そうした好循環の形成を目指したアプローチが始まっている。
※本稿は、日本学術振興会海外特別研究員制度による研究の一環としてまとめたものである。記事の内容は筆者の調査結果と考えに基づくものであり、必ずしもサンディエゴ・パドレスの見解や意図を反映したものではない。
レポート執筆者
鎌田 真光 (2014年9月~2018年3月)
海外特別研究員
Research Fellow
Harvard T.H. Chan School of Public Health
Overseas Research Fellow, Sasakawa Sports Foundation (Sept. 2014~Mar. 2018)