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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

子ども・青少年のスポーツライフ・データ2019

笹川スポーツ財団では、少子化に伴う種目団体の登録者数の減少や学校運動部活動の休・廃部、子どもの体力・運動能力の低下等の社会課題を背景に、子どものスポーツ実施の現状把握を行うべく、2001年から10代を対象とした調査、2009年から4~9歳を対象とした調査を開始しました。

2017年調査より調査対象者を変更し、未就学児から小学生年代の4~11歳、中学生から大学生年代の12~21歳のする・みる・ささえるの現状を2年ごとに調査しています。今回の『子ども・青少年のスポーツライフ・データ2019』では、“子ども・青少年スポーツにみられる多様性”のテーマのもと、「過去10年間の推移からみる子どもの運動・スポーツ実施状況の多様性・格差」のほか、「中高生の運動部活動の活動実態(ガイドライン制定後の変化)」などのトピックも掲載しています。

12~21歳で、運動・スポーツをまったく行わなかった非実施者(レベル0)が増加
2019年6~7月にかけて実施した本調査の結果をみると、未就学児から小学生年代の4~11歳、中学生から大学生年代の12~21歳ともに高頻度で運動・スポーツをしている者は減少傾向を示している。特に、12~21歳では、過去1年間に運動・スポーツをまったく行わなかった非実施者(レベル0)は増加傾向にあり、前回の2017年調査と比較して5.2ポイント増加した。また、過去1年間に体育館やスタジアムに足を運んで直接スポーツを観戦した者、スポーツボランティアを行った者も減少傾向にあるという結果が明らかとなった。

子ども・青少年の体力を向上させるために
近年、家庭環境の余暇時間にスマートフォンや携帯ゲーム機などが大きな影響を与えている。スポーツ庁の2019年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」においては、子どもの体力の大幅な低下が示され、その要因としてテレビやスマートフォン、携帯ゲーム機などの画面をみている時間(スクリーンタイム)との関連性が指摘されている。子どもたちが公園や広場などで自由にボール遊びなどを行えるようにしたり、家族で一緒に身体を動かす機会を増やしたりなど、子どもの運動・スポーツ・運動あそびを促進する取り組みが急務である。

【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策オフィサー 武長 理栄


調査結果

1. 【する】

4~11歳では、週7回以上運動する者(高頻度群)の割合が微減

本調査では、高頻度群が45.5%と最も多く、次いで中頻度群、低頻度群、非実施群であった。2015年調査からわずかに高頻度群が減少し、中頻度群の割合が増加している。

性別にみると、高頻度群は男子47.9%、女子43.0%であり、男子が女子を4.9ポイント上回る。非実施群と低頻度群、中頻度群は男子よりも女子の割合が高い。2015年調査からの推移をみると、男女ともに高頻度群の割合は減少傾向にある。

なお、非実施群には「過去1年間にまったく運動・スポーツをしなかった」、低頻度群には運動頻度が「年1回以上週3回未満」、中頻度群には運動頻度が「週3回以上週7回未満」、高頻度群には運動頻度が「週7回以上」の子どもが該当する。

12~21歳では、過去1年間に運動・スポーツをまったく行わなかった非実施者(レベル0)が増加傾向

過去1年間まったく運動を行っていない者(レベル0)が21.7%、120分以上の運動強度「ややきつい」以上の 運動を週5回以上行う者(レベル4)が24.7%であった。特に、過去1年間まったく運動を行っていない者(レベル0)は前回の2017年調査と比較して5.2ポイント増加した。2015年調査からの推移をみると、レベル4が減少しレベル0が増加傾向にある。

性別にみると、男子では週5回以上、1回120分以上、運動強度「ややきつい」以上である「レベル4」が31.3%で最も高くい。女子では「レベル0」が28.3%で最も高く、「レベル4」は17.5%となっている。
年次推移をみると、男女ともに「レベル4」は減少し、「レベル0」は増加の傾向にある。特に、女子の「レベル0」の増加率は高く、2015 年調査から9ポイント増加した。

なお、レベル1には「年1回以上、週1回未満」、レベル2には「週1回以上週5回未満」、レベル3には運動頻度が「週5回以上」運動・スポーツを行う者が該当する。

2. 【みる】

12~21歳の直接スポーツ観戦率の割合は37.2%とやや減少傾向(前回2017年調査 38.3%)

過去1年間に体育館・スタジアム等へ足を運んで直接スポーツの観戦をした者は、全体の37.2%であり、わが国の12~21歳の青少年の直接スポーツ観戦人口は434万人と推計できる。2015年調査:43.4%、2017年調査38.3%からやや減少傾向にある。
性別にみると、男子の観戦率は41.7%、女子は32.4%であり、男子が女子を9.3ポイント上回った。2015年からの推移をみると、全体と女子では減少傾向にある。

3. 【ささえる】

12~21歳のスポーツボランティア実施率は、調査開始以来最高となった2015年と比べ4.1%減少の12.5%

過去1年間に運動・スポーツ活動の手伝いや世話など、スポーツ活動をささえるボランティア活動を行ったことが「ある」と回答した者は全体の12.5%であり、調査を始めて以来最も高い2015年(16.6%)と比べ、4.1%減少した。

