パラリンピック開催前に「差別禁止法」を制定
パラリンピック開催に先立ち、いずれの国も障害者差別禁止法など各種政策がすでにあり、障害者がスポーツをするうえでの土壌が整っていた。
→詳細:報告書p.10、37、62「図表1-4、1-23、1-38」
<イギリスの例>
1990年以降、障害者のスポーツ参加を促す様々な施策が導入され、地域での障害者の受け入れ態勢は1995年の「障害者差別禁止法(Disability Discrimination Act)」制定以降に加速した。DDAは障害者の地域におけるスポーツ施設やスポーツクラブの利用を促進させるなど、イギリスの障害者スポーツに多大な影響をもたらした。DDAから15年後の2010年、DDAを引き継ぐ形で「平等法(Equality Act)」が制定され、障害者に対する差別以外に、年齢・性別・宗教・人種・性的志向などを理由とした差別も禁止した。(詳細は、報告書p8~10)
医療機関/当事者団体/障害者スポーツ団体の3者連携
障害者がスポーツを始めるためには、地域におけるスポーツの機会に関する情報を得ることが重要になる。医療機関(病院・リハビリテーションセンター)、当事者団体、そして障害者スポーツ団体が連携することによって、スポーツに関する情報提供・共有を行うことができていた。
→詳細:報告書p.26-27、49-52、74-76「図表1-32、33」
地域での自立した生活を促すため、入院期間が短くなっている現状は日本も含め世界共通である。今回調査した3ヵ国では、障害者の自立を支援するため、障害者スポーツ団体の事務所を病院・リハビリテーションセンターや当事者団体と同建物内、もしくは隣接させることで、人材・施設・情報を共有できる環境を整えている。
<カナダの例>
- ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)の脊髄損傷者の多くが通院する「GFストロング・リハビリテーションセンター(GFストロング)」では、BC州車椅子スポーツ協会と連携して週に1回体験会を開催し、患者と家族が一緒にレクリエーションプログラムに参加することを推奨している。
- BC州車椅子スポーツ協会は、「GFストロング」の体育館等を利用し、個々の患者の興味や障害の程度に応じて、参加に適した競技種目の提案・相談を実施している。
- BC州車椅子スポーツ協会の事務所を、BC州脊髄損傷者協会(当事者団体)と同建物内に置くことで、利用者に関する情報共有がオンタイムで可能である。