角田市では、2016年に「交流人口100万人都市」の実現、地域活性化を目的にChallenge Million 2016協議会を設置。その中に、市の生涯学習課が主体となった「スポーツ専門部会」も設置され、ヘルスツーリズム・スポーツツーリズムの展開を図り、交流人口の増加を目指しました。SSFも「スポーツと道の駅との連携についての調査・分析業務支援・実践アドバイザー」として参加しました。
道の駅(2019年4月開業)を「賑わいの交流拠点施設」と位置づけ、隣接する角田中央公園、総合体育館、スポーツ交流館、野球場、テニスコートなどのスポーツ施設群を活かした、「道の駅」と「スポーツ」との連携「かくだ版のスポーツツーリズムの推進計画」を2017年3月に策定。スポーツと道の駅の連携について「角田中央公園等の利用者を増やす」「角田中央公園等と道の駅の利用者相互の利便性を高める」などの基本方針を設定しました。
主な施策として、
●スポーツ施設の平日の利用促進を目的に、ターゲットを明確化した利用層別スポーツ教室・イベント等の実施(シニア層向けの体力づくりプログラム、女性向けのヨガ教室等)
●土日のさらなるスポーツ施設稼働を目指し、既存のスポーツ大会・イベントの充実及び新たな大会の誘致
●施設利用者ニーズも踏まえた、既存施設・設備の改修、整備、拡充の検討
●道の駅でスポーツ情報(市内や近隣市町で行われるスポーツ大会や施設の利用などに関する情報)を提供
などを示しました。
また、角田市のアウター施策については、スポネットかくだ設立以前から次の4団体が地域活性化等を目的に取り組んでいました。
1・阿武隈リバーサイドマラソン実行委員会(1992年設立)
子どもからお年寄りまでが参加できるマラソン大会を開催し、市民の健康づくりに加え、交流人口の拡大により地域活性化を図る組織。
【実績】
30回以上開催。2019年度のエントリー2,857人と過去最高であった。
2・ベガルタ仙台レディース角田ホームゲーム協議会(2013年設立)
ベガルタ仙台レディースのなでしこリーグ公式戦開催を誘致することで、サッカーを核とした交流人口の拡大により地域活性化を図る組織。
【実績】
角田ホームゲームを12試合開催。
3・Challengemillion2016 スポーツ専門部会(2016年設立)
道の駅と隣接する複合施設群「かくだスポーツビレッジ」(Kスポ)の連携による、スポーツ振興と交流人口の拡大等で地域活性化を図る組織。2019年度にChallengemillion市民会議へ名称変更。
【実績】
2016年:スポーツツーリズムに関する調査・分析を実施、2017年:複合スポーツ施設群の愛称(Kスポ)設定、道の駅とKスポの各種取り組み開始
4・全日本女子車いすバスケット強化合宿を支援する会(2018年設立)
全日本女子車椅子バスケットボールの強化合宿の開催を支援することで、地域活性化を図る組織。
【実績】
2018年、2019年と強化合宿を開催
ChallengeMillion2016策定した「かくだ版のスポーツツーリズムの推進計画」を軸に、スポネットかくだ設立以前からの課題・取り組みを整理し、課題解決に取り組んでいきます。
■優先課題:かくだ版スポーツツーリズムの推進=道の駅とKスポが連携し、いかに地元で賑わうか
<課題の解決方法>
①健康拠点強化/健康チーム
目的:平日の集客→スポーツ教室やイベントの開催など
②幼児遊びの拠点化/乳幼児チーム
目的:平日・土日の集客→親子教室や幼児の運動場所の整備など
③賑わいの拠点化/スポネットかくだ
目的:土日の集客→KスポのイメージUP、スポーツイベント開催・誘致など
スポネットかくだ設立後、4団体の活動はスポネットかくだにおいて効果的に活動内容を発信、「かくだ版スポーツツーリズム」の企画・実施に必要な連絡調整を担いました。各団体が目的としている事業を展開している状況でしたが、課題を整理すると各団体が過渡期にあることがわかりました。また、各団体の事務局は一か所で担っておらず、市長部局や教育委員会などで行っていたため、角田市のアウター施策については、インナー施策と違ってその全体をとらえる視点での振り返り(課題の抽出・整理・分析)や今後のあり方を検討する場面が十分にない状況でもありました。
- 阿武隈リバーサイドマラソン実行委員会 → 「新しい生活様式」を踏まえ大会内容の見直しが必要
- ベガルタ仙台レディース角田ホームゲーム協議会 → 経営権が株式会社マイナビへ変更
- Challengemillion2016 スポーツ専門部会 → 国の地方創生推進交付金2021年度で終了
■課題の整理
- アウター施策を担う3団体が変革期を迎えている
- アウター施策を担う団体の事務局が一か所でないため経験、ノウハウの共有や蓄積しにくい
- アウター施策全体をとらえる視点でコーディネートされていない
2022年に1・2・3を発展的に解散し、各団体の機能や余剰金をスポネットかくだに集約。アウター施策だけでなく、インナー施策を含めた角田市のスポーツ事業全体の中で、個々のアウター施策に優先順位を付けて取り組むこととしました。
※4・全日本女子車いすバスケット強化合宿を支援する会については競技の特殊性があることから、スポネットかくだ内に「車いすバスケチーム」(2022年6月)を設置
なお、スポネットかくだは、2020年10月に「地域スポーツコミッション一覧(スポーツ庁)」に追加されています。
①健康拠点強化(目的:平日の集客)
2018年:スポーツ教室拡充・健康ウォーキングコース整備
2019年:ウォーキングステーション設置
2020年:地域とつなぐ事業(団体受入、出前教室)
2021年:ジュニアスポーツ教室スタート
2022年:トレーニング室リニューアル→パーソナルトレーニング開始
2023年:健康づくりサークル立ち上げ応援事業(スポーツ庁補助事業)
②幼児遊びの拠点化(目的:平日・土日の集客)
2018年:交流館ホール親子開放。交通公園バランスボール広場開設
2020年:交通公園にキッズスペースエリア整備
2021年:交通公園に幼児用遊び場「どんぐりパーク」OPEN
③賑わいの拠点化(目的:土日の集客、KスポのイメージUP)
2017年:スポーツ合宿対応浴槽改修(スポーツ交流館)
2020年:ドリームベースボール誘致、全日本車いすバスケ合宿開催、ベガルタ仙台レディース・ソニー仙台公式戦
2022年:阿武隈リバーサイドマラソン、スポーツフェスティバルinかくだ
2023年:SOMPOボールゲームフェスタ in 角田、プロ野球OBクラブ誘致、阿武隈リバーサイドマラソン、全日本大学アメリカンフットボール選手権(角田ボウル2023)
インナー施策においては、「いかにスポーツを楽しむ人を増やせるか」を分析の指標として優先順位を検討してきました。アウター施策は、性質上イベントの開催が多く市民も参加するため、インナー施策としての効果も重要です。イベント開催にかかる労力も指標と想定しました。アウター施策が持つといわれている経済的効果と社会的効果も含めて、2段階に分けた分析を行います。