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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

「協働によるまちづくり」を推進 山口県山口市 前半

「協働によるまちづくり」を推進 山口県山口市 「スポーツ推進計画」を策定し市民の健康、活力、一体感を醸成

2011年の山口国体で16の正式競技を開催し、全国に勇気と感動を届けた山口市。この3月には「スポーツ推進計画」を策定し、生涯スポーツ社会の実現に向け全市が一体となって取り組んでいる。今年初参加したチャレンジデーではベストPR賞を受賞するなど、スポーツを通し、元気な「ひとづくり」や「地域づくり・まちづくり」を進めている。

山口県山口市とは 人口:195,290人(2013年8月1日現在) 特長:県のほぼ中央に位置し、南は瀬戸内海に面し北は島根県と接している。県内の主要都市に1時間以内で移動でき、中国・山陽の各自動車道や山陽新幹線、山口宇部空港とのアクセスにも優れる。自然豊かで県内最大の市域を有している。

生涯スポーツ社会の実現に向け

国体とオリンピックがスポーツ意識を大きく向上

渡辺純忠市長

渡邉: 山口市は、室町時代に大内氏の文化が花開き「西の京」と呼ばれ、明治維新では新しい時代を切り開く重要な舞台となるなど、歴史と文化の街という印象が強くあります。また、山陽路随一といわれる湯田温泉をはじめ、観光資源にも恵まれていますね。もちろん、県庁所在地として政治の中心でもあり、市長は2005年から2期にわたってこの県都の市政を担い、「ずっと住み続けたい」と誰もが思う魅力的なまちづくりに取り組んでいます。今回はスポーツによるまちづくりについてお伺いしたいと思いますが、まず2011年に山口県では国体が開催されました。

渡辺: 第66回国民体育大会「おいでませ!山口国体」と、第11回全国障害者スポーツ大会「おいでませ!山口大会」では、合わせて16の正式競技と2つのスポーツ行事を開催しました。出場選手をはじめ、全国からたくさんの方がおいでになり、私たちも「おもてなしの国体」にしようと、大会運営や応援など、市民の方々と一丸となって大会を支え、成功を収めることができました。実際に、山口県選手団をはじめ、トップアスリートたちの素晴らしいプレーに触れるとともに、スポーツが与えてくれる勇気や感動を間近に体験したことは、大人から子どもまで非常に大きな意義があったと思います。また、3月には東日本大震災が起きており、その復興支援の国体という位置付けもありましたから、なおさら感動がありました。

おいでませ!山口国体開会式パブリックビューイングの様子

渡邉: そうでしたね。それだけ大会運営にはご苦労が多かったのではないでしょうか。しかも、16もの正式競技を開催されるわけですから、準備の段階から実際の会期中も関係者の方はもちろん、ボランティアの市民の方など、たくさんの方のご尽力があったのでしょうね。そうしたなかで、山口県は天皇杯、皇后杯とも獲得しました。素晴らしいと思います。また、昨年のロンドンオリンピックでも市民の方は盛り上がったのではないですか。

渡辺: はい、8月に開催されたロンドンオリンピックには、卓球の日本代表として本市出身の石川佳純選手が出場し、見事に女子団体戦で銀メダルを獲得しました。また、男子柔道の100㎏超級でも上川大樹選手が、メダルには届きませんでしたが世界の大舞台で頑張ってくれました。オリンピック期間中は深夜に行われる競技があったにもかかわらず、「パブリックビューイング」に連日大勢の市民が応援に駆け付けました。また、オリンピック以外でも、女子サッカー日本代表の田中陽子選手、クライミングワールドカップリード部門で日本人女性として初めて優勝された小田桃花選手、今年8月にブラジル・リオデジャネイロで開催された世界柔道選手権の73kg以下級で、見事優勝した大野将平選手など、本市出身の次世代を担う若いアスリートたちが世界の舞台で活躍され、市民はスポーツに対する関心をより一層高めていると思います。そんな市民の皆さんの姿を拝見し、スポーツの持つ素晴らしさを再認識し、改めて市民力、地域力の強さを感じる機会となりました。2年後の2015年には、60歳以上の方を中心としたスポーツと文化の祭典「全国健康福祉祭」、いわゆる「ねんりんピック」が山口県で開催されますし、ボーイスカウトの世界最大のキャンプ大会「世界スカウトジャンボリー」も当市で開催されます。

