部活動の地域移行推進基本計画では、部活動の現状と課題、地域クラブ活動で目指すべき姿、地域クラブ活動への移行にむけた実施内容、計画の進行管理などを整理しました。
- 調査・研究
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部活動の地域移行推進基本計画では、部活動の現状と課題、地域クラブ活動で目指すべき姿、地域クラブ活動への移行にむけた実施内容、計画の進行管理などを整理しました。
2022年9月に市内中学校の教員51名を対象に実施し41名回答(回答率80.3%)
・部活動を指導することへのやりがいを感じている割合:76%
・部活動の負担が大きいと感じている割合:平日68%、土日66%
・部活動の地域移行へ賛成する割合:88%
2022年12月に市内2中学校の生徒492名を対象に実施し416名回答(回答率84.5%)
2022年12月に上記生徒の保護者を対象に実施し118名回答
・部活動にやりがいを感じている割合 生徒:76%(保護者は満足している割合:80%)
アンケート結果から、生徒、保護者からの満足度は高く、活動日数も現状維持を望む声が多いことが分かりました。また教員も教育活動に役立ちやりがいを感じる割合も高く、現在の部活動の良い面がみえました。一方で「教員への負担が大きい」「少子化で現在の部活動の維持が困難」「部活動に対する保護者、生徒、教員等の思いがさまざま」などの課題も明確になりました。
今後の部活動へ期待されることは、「より楽しい活動としつつ、さらに多様な体験機会の確保(生涯スポーツ・文化芸術活動への広がりにつなげる)」「地域クラブ活動を通して市民にとっても、よりよい地域スポーツ・文化芸術環境となること」などが見えてきました。
目的の明確化
<部活動・地域クラブ活動の共通の目標>
・生涯にわたって心身の健康を保持増進するための資質・能力を育てる
・生徒の自主性や協調性を尊重し、社会性を育成する
・部員相互の協調を図り、友情と信頼を深め合い、好ましい人間関係を育てる
<地域クラブ活動に付随する目標>
・市民にとっても、よりよい地域スポーツ・文化芸術環境となることを目指す
学校部活動は、教員への負担軽減、部活動の現状維持または充実を目的に、いままで配置してきた外部指導者に加え、2023年度から新たに部活動指導員として地域の指導者を学校部活動に配置し、休日の部活動は、2023年度から2025年度において段階的に地域クラブ活動へ移行していきます。
部活動の地域クラブ活動を運営するためには、地域スポーツ団体との連携、指導者等のネットワークの構築、地域スポーツ全体の取組みとの連携が重要です。角田市では、Kスポ指定管理者に委託し休日の部活動の地域移行を進めることとしました。Kスポ指定管理者に、市内の2中学校、教育委員会(教育総務課、生涯学習課)、地域スポーツ団体との連携が円滑に進むようコーディネーターを配置。関係機関との連絡調整、学校の地域移行を望む部活動への指導(地域人材とのマッチングや指導者派遣)や生徒・保護者への周知など、地域クラブ活動をマネジメントします。
また、休日において教員の従事が難しい部活動のすべての部が地域クラブへ移行できた段階(2025年度を想定)で、教員が従事可能な部活動も地域移行するものとします。この段階ではじめて、休日において従事可能な教員が、地域クラブのスタッフとしての従事が可能になります。
※文化部の地域クラブ活動においても、運動部と同様に学校との調整、指導者の育成などが必要で、このことは運動部と一体的に行った方が効率的であるため、文化部の地域クラブ活動についてもKスポ指定管理者へ一括で委託するものとします。
「角田市における部活動の地域移行推進基本計画」(2022)
・参加者:各学校において地域移行となる部活動の部員のうち参加を希望する生徒
・指導者:Kスポ指定管理者のスタッフ等