柔道の歴史
柔道は、日本の武道のひとつであり、江戸時代の武士の戦闘技術をもとにして発展しました。 柔道の創始者である嘉納治五郎(かのう じごろう/1860~1938年)は、武士の戦闘技術である柔術を学び、その技術を改良し、より効果的な方法での実践を目指して体系化しました。 単に敵を投げるだけでなく、相手の力を利用して投げ技を行う方法や、関節技、絞め技なども開発しました。これらの技術をまとめて「柔道」と名づけ、1882年には日本ではじめての柔道の道場「講道館」を設立しました。 講道館を中心に柔道の普及が進み、その技術や理念が広まっていきました。柔道は身体の鍛錬だけでなく、精神的な修養や礼儀作法も重視される武道として、日本国内外で人気を集めました。 1964年の東京オリンピックから「柔道」が正式種目として採用され、国際的な舞台で注目を集めました。以後、オリンピックをはじめとする国際大会で柔道が行われ、世界中で人気のあるスポーツとなりました。 柔道は、日本の武道の中でも特に広く知られ、国内外で愛好されるスポーツとして発展してきました。その技術や理念は、人間形成や精神の鍛錬にも役立つとされ、多くの人々に影響を与えています。
柔道のルールと技
ルール
試合は時間制限があり、勝敗は投げ技や関節技、絞め技などの決定により行われます。
- 試合時間と試合形式は、その大会のルールによって決められますが、度々ルール改正が行われており、現在の国際大会における制限時間は「男女とも4分」です(2024年5月現在)。
- 全日本柔道連盟(全柔連)が主催する、全日本選手権では、2024年にルール変更が発表され、試合時間は5分(決勝は8分)となっています。
令和6年全日本柔道選手権大会・第39回皇后盃全日本女子柔道選手権大会における 「審判規程」改定について
- 投げ技で相手を背中や脇腹から床に倒した場合、相手に背負い投げや持ち技をかける場合、試合を支配した状態で相手を10秒間抑え込む場合など、いくつかの方法で勝利を決定します。
- 勝敗がつかない場合は引き分けとなり、後攻の選手が有利な立ち位置から再開します。
- 試合中に反則があった場合は、警告や反則負けとなる場合があります。
技
- 投げ技::相手のバランスを崩して床にたたきつける技です。代表的な投げ技には背負い投げや大外刈り、内股などがあります。
- 固技::床に倒した相手を押さえ込む技です。代表的な固技には背負い固めや絞め技があります。
- 抑え技:相手を床に押しつけて抑え込む技です。相手の動きを封じるために用いられます。
- 背負い受け身:相手が背負い投げや持ち技をかけようとする際に、みずからの体を捻って相手の攻撃を受け流す受け身です。
- 前方受け身:相手の技を受ける際に前方に転がる受け身で、みずからの転倒を利用して技の威力を軽減します。
- 後方受け身:相手の技を受ける際に後方に転がる受け身で、背面を地面に着地させて技の衝撃を和らげます。
- 袖の長さ:袖の長さは、袖口が手首まで達するように、腕をまっすぐ伸ばした状態で計測します。
- 裾の長さ:上衣の裾は腰の下側に達しなければならず、太もも中部以上に位置しないようにします。
- 幅:上衣の両側を引き合わせたとき、15cm以上の重なりが必要です。
- 長さ:下穿きの裾は、足首の上に位置するようにし、丈が短すぎないようにします。
- 腰回りの調整:下穿きは、ひもで腰回りを調整できるものでなければなりません。
- 色:帯の色は、選手の段位を示すものでなければなりません。
- 長さ:帯は、結び目から両端までの長さが適切で、結んだときに両端が膝下まで達するようにします。
- スポンサーのロゴやマーク:IJFの規定にもとづいて、道着にはスポンサーのロゴやマークを一定の場所に配置することが許可されています。ただし、ロゴやマークのサイズや場所には制限があります。
- 清潔さ:道着は清潔で、破れや損傷がないものを着用しなければなりません。
- 道着の検査:試合前に道着の検査が行われ、規定に合わない場合は、修正または交換が求められます。
柔道の技は、相手の力を利用して技を決めるため、力だけではなく技術や戦術が重要です。また、柔道は精神面の鍛錬も重視されており、礼儀作法や相手への敬意も大切です。
柔道の受け身
柔道の受け身は、相手の技を受け止めてみずからの身を守る技術や行動のことを指します。柔道では、投げ技や関節技、絞め技など、相手からの攻撃を受けることがありますが、その際に受け身を取ることでけがを防ぎ、技の威力を軽減できます。
柔道の受け身にはさまざまな種類がありますが、主なものには以下のようなものがあります。
受け身は柔道の基本技術のひとつであり、技術の習得や実践において重要な役割を果たします。柔道の稽古では、受け身の訓練も行われ、相手からの攻撃に対して適切な受け身を身につけることが求められます。
柔道の段級
柔道には級や段という段級位制が設けられており、帯の色によってその級や段が表されますが、級の帯色には統一されたルールはありません。段級は、技術や経験の程度を示すために使用されます。帯色と段級の関係は一般的に以下の通りです。
<少年(14歳未満)の級と帯色 ※講道館の規定>
初心者(無級):白帯
7~6級:水色帯
5級:黄帯
4級:橙帯
3級:緑帯
2級:紫帯
1級:茶帯
<成人の段級と帯色>
初心者:白帯
3級~1級:茶帯
初段~5段:黒帯
6段~8段:紅白帯
9段・10段:赤帯
段位は初段から始まり、段位が上がるにつれて二段・三段と段位の数が増えていきます。
試合では黒帯が使用されることが多いため、一般的には、黒帯が柔道の上級者を示す帯色として知られていますが、黒帯以上の段位の帯色も規定されています。
これらの段級制度は、技術や経験の程度を明確にするために用いられます。段位の昇進には審査や試験が必要な場合があり、段位審査や昇段試験が定期的に行われます。
柔道の道具
試合場
柔道の正式な試合場の大きさは、8間四方(14.55m平方)です。
試合場の中央に5間四方(9.1m平方)の場内を設け、50枚の畳を敷きます。
場外には周囲1間半(2.73m)に畳を敷き詰めます。
場内とその境界線の内側に幅3尺(約90cm)の赤い畳を敷きます。
柔道衣
柔道の国際大会で使用される柔道衣(柔道着)の規定は、国際柔道連盟(IJF)によって定められています。以下に主要な規定をまとめます。
柔道衣の色
白または青の道着を着用する必要があります。一般的には、一方の選手が白を、もう一方の選手が青を着用します。
柔道衣の素材と構造
柔道衣の布地は綿混紡率が70%以上のものと規定されています。綿以外の素材(30%以下)では、化学繊維の使用が認められています。
柔道衣は道場での試合や練習に適した形状で、特定の寸法や重量を満たす必要があります。
上衣(上着)の規定
下穿きの規定
帯の規定
そのほかの規定
これらの規定は、選手が公平に試合を行えるようにするために設けられています。詳細は、最新の競技規則を参照してください。
柔道衣の規格(全日本柔道連盟)
https://www.judo.or.jp/sport-promotion/wear/
関連リンク
公益財団法人 全日本柔道連盟
https://www.judo.or.jp/
International Judo Federation(IJF/国際柔道連盟)
https://www.ijf.org/