ラグビーの2019年ワールドカップ(W杯)日本大会の開催地が決定した。立候補した15の自治体から、札幌市や埼玉県・熊谷市、大阪府・東大阪市など12会場の開催地が選ばれた。注目が、「復興のシンボル」となる被災地の岩手県釜石市である。そこで釜石市を歩き、W杯の開催意義、課題やスポーツを通した復興、地域活性化を考えた。
「正直言って、感無量であります」。
3月2日夜。日本ラグビー協会の森喜朗会長は会見でそう、漏らした。神経をすり減らすような開催地の選定作業、国際競技団体のワールド・ラグビー(WR)とのやり取りだったのだろう、顔に疲労の色もみえる。
スタジアムの優劣、開催計画の合理性、採算見通しほか、各自治体の熱意が招致の成否を左右したようだ。だから、スタジアムがまだない、釜石も選ばれた。ご承知、かつて前人未到の日本選手権7連覇を果たした“北の鉄人”新日鉄釜石があった「ラグビーのまち」である。そのレガシー(遺産)が残る釜石市が選ばれた意味はおおきい。
W杯とオリンピック・パラリンピック(五輪パラ)との一番の違いは、開催されるエリアである。原則として招致都市で開かれる五輪パラとは違い、W杯は全国で試合が開催される。W杯日本大会では20チームが参加し、12会場で計48試合が行われることになる。だから、全国各地に、より多くのレガシーが残ることになる。