2015年度笹川スポーツ研究助成は、昨年度から11名増となる158名の申請を受け付け、うち一般研究が85件、39歳以下を対象とする奨励研究が73件でした。本研究助成は今年で5年目を迎え、スポーツに関する人文・社会科学領域の研究を支援する制度として、認知度が高まってきたように思います。これもひとえに、関係各所の皆様の周知・啓発の賜物と心より感謝しております。
審査は、3テーマごとに3名の選考部会委員が担当し、「① 研究課題の的確性」「② 研究計画の明瞭性」「③ 研究方法の妥当性」「④ 研究内容の独創性」「⑤ 研究成果の波及効果」の5つの観点で厳正に行われました。さらに選考部会が審査した結果を選考委員会に諮り、「一般研究」20件、「奨励研究」21件、計41件の採択が決定しました。
さて、今年度申請された研究をみると、オリンピック・パラリンピックや障害者スポーツ、スポーツツーリズム、ICT(情報通信技術)がキーワードとしてあげられ、中には複数の学問分野にまたがる学際的研究も散見されました。研究者の皆様が社会の動向に対して非常に大きな関心を寄せていることが感じ取れます。
今、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、スポーツ界には大きな風が吹いています。この秋には、スポーツ庁が設置される予定もあります。研究者というものは、これまでの歴史を踏まえ、社会とともに歩むことが重要です。皆様の研究成果は、多くの方の目に触れることによって初めて社会のための役に立ち、大きな発展を生む契機になり得ると思います。是非、この笹川スポーツ研究助成で取り組んだ研究の成果を積極的に発表してください。そして、研究成果に基づく政策提言を通じてスポーツ振興に寄与していただきたいと思います。採択されたことがゴールではなく、ここからがスタートです。皆さんの研究に大いに期待しています。