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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

世界保健機関による新たなガイドライン「身体活動および座位行動に関するガイドライン」について

世界保健機関(以下、WHO)は、2010年にWHOが発表したガイドライン[i]を更新し、1125日に新たなガイドライン「身体活動および座位行動に関するガイドライン(WHO Guidelines on physical activity and sedentary behaviour)」を発表しました。

本ガイドラインではすべての人が、年齢や能力を問わずアクティブになることは可能であること、そしてどんな小さなことでもすべての行動がアクティブになるために役に立つことを強調しています。

新たなガイドラインでは、一般的な成人に対して1週間で150分~300分の中強度[ii]の有酸素運動(もしくは75分~150分の高強度の有酸素運動)を行うことを奨めており、青少年に対しては、平均して1日に60分以上の運動実施を推奨しています。ガイドラインの中には、その他にも高齢者、妊娠中もしくは産後の女性、慢性疾患をもつ成人、障害者など、様々な人の状況に応じた運動実施に関する推奨事項が記されています。

WHOの統計によると世界では4人に1人の成人、そして5人に4人の青年が十分な運動を行っておらず、そのことによってグローバルで540億米ドルの医療費の増加と、生産性の低下により140億米ドルの損失が発生していると試算されています。

また定期的な運動の実施は、心疾患、2型糖尿病、がんなどの予防にもつながり、うつ症状や不安の軽減、認知力低下の防止、記憶力の向上といった効果も見込むことができるとWHOは発表しています。

WHOのテドロス事務局長は、本ガイドラインの発表とともに、
「運動不足を解消してアクティブでいることは健康と幸福のために非常に重要なことであり、より長い人生をもたらしてくれるとともに、人生に楽しみをもたらしてくれる。どのような小さなことでも良いから行動に移すことが重要である。特に新型コロナウイルス感染拡大に伴う様々な制限がある中では、我々は安全を保った上で、工夫を凝らして毎日運動を行っていく必要がある」
とコメントしています。

新たなガイドラインを通じてWHOは、運動実施はどのような形でも良く、仕事や移動の最中、スポーツやレジャー活動の中、ダンスや遊びの中、またガーデニングや掃除といった日常生活の中でも実施可能であるというメッセージを送っています。どのような運動でも何もしないよりは良く、またやればやるほど健康には良いとしています。特に仕事や学校で座っている時間が長い人は、そのネガティブな影響を埋めるためにも、より多くの運動を実施すべきであるとしています。

WHOは各国政府に対して、今回発表した新ガイドラインと2018年のWHO総会で採択された「身体活動に関する世界行動計画2018-2030Global Action Plan on Physical Activity 2018-2030GAPPA)」を参考にしながら、各国の政策の中で国民の健康のための運動実施促進策を織り込むことを望んでいるとのことです。


<新たなWHOガイドラインに記された主な推奨事項 ※一部抜粋>

■18歳~64歳の成人に向けて

1週間で150~300分の中強度の有酸素運動、もしくは75分~150分の高強度の有酸素運動、もしくはその組み合わせで同等の時間・強度となる運動を実施するべきである
  • 1週間で150300分の中強度の有酸素運動、もしくは75分~150分の高強度の有酸素運動、もしくはその組み合わせで同等の時間・強度となる運動を実施するべきである

  • 1週間のうち2日は、中強度以上の負荷をかけた筋力トレーニングを取り入れるべきである

  • 座位行動は最小限にとどめて、代わりに低強度でも問題ないので運動を取り入れるべきである

■5歳~17歳の青少年に向けて

  • 1日当たり平均して60分の中~高強度の運動を実施するべきである(そのほとんどは有酸素運動であるべきである)

  • 1週間に3日は高強度の有酸素運動や筋力や骨を強化するトレーニングを取り入れるべきである
  • 座っている時間は最小限に留めるべきである。特に娯楽目的でデジタル機器のスクリーンを見ている時間を少なくすべきである

■65歳以上の高齢者に向けて

  • 1週間で150300分の中強度の有酸素運動、もしくは75分~150分の高強度の有酸素運動、もしくはその組み合わせで同等の時間・強度となる運動を実施するべきである

  • 1週間のうち2日は、中強度以上の負荷をかけた筋力トレーニングを取り入れるべきである

  • 1週間のうち3日は、身体的なバランスや筋力を維持するための複合的な身体活動を行い、転倒を予防すべきである

  • 座位行動は最小限にとどめて、代わりに低強度でも問題ないので運動を取り入れるべきである

■妊娠中もしくは産後の女性に向けて

  • 1週間で150分の中強度の有酸素運動を行うべきである(有酸素運動に加えて、筋力トレーニングやストレッチを取り入れることも非常に有効である)

  • 座位行動は最小限にとどめて、代わりに低強度でも問題ないので運動を取り入れるべきである

笹川スポーツ財団 国際担当

【リンク先】※すべてWHOウェブサイトより




i  “Global recommendations on physical activity for health” 世界保健機関(WHO)が2010年に発表したガイドラインで、身体活動の健康上の便益と日常生活における推奨基準などを取りまとめている

ii  WHOはガイドラインの中で3つのレベルに分けて運動強度を示しており、それぞれのレベルはMETs(運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの)で下記の通り表されていてます

低強度(Light-intensity) :1.5~3METs

中強度(Moderate-intensity):3~6METs

高強度(Vigorous-intensity) :6METs以上