気球の歴史と沿革
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人類が最初に空に浮かぶことができたのは1783年11月21日のことでした。フランスのジョゼフ・ミシェルとジャック・エティエンヌのモンゴルフィエ兄弟の手によって作られた熱気球が、ピラトール・ド・ロジェとダルランド侯爵の二人を乗せ、ブーローニュの森のミュエット庭園を離陸したのです。さらにその10日後には、実験物理学者ジャック・アレクサンドル・セザール・シャルル教授のガス気球が飛行に成功しています。1783年は人類が初めて空に浮かんだ年、熱気球とガス気球の飛行が成功した年となりました。
日本では、1969年9月27日に日本初の有人熱気球「イカロス5号」が北海道の空に浮かび、それ以降、各地に熱気球クラブができはじめ、1973年9月7日には日本気球連盟が発足しました。
気球の種類と構造
気球にはいくつか種類があります。空気を暖めて浮かぶのが熱気球で、空気より軽い気体(水素やヘリウムなど)を使うのがガス気球です。さらに、この2つを組み合わせたロジェ気球などがあります。現在、日本に浮かぶ有人気球は、ほとんどが熱気球です。
- 熱気球
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- ガス気球
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- ロジェ気球
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熱気球の飛行
気球は球体内外の空気の密度差によって浮揚します。その密度差を作り出す方法に熱を用いているのが熱気球です。球体内部の空気を熱していくとやがて熱気球は浮かび上がりますが、これは浮揚であって飛行とはいいません。飛行は操縦を伴った浮揚でなければならないからです。
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競技中のパイロットとクルー
しかし、熱気球には方向を制御する装置はついていません。そのためパイロットが行えるのは、球体内の空気を熱するためのバーナーの点火と消火、そして排気弁の操作のみ。つまり上昇と降下しかできません。パイロットは上昇と降下を繰り返すことによって自分の意図する高度に気球を浮かべます。それは自分の進みたい方向へと吹く風に気球を乗せるということであり、それが気球の操縦ということになります。
一般に熱気球の高さは20mほどありますが、風の層には幅が20mに満たないものもあります。そのような風に気球を乗せるためには、バーナー操作などに習熟しなければなりません。気球の操縦には風に対する注意深さと謙虚さが必要になります。
競技方法
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離陸
熱気球世界選手権は1973年に米国で初めて開催され、以後2年ごとに開催されています。日本は第2回大会から参加するようになりました。日本国内では毎年開催される日本選手権のほか、年間の総合ランクを決める日本気球連盟国内ランキングやチームで年間の総合優勝を競う熱気球ホンダグランプリなどがあります。
進みたい方向の風に乗せるという気球独特の飛行形態から、ほとんどの競技はある決められたポイントへ向かうという形式で行われます。他にも飛行距離や飛行する角度を競うものもありますが、正確に風を探すということに変わりはありません。
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ターゲットに向かう気球
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マーカーをターゲットに投下
競技の種類は20種類ほどありますが、大別すると競技委員会が提示したゴールへ向かうものと、競技者があらかじめ宣言したゴールへ向かうものがあります。ゴール位置は地図上に示され、その場所に幅1m長さ10mの[ X ]がターゲットとして作られるか、地上の目標物がゴールとして指定されます。競技者はそのターゲット(またはゴール)に、70gの重りに幅10cm長さ180cmの吹き流しがついたマーカーを投下します。このマーカーとターゲット(またはゴール)の距離が競技者の成績になります。最近は、マーカーではなく、GPSを利用した競技も行われるようになっています。
お問い合わせ先
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