子ども・青少年のスポーツライフ・データ2019

4~11歳のスポーツライフに関する調査 12~21歳のスポーツライフに関する調査
調査対象 1)母集団:全国の市区町村に在住する4~11歳
(2007年4月2日から2015年4月1日までに生まれた人)
2)標本数:2,400人
3)地点数:市部205地点、町村部20地点、計225地点
4)抽出方法:層化二段無作為抽出法
1)母集団:全国の市区町村に在住する12~21歳
(1995年4月2日から2005年4月1日までに生まれた人)
2)標本数:3,000人
3)地点数:市部205地点、町村部20地点、計225地点
4)抽出方法:層化二段無作為抽出法
調査時期 2019年6月29日~7月20日
調査方法 訪問留置法による質問紙調査
訪問留置法とは、調査員が回答者宅を訪問して調査票を配布し、一定期間内に回答を記入してもらい、調査員が再度訪問して調査票を回収する方法。
調査内容 本人対象
1)運動・スポーツ実施状況(注)
 運動・スポーツ実施、過去1年間に1回以上実施した種目、過去1年間でよく行った種目(主な5 種目)、 実施頻度、実施時間、運動強度、実施時間帯、同伴者、 スポーツ指導者
2)運動・スポーツ施設
 利用施設・場所
3)スポーツクラブ
 スポーツクラブの加入状況、加入クラブの種類
4)運動・スポーツへの意識
 運動・スポーツの好き嫌い、自由時間にやりたいこと、運動・スポーツ、学校体育について感じていること
5)習いごと
 習いごとの実施状況、習いごとの種目、習いごとをしている曜日と時間帯
6)身体活動
 1週間に行った活動的な身体活動日数
7)個人属性
 年齢、性別、就学状況

保護者対象
1)運動・スポーツ実施状況
 父母の実施頻度、子どもと一緒に運動・スポーツをする頻度、保護者のスポーツ活動歴
2)子どものスポーツ活動・習いごとへの関与
 子どものスポーツ活動に対する家族のサポート、サポートに対する負担感、子どものスポーツ活動にかける費用と負担感、子どもがスポーツクラブ・運動部へ加入していない理由、子どもの芸術・文化・学習関係の習いごとにかける費用と負担感
3)子どもの生活習慣
 子どもの朝食摂取状況と食欲、子どもの排便頻度、 子どもと保護者の就寝時刻・起床時刻(平日・休日)、 子どものメディア利用時間(平日・休日)、子どもの通園・通学方法と時間(片道)
4)個人属性
 保護者の続柄、職業、同居家族、世帯年収

(注)幼稚園や保育園、小学校の授業が終わった後の活動や自由あそび、学校の部活動や休み時間の活動は含めるが、授業や行事の運動会、マラソン大会などの活動は含めない
本人対象
1)運動・スポーツ実施状況(注)
運動・スポーツ実施、過去1年間に1回以上実 施した種目 、過去1年間でよく行った種目(主な5 種目)、実施頻度、実施時間、運動強度、実施時間帯、同伴者、 スポーツ指導者
2)運動・スポーツ施設利用施設・場所
3)スポーツクラブ・運動部
スポーツクラブ・運動部への加入状況、加入クラブの種類、スポーツクラブ・運動部に加入しなかった理由、運動部活動の活動状況、運動部活動に対するイメージ、理想の運動部活動
4)運動・スポーツヘの意識
運動・スポーツの好き嫌い、自由時間にやりたいこと、運動・スポーツ、学校体育について感じていること
5)スポーツ観戦
直接観戦、直接観戦したスポーツ種目、今後直接観戦したいスポーツ種目、メディアによる観戦、メディアで観戦したスポーツ種目、メディアで観戦した映像や動画の内容
6)好きなスポーツ選手
好きなスポーツ選手名(種目)
7)スポーツボランティア:
活動状況、活動の内容、活動のきっかけ、活動の楽しさ、今後の活動希望
8)健康認識・生活習慣:
主観的健康感、体力の自己評価、朝食摂取状況と食欲、就寝時刻・起床時刻(平日・休日)、通学・通勤方法と時間(片道)、メディア利用時間(平日・休日)
9)身体活動:
1週間に行った活動的な身体活動日数
10)個人属性:
年齢、性別、学校、学年

 保護者対象
1)運動・スポーツの実施状況:
父母の実施頻度、保護者のスポーツ活動歴
2)子どものスポーツ活動に対する家族のサポート、サポートに対する負担感、子どもがスポーツクラブ・運動部に加入していない理由、子どもの芸術・文化・学習関係の習いごとにかける費用と負担感
3)個人属性:
保護者の続柄、職業、同居家族、世帯年収

(注)放課後の活動や自由あそび、学校の部活動・サークルや休み時間の活動は含めるが、学校の授業や行事の運動会、マラソン大会などの活動は含めない
回収結果 有効回収数(率):1,538(64.1%) 有効回収数(率):1,675(55.8%)

子ども・青少年のスポーツライフ・データ2019
4~21歳のスポーツライフに関する調査報告書

仕様
A4判 / 207ページ
価格
3,500円+消費税
発行
2020年3月30日

SSFスポーツライフ調査委員会

委員長
海老原 修(横浜国立大学 教育学部 教授)
委員
大勝 志津穂(愛知東邦大学 経営学部 准教授)
澤井 和彦(明治大学 商学部 准教授)
鈴木 宏哉(順天堂大学 スポーツ健康科学部 先任准教授)
高峰 修(明治大学 政治経済学部 教授)
堤 裕美(上田女子短期大学 幼児教育学科 専任講師)
野井 真吾(日本体育大学 体育学部 教授)
中島 光(笹川スポーツ財団 常務理事)
データの使用申請

最新の調査をはじめ、過去のスポーツライフ・データのローデータ(クロス集計結果を含む)を提供しています。

活用例

  1. 政策立案:所属自治体と全国の比較や調査設計に活用(年齢や性別、地域ごとの特徴を把握)
  2. 研究:研究の導入部分の資料や仮説を立てる際に活用(現状の把握、問題提起、仮説、序論)
  3. ビジネス:商品企画や営業の場面で活用(市場調査、データの裏付け、潜在的なニーズの発見)
テーマ

スポーツライフ・データ

キーワード
年度

2019年度

担当研究者