30年続いた「平成」から、新しい時代が幕を開けようとしています。
明治の美術史家であり思想家である岡倉天心は「変化こそ唯一の永遠である」という言葉を残しています。
日本のスポーツ政策に目を向ければ、第2期スポーツ基本計画のスタートを皮切りに、実施率向上のための行動計画や運動部活動ガイドラインの策定、スタジアム・アリーナのエンターテイメント活用、大学スポーツ協会UNIVASの発足準備など、さまざまなイノベーションが進められています。背景には司令塔のスポーツ庁、連携を図るスポーツ界、スポーツ議員連盟、関連省庁や地方自治体など「縦と横の連携の糸」が少しずつ太く大きくなってきていることがあげられます。
また昨年は、ガバナンスやコンプライアンスの欠如による問題があらためて表面化した1年でもありました。時代の変化が急速に進む中、多くの選手やコーチの意識もまた変わっていきましたが、これまでの慣行を重視する一部の方々との間に考え方や意見に齟齬が生じ、それが不祥事として、世間の耳目を集めることとなってしまいました。
こうした諸課題は、この言葉の真理が浸透しておらず、旧来の経験主義が生みだした産物と言えるかもしれません。今後は、不祥事防止の新たな仕組みである「国と統括団体等による円卓会議」に期待を寄せます。
2019年、いよいよラグビー・ワールドカップが全国12都市で開催されます。2020年東京オリンピック・パラリンピックのボランティア研修も始まります。そして、スポーツ・フォー・オール推進をテーマとしたTAFISAワールドコングレス東京も開催されます。まさに、ゴールデンスポーツイヤーズが幕を開けるのです。スポーツ界が目指す「共生社会」や「健康長寿社会」の実現に向けて、社会全体が一丸となり、全国各地で「する・みる・ささえる」スポーツ参画人口を拡大する、スピードある行動が問われる一年となるでしょう。
2019年は「変化」の年。「変化こそ唯一の永遠である」という意識がスポーツ界に広がり、スポーツ庁のリーダーシップと相まって「変化の起点となる一年であった」といわれる転換点の年になりますように。――5年後、10年後、スポーツ界の各所で見える化が進み、スポーツは楽しいという機運が拡大する。結果として一人ひとりの生活にスポーツが溶け込む「スポーツ・イン・ライフ」が定着し、地域の絆が深まり、地域の課題を協働で解決する動きへとつながる――新しい機運が胎動する年となることを願います。
昨年、SSFは組織のミッション・ビジョンを再定義し、新たな体制で業務を進め始めました。これも「変化こそ唯一の永遠である」を実践した姿です。2019年、SSFは「Think tank×Do tank」として行政、スポーツ機関、有識者などと一層のネットワークを築き、政策提言、企画提案、さらには実践連携を通じて、すべての人にスポーツの楽しさを伝えます。そして、スポーツ・フォー・エブリワン社会を実現するために、さらに組織力を高め、業務の高度化に努めます。
2019年も、皆様が心身ともに健康でスポーツを楽しみながら、時代の変化に対応した「新しい自分」を築かれますことを祈念し、年頭のご挨拶といたします。