日本のスポーツは大きな転換期を迎えています。2019年にはラグビーワールドカップ日本大会、2020年は東京オリンピック・パラリンピック、2021年はワールドマスターズゲームズ関西と3年連続でメガイベントが開催され、空前の「みるスポーツ」ブームが到来します。「みるスポーツ」をいかに、「するスポーツ」「ささえるスポーツ」へと拡げ、定着させることができるかが、わが国のスポーツ政策の課題であり、また、研究課題でもあります。
笹川スポーツ研究助成は数少ない「スポーツの人文・社会科学領域」の研究助成です。募集テーマは「スポーツ政策」「スポーツとまちづくり」「子ども・青少年スポーツの振興」です。その中には、スポーツを通してのインクルーシブな社会の実現、共生社会の実現やスポーツにおけるユニバーサルデザイン、国際比較研究なども含まれます。 研究助成を受けられた皆様の研究は、現在、日本が直面している様々な社会課題を、スポーツを通して克服し、さらに未来に向けて進む新たなモデルとして提示することができます。すなわち、スポーツの価値を高めるだけでなく、多様性の尊重や共生社会の実現、健康長寿社会の実現などに対しても貢献できる可能性を持っていることを強調したいと思います。
最後に、採択研究者の皆様に、ひとつお願いがあります。皆様の研究成果は、最終的に報告書として取りまとめます。しかし、報告書を読む人の数は専門領域のほんの一握りの研究者に限定されます。そこで、皆様には、研究成果を国内外において発表し、学会誌や研究誌へ、積極的な論文の投稿をお願いしたいと思います。スポーツの人文社会科学研究で得た知見が、研究者や政策担当者、ジャーナリスト、そして、ステークホルダーの目に触れ、議論とアクションが生まれることによって、はじめて研究成果の社会貢献につながるからです。
2017年度笹川スポーツ研究助成では175件の申請に対して、一般研究と奨励研究を合わせて48件の採択が決定しました。おめでとうございます。皆様の今後の研究活動により、これからのわが国のスポーツ政策やスポーツ振興に寄与する研究成果が得られることを心より願っております。