史上初めて南米で開催された2016年リオデジャネイロパラリンピックは12日間の全日程を終え、9月18日に閉幕した。開幕前には、治安や運営、施設・会場整備、現地市民の関心度などが不安視され、開催すら危ぶまれた。だが、ふたを開けてみれば、課題は多々見られたものの、テロはもちろん大きなトラブルもなく大会は運営された。
予想とはうらはらに会場は連日、多くの観客でにぎわい、陽気で情愛に満ちた“ラテンのノリ”の大声援は選手の活躍を後押しした。22競技528種目が行われ、世界新記録が200以上、パラリンピック新記録も400を超えて樹立されるなど競技レベル的にも向上が見られた。全体的な印象として、「リオ大会は成功した」といえるのではないだろうか。
国際パラリンピック委員会(IPC)のフィリップ・クレイヴン会長も閉会式で、リオ市民やブラジル国民に対して、「皆さんは一日一日、スポーツのカーニバルをつくりあげていった。私は“最後の金メダル”を皆さんに贈りたい」と謝意を表した。まさに今大会は、「民衆の大会」だったと思う。過去に類のないユニークな大会を、競技取材を通し、観て聞いて触れた体感とともに振り返ってみたい。