水球の歴史
水球は、19世紀後半にイギリスで生まれた競技であり、水泳とサッカーの要素を組み合わせたものです。英語ではウォーターポロ(water polo)と呼ばれます。
水球の起源は、19世紀後半のイギリスにさかのぼります。1869年にロンドンのクリケットクラブで、水泳の選手たちが水中でサッカーボールを使って試合をすることから始まりました。
1880年代にはイギリス各地のプールで競技が行われるようになりました。1885年には、水球のルールが公式化され、ロンドンで最初の公式試合が開催されました。
水球は次第に国際的な競技として広まり、1900年のパリオリンピックではじめて公式競技として採用され、以降のオリンピック競技にも定期的に登場するようになりました。
水球のルールは時代とともに変化し、改良が重ねられました。初期の水球は非常に激しい競技であり、暴力的な行為が頻繁に行われていました。しかし、ルールの改訂や審判の導入により、競技はより公正かつ安全なものになりました。
国際水球連盟(FINA)は、1908年に設立され、水球競技の統括団体として国際的な競技の発展に貢献しています。
水球のルール
プール内に作られる水球コートのサイズは、男子が30m×20m以内、女子が25m×20m以内で、水深は、男女とも2.0m以上です。コートの両サイドに設けられるゴールのサイズは、高さ90cmx幅3mです。
1チームは7~13人で構成され、試合中にフィールド内に入る人数は、ゴールキーパーを含めて7人です。6人は交代選手となります。
1試合は、4ピリオドで、1ピリオドの正味時間は8分です。第1、第3ピリオド終了後に2分間の休憩、第2ピリオド終了後(ハーフタイム)に5分間の休憩をはさんで、第4ピリオドまで正味32分間の試合時間で行われます。ただし、ファウル(反則)により試合が中断し、プレーが再開するまでの時間は試合時間に含まれないため、実際には1試合の合計は1時間を超えることもあります。
各ピリオドの開始時には、選手たちはそれぞれのゴールラインに並び、開始の合図でセンターボール(コートのセンターに浮かべられたボール)に向かい、先にボールを取ったチームが攻撃側となります。
攻撃側のチームは、攻撃権を得てから30秒以内にシュートしなければなりません。
相手ゴールにシュートを入れると1点が加点されます。第4ピリオドでの総得点が多いチームが勝ちとなります。
ゴールキーパー以外はボールを扱うのは片手と決められています。
反則(ファウル)
水球の反則には、オーディナリーファウル(軽い反則)とパーソナルファウル(重い反則)があります。
オーディナリーファウル(軽い反則)
- ゴールキーパー以外の選手が両手でボールを扱う(ホースハンズ)
- ボールを水中に沈める(アンダーウォーター)
- 相手ゴールから2m以内に、ボールより先に入る(オフサイド)
- 攻撃しているチームが30秒(コーナースロー後は20秒)以内にシュートを打たない
- 握りこぶしでボールを扱う
- フリースローの際、相手ゴールから6m以内でシュートする
オーディナリーファウルでは、相手チームにフリースローが与えられます。
フリースローではパスまたはトスをしますが、相手ゴールから6メートル以上離れている場合は直接シュートを打つこともできます。
パーソナルファウル(重い反則)
パーソナルファウルには、エクスクルージョンファウルとペナルティーファウルの2種類があります。1試合に3回パーソナルファウルをした選手は、その場で永久退水となり、その試合でのプレーはできなくなります。
1)エクスクルージョンファウル
・ボールを持っていない相手選手を妨害する(捕まえる、沈める、引き戻すなど
・相手のパスを両手で妨害する
エクスクルージョンファウルを犯した選手は、退水となり、相手チームにフリースローが与えられます。耐水となった選手は、20秒間もしくは攻撃権が交代するまで赤いロープで区切られた再入水エリアで待機します。
2)ペナルティーファウル
6mエリア内で、次のような反則がなければ得点が入っていたと判断される反則をペナルティーファウルといいます。
・6mエリア内で、相手選手のシュートを両手で妨害する
・ゴールを沈めてシュートが入らないようにする
ペナルティーファウルには、相手チームにペナルティースローが与えられます。
水球の用具とウェア
用具
- ボール
ボールは防水性の円球で、一般的にはゴム製です。中は空洞で自動閉鎖弁がついています。外部の縫い目、グリースなどのコーティングは認められていません。
ボールの重さは、男女共通で 400g~450g。
ボールの外周は、男子が68~71cmで、空気圧は 7.5-8.5 ポンド平方インチ、女子が65~67cm で、空気圧は 6.5-7.5 ポンド平方インチと定められています。 - ゴール
ゴールは白色で、サイズは内寸が幅3m×高さ90cmです。
各ゴールラインの中央で、エンドラインから最低 30cm前に出ているように設置されます。
水深が1.5 m以上の場合、クロスバー下部の高さは水面から90cmです。
ゴールエリアを完全に覆うように、ゴールポストとクロスバーにネットをとりつけます。
ウェア
- 水球水着
水球用の水着は、競技の特性上、素材が二枚重ねであったり、表面がつるつるとした素材であったりと、つかまれにくく破れにくいつくりになっていることが特徴です。
透けない素材であること、もしくは水着の下に下穿きを着用することが義務づけられています。また、相手にけがを負わせる可能性のあるものは身につけないようにします。
グリースやオイルなどを身体に塗ることも禁止されています。 - 水球帽
帽子は、ゴールキーパーは赤色、ゴールキーパー以外は赤やボールの色とは対照的な色の帽子を着用し、ひもをあごの下で結びます。帽子は競技中に着用していることが義務づけられており、試合中に帽子が脱げた場合には着用し直す必要があります。
また、帽子には柔らかい素材のイヤーガードを取りつけます。 帽子の両側には高さ10cm の番号をつける。ゴールキーパーは 1番(交代ゴールキーパーは13 番)で、それ以外の選手は2~12 番を着用します。
国際大会の場合には、帽子の前面に3文字の国際国別コードを表示します。
関連リンク
公益財団法人 日本水泳連盟 | 水球
https://swim.or.jp/wp/