まちの文化としてスポーツを定着させるために

バレーボール教室障害者トップアスリート競技披露

渡邉: そうしたことも後押しになったのでしょうか、今年3月に「山口市スポーツ推進計画」を策定されました。2011年に、国がスポーツの基本理念などをまとめた「スポーツ基本法」を制定して、今後のスポーツ政策の方向性などを示し、2012年には「スポーツ基本計画」を策定して今後5年間の施策を示しました。そのわずか1年後に山口市がスポーツ推進計画を策定したというのは、全国的に見ても早い対応だと思います。策定の背景などをお聞かせいただけますか。

渡辺: 山口市は2005年に1市4町が合併し、さらに2010年に阿東町と合併し非常に広い市域を持つまちとなりました。このため、市を21のブロックのコミュニティに分けて、それぞれの地域性を活かした住民主体で支え合いの社会を作ろうじゃないかということにしたのです。そして、この21地区の力のトータルが山口市の市民力になるんだと。そうしたまちづくりを進めるなかで、地域の一体感を醸成するためにスポーツは大きな要素になるんです。しかも、国体があり、オリンピックがあって、本市のスポーツ振興に対する機運も高まっていました。そこで、スポーツを通じた「ひとづくり」や「地域づくり・まちづくり」を進め、生涯スポーツ社会の実現に向けた施策をまとめました。「する」「みる」「ささえる」の視点から考え、市民やスポーツ関係団体、地域、学校、企業、行政などが協働で推進する内容となっています。

山口市スポーツ推進計画

渡邉: このスポーツ推進計画を拝見しますと、事前に市民の方々にアンケートを取られていますね。そのなかで、成人や子どもなど、さまざまな団体の課題が掲げられていまして、成人のスポーツ実施率をこれから高めていく必要性が見てとれました。そうしたなか、国体があり、多くの正式競技が開催されたことで施設整備も進み、かなり良いスポーツ環境ができたのではないかと思います。市民の方の意識も高まっていますから、推進計画の成果が今後期待できるのではないでしょうか。そうした観点からも、山口国体と山口大会で市民の方がより親しんだ開催競技を大切に育み、これから大きく開花させていくことは意義があると思います。

渡辺: 計画を策定して間もないこともあり、成果についてはこれからだと思いますが、今後の山口市の具体的なスポーツ推進の方向性を示した初めての計画であり、「ライフステージに応じたスポーツ活動の推進」「スポーツを通じた地域づくり・まちづくりの推進」「スポーツ環境の充実」といった多面的な視点で推進していきたいと思っています。山口市は芸術や歴史・文化のまちという印象が強いと思いますが、誰もが気軽にスポーツに親しみ、スポーツも、まちの文化として市民の皆さんに定着していくことを基本理念に推進していきたいですね。現在、実施している具体的な取り組みとしては、山口県が実施している「我がまちスポーツ推進事業」があります。これは、先ほどおっしゃったように、山口国体・山口大会の開催競技を「我がまちスポーツ」として地元に根付かせ推進を図るための取り組みを、スポーツ関係団体などと連携しながら支援するものです。この事業を活用し、本市でもクライミング教室やバレーボール教室、水球教室、ホッケー教室、ランニングクリニックなど、さまざまな事業を展開しています。また、障害者スポーツのさらなる普及や発展につながるよう、毎年開催している市民体育大会に、昨年度から障害者スポーツのトップアスリートを招いて競技を披露していただいています。

第66回国民体育大会「おいでませ!山口国体」は、市全体にどのような影響を与えたと思いますか
山口国体・山口大会の山口市開催競技一覧
スポーツによるまちづくり