一年前の元旦、希望に満ちた始まりと思われた矢先、思いもよらない出来事が起こりました。2024年1月1日16時10分、能登半島地震の発生―。被災地の様子を目にするたびに胸が痛み、自分に何ができるのか、自問したことと思います。
日本財団グループは、甚大な被害を受けた石川県珠洲市で速やかにボランティア活動を行い、SSFからも職員を派遣しました。全国からボランティアのみなさまが能登の地で、被災地のために懸命に活動する姿は、まさに共生共助の社会を体現していました。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
さて、昨年のスポーツ界はオリンピックイヤー、パリ2024オリンピック・パラリンピック大会での日本選手団の活躍は記憶に新しいところです。出場された選手のみなさま、最大限のサポートをされた競技団体、関係者のみなさまに敬意と感謝を表します。米国の地では、大谷翔平選手が誰も想像をしないような記録を打ち立てました。己の限界に挑戦し躍動するアスリートの姿は、いつも私たちに勇気を与え前向きにしてくれる、改めて、スポーツの力を体感できた年となりました。
一方で、SNSにおいて選手や審判への誹謗中傷が社会問題となったことも事実です。スポーツ界は即座に声明を出すとともに、国も対策に乗り出しました。スポーツは困難の中でも私たちを一つに団結させる力があります。断固たる姿勢で立ち向かうこと必要となることでしょう。
2024年のSSFは、これまで以上に外部組織とともに研究活動の成熟度を高めてまいりました。東京都障害者スポーツ協会との共同研究では、江戸川区の協力も得て、重度障害児が地域の体育館や区民館でも運動・スポーツを楽しめる実践プログラムを展開しました。明治安田厚生事業団 体力医学研究所とは、活動量計を用いて国民の身体活動量の実態を把握する大規模調査を実施しました。これらの事業は、国内でも初めての取り組みでもあります。
また「アクティブシティ推進事業」も本格化させました。SSFと自治体が協働で、スポーツを核とし、地域課題・社会課題を解決しアクティブなまちづくりを実現する取り組みです。宮城県角田市に続いて、この構想に賛同いただいた香川県丸亀市と12月に協定を締結し、同市の課題解決に向け、官民連携による事業を展開してまいります。
近年、ポストSDGsのテーマとして「ウェルビーイング(Well-Being)」への注目・関心が高まっています。ウェルビーイングは、身体的、精神的に健康な状態であるだけでなく、社会的、経済的に良好で幸せな状態にあることを意味します。社会課題が山積し、情報過多によりコミュニケーションの在り方も複雑化した現代だからこそ、ウェルビーイングの向上は必要不可欠で、スポーツが果たすべき役割は非常に大きいと考えております。
2025年、調査研究事業の拡充とともに、SSFは自治体の伴走者として、住民一人ひとりに「健幸」な暮らしを提供できるよう、アクティブなまちづくりの実現に向けて挑戦し続けます。そして、皆さまとの連携をさらに強化し、「行動するスポーツシンクタンク」として存在価値を高めてまいりますことをお約束し、年頭のご挨拶といたします。