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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツと政治

2017.09.26

*このレポートは2017年9月16日に執筆されたものです。

スポーツと政治

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2017年9月24日にドイツでは連邦議会の選挙が行われる。テレビではキリスト教民主同盟(CDU)党首のメルケル(Angela Merkel)首相とドイツ社会民主党(SPD)マルティン・シュルツ(Martin Schulz)党首との対談が放映され、町中には候補者のポスターが掲げられ、主要都市では政党がテントを張って道行く市民にPRしている。選挙ムードが高まってきているように見える。
ドイツオリンピックスポーツ連盟(Deutscher Olympischer Sportbund=DOSB)は、その政治的立場は中立であっても、スポーツ界の利益代表であり、政治に対する国レベルでの窓口として、政治的活動は避けて通れない。約9万のスポーツクラブ、2,700万人の会員を擁するドイツ最大の市民団体として、スポーツにとっての最善の環境を整えるため、今回の選挙で成立する第19代連邦議会への7項目にわたる提言をまとめた。スポーツが社会の重要な要素であるという強い意識を背景に、「スポーツ国ドイツ(Sportdeutschland)」をさらに前進させようとしている。

2017年6月22日、DOSBは選挙を前にして選挙ヒアリングを実施した。現国会の院内会派から各政党のスポーツ政策の重点を聞くためである。また、議員との意見交換も行われた。その後各政党には、下記のDOSB の次期連邦議会への7項目の提言を基に、各政党が次期連邦議会においてどのようなスポーツ政策を考えているか文書で問い合わせたところ、4党から回答があった。

【DOSBの次期連邦議会への提言7項目】

  1. 競技スポーツを振興する
  2. 公益、無償の活動、任意奉仕活動を強化する
  3. ドイツでの大規模スポーツイベントの開催を支援する
  4. 「スポーツ国ドイツ」の施設を再整備する
  5. 健康増進のためスポーツのポテンシャルを利用する
  6. スポーツが行う教育を認め、利用する
  7. スポーツにおける多様性を認め合い、社会の結束を強化する

なお、提言のまとめとして、スポーツは連邦政府の多岐にわたる課題であると述べた上で、DOSBが次期連邦議会に財政的支援や法制化を望むこの文書は、次のように締めくくられている:
「DOSB傘下のスポーツクラブやスポーツ団体はドイツにおける公共の福祉へ大きな貢献をしている。私達の社会を結ぶ接着剤のような役目である。スポーツのため無償で活動する860万人程のボランティアがそのために提供する時間は延べ2億7500万時間以上、金額にして40億ユーロ以上に値する。スポーツはその組織とプログラム提供をもってすべての政治的分野を支えている:健康、環境保護、外交政策とインテグレーション、人口問題にいたるまで。さらに、同時にスポーツは膨大な経済ファクターでもある。
連邦議会と連邦政府はそれゆえ、スポーツの持つポテンシャルに政治のあらゆる分野で今まで以上に配慮すべきであり、ドイツ基本法に挙げられる一連の国の目的の一つとしてスポーツを取り上げるべきである。」

DOSBは9月になって再度、プレスリリースやホームページを通じて、「スポーツ国ドイツ」の一人ひとりに選挙に参加することを呼びかけている。

参考資料:

DOSB-Presse Nr.26(2017.6.27), Nr.35 (2017.8.29)

レポート執筆者

高橋 範子

高橋 範子

Special Advisor, Sasakawa Sports Foundation