歴史と沿革
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なぎなたは「薙刀」や「長刀」とも記し、唐伝来の鉾(ほこ)の転身を起源とする説があります。突き、刺しを目的とした槍の出現まで、戦場で人馬をなぎ払う、いわゆる斬撃を目的とする武器として使われていましたが、その起源は実際のところつまびらかではありません。しかし、平将門・藤原純友が起こした天慶の乱(938年)を描いた合戦絵巻に長刀が登場しています。また、平安中期に源義家と奥州清原家との争乱(1086年)を記した「後三年記」に「投刀(長刀)」の記述が残っています。
室町時代末期には戦場での地位を槍に譲りますが、刀剣に対して長い間合いを持つこの武器は、いわゆる専守防衛の武術として僧兵や武家の女子に継承されていきます。明治以降はもっぱら、なぎなたは女子の武道として発展。戦後、GHQの武道禁止令をうけて衰退を余儀なくされますが、日本の伝統文化であるなぎなたの復興を願う有志たちによって、1955年、全日本なぎなた連盟が発足します。「新しいなぎなた」の理念を掲げ、文部省に正科教材として採択方懇願書を提出し、採用されました。
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1968年4月、文部省より財団法人の認可を受け、全日本なぎなた連盟はわが国で唯一のなぎなた界を代表・統括する団体として正式に認められました。
1978年には日本体育協会に加盟、1990年12月8日、国際なぎなた連盟(INF)発足。1992年11月、全国高等学校体育連盟に加盟、1995年3月の「第40回全日本なぎなた選手権大会」から皇后杯ご下賜が決定。 2001年12月、第1回全日本男子なぎなた選手権大会を開催。現在では会員数6万5000名を超え、世界10数カ国に普及発展し、国際規模の「なぎなた」として、今、一大飛躍のときを迎えています。
理念とルール
当連盟が謳った理念は、「なぎなたは、なぎなたの修錬により、心身ともに調和のとれた人材を育成する」というもので、これを掲げて正道を歩む指針としました。つまり、わが国固有の文化として歴史と伝統のもとに培われてきた「なぎなた」は、日本の伝統的なものの考え方、行動規範を内包している運動文化といえ、その修練を通じて真の日本文化の継承者を世に送り出すことにあります。この理念を到達目標・目的として、なぎなたの普及・啓発につとめていきます。
競技としてのなぎなたは、「試合競技」と「演技競技」の2つがあります。
1. 試合競技
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2人の試合者が、定められた部位(面、小手、胴、脛、咽喉)を確実に速く打突して勝負を競います。なぎなた技には、振り上げ、持ちかえ、振り返しなどがあり、左右上下からあらゆる方向へ打つことができます。試合形式は3本勝負が原則で、定められた制限時間(小・中学生は2分、高校生以上は3分)内に有効打突を2本先取した方が勝ち。ただし、延長戦(小・中学生は1分、高校生以上は2分)を行なっても所定の本数に達しないときは、1本勝ち、判定勝ちという判定がなされます。
- 面をなぎなたの柄で打ったとき
- 故意または繰り返し耳の位置や防具以外の箇所を打ったとき
- 相手のなぎなたを握ったり、体の一部ではさんだとき
- 不法な押し出しや、その他むやみに試合を中断したとき
- 攻撃意欲のないまませり合いをしたり、「分れ」の宣告を受けその指示に従わないとき
- 無用の発声をしたとき
- なぎなたを落としたとき
- 防具がはずれて落ちたとき
- その他危険とみなされる行為をしたとき
- 禁止された行為をしたとき
2. 演技競技
当連盟の定める「しかけ・応じ技」8本、または「形」7本のなかから指定された3本を2人1組の演技者によって行ない、その技の優劣を競い合います。勝敗は判定方式。5名の審判員が厳正・的確に技の良否を見定めて判定し、過半数をもって勝敗を決定します。
試合・演技それぞれに、技を繰り出し、真剣に競い合うなかから相互の人格を尊重し合う「礼」の心が生まれます。心のこもった礼儀や態度は、相手に伝わるだけでなく、自己の人間性をも涵養(かんよう)し、人間関係を豊かに育むための基盤となります。
また一方で、なぎなた競技は一時の油断を許さない過酷な時間を試合者に課します。当然、試合者には注意力、集中力が要求されます。それが気力の充実をもたらし、それを維持するなかから奥ゆかしさを伴った芯の強さ、逆境をものともしない活力溢れる人間形成を促していくものと確信しています。
お問い合わせ先
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財団法人全日本なぎなた連盟
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