フィギュアスケートの歴史・沿革
まず、「スケート」の歴史をみると、スケートの起源は石器時代にまで遡る。ヨーロッパでは、冬季になると運河や川が氷結する。そのため、スケート遊びが人気で盛んだった。そして、氷結した運河や川の上を獣骨や毛皮でつくった滑走部の付いた履物で滑走したことが、スケートの始まりといわれている。
特にスケートはオランダで盛んだった。英語の「SKATE」の語源となったのはオランダ語の「SCHATE」であり、最初に木製スケートを開発したのもオランダ人だ。
当初は移動手段として広まり人々に認識された。その後、1250年前後にオランダで鉄製のブレードが開発されたとされ、この時を境にオランダやイギリスを中心にレジャースポーツとして楽しまれるようになり、その姿を変えていく。
そして、より早く移動することを追求するスピードスケートと、貴族社会を中心により優雅に滑走するフィギュアスケートに分化していき、現代の分類に至った。
フィギュアスケートは、氷上に図形=figure(フィギュア)を描いて滑走することからその名が付き、描かれた図形の精度を競う種目へと変化した。19世紀中頃にはオランダやイギリスの人々によってさまざま滑走技術が開発される。
さらに1860年代、アメリカのジャクソン・ヘインズが音楽伴奏とともにバレエや社交ダンスで用いられるダンスの動きが取り入れたことで格段に発展し、現在のフィギュアスケートの原型となった。1892年にはヨーロッパで国際スケート連盟が発足し、1896年には世界選手権大会が開催された。また、19世紀後半にはカナダでヘインズ流のスケートが紹介され、北米にも新しいスケートが広まった。
日本でフィギュアスケートが知られるようになったのは1865年、海外新聞に掲載された記事がきっかけと言われている。実際に滑走されるようになったのは1900年前後とされていますが、日本スケートのはじまりには諸説あり、宣教師や教師として来日したアメリカ人の指導による説が一般的です。スケート靴が簡単に手に入らなかった当時は竹草履やそれを改良した「下駄スケート」が滑走用具として用いられ、日本スケートの原型となりました。
太平洋戦争までのフィギュアスケートはヨーロッパ勢のものだったといっても過言ではなく、他国とのレベルの差が歴然としていた。しかし、戦後はソビエト勢や北米勢が台頭。近年ではアジア勢の活躍が目立つようになった。
日本選手も活躍し、オリンピックでのメダル獲得は国民を勇気づけた。また、若手有望選手も多く育っており、選手の姿に多くのファンが魅了されている。
フィギュアスケートの概要
広い氷上の空間で音楽にのせて演技を行う。優雅で観ている者を魅了し、選手はより美しくより個性を表現できるよう芸術性を追求するが、同時に、高速のスピンや回転数の多いジャンプが行われるなど競技的な側面も合わせ持つスポーツであり、フィギュアスケートの大きな魅力ともいえる。
美しい演技は過酷な練習の上に創り上げられたものであり、繊細である。選曲や演技スタイルは各選手さまざまで、スケーターによって創造された氷上空間は観ている者を飽きさせない。
フィギュアスケートのルール
【競技カテゴリー】
①ペア(男女各1名でペアを組む)
②男子シングル
③女子シングル
④アイスダンス(男女各1名でカップルを組む)
【プログラム】
公式競技会では通常、ショートプログラム(アイスダンスはショートダンス)とフリープログラム(アイスダンスはフリーダンス。ともに以下、フリーとする。)の2度の演技が行われる。
かつては、氷上に規定の図形をいかに正確に描くことができるかを競う、規定演技(コンパルソリー)と呼ばれる種目とフリープログラムが行われていたが、1990年の世界選手権大会を最後にアイスダンスを除いた3種目における規定演技は廃止された。演技時間はショートプログラムが2分50秒、フリー(シニアの場合)はペアと男子が4分30秒、アイスダンスと女子が4分であり、それぞれ±10秒の幅が認められる。
【採点方法】
採点は技術的な内容の評価である「技術点」と、スケート技術や音楽の解釈など(項目はアイスダンスとその他の種目で異なる)を点数化して評価する「構成点」の合計で行われる。
技術点の主な採点対象は、ペア及びシングルは演技の中で実施される各種のジャンプ、スピン、ステップになる。ペアではこれらの技に加え、男性が女性を持ち上げるリフトや、男性の補助で女性を水平方向に投げるような形のスロージャンプなどのアクロバティックな技も実施される。アイスダンスでは、ステップワークや滑走技術そのものがダンスリフトと並んで技術評価の大部分を占める一方で、回転数の多いジャンプや男女が離れて行うスピンは禁止されている。
フィギュアスケートのコート・用具
【リンク】
かつてはオリンピックが屋外スケートリンクで行われたこともあるが、現在の公式競技会は国際規格である60m×30mの屋内スケートリンクで行われている。
【ブーツ(スケート靴)】
選手は氷上を滑走するための金属製の刃である「ブレード」が付いた革製、あるいは一部プラスチック製のブーツ(スケート靴)を履いて競技に臨む。スピードスケートやアイスホッケーのブレードと大きく異なる特徴は、つま先にトゥピックと呼ばれるギザギザが付いており、ジャンプやスピンを行うのに欠かせない部分となっている。
ブレードは厚さ3mm~4mmほどで、氷に接する部分はエッジと呼ばれ、細い溝を挟み内側と外側に2本ある。横から見るとエッジはカーブしており、エッジ全体が氷に接するのではなく、部分的であることが分かる。このカーブがフィギュアスケート独特の氷上での曲線的な動きを可能にしている。
【その他】
競技会では演技に使用する楽曲の表現に有効な衣装を着用する。また、競技会での演技に使用する楽曲はアイスダンスを除き、ボーカル入りの楽曲の使用が禁止されている。
公式サイト
公益財団法人日本スケート連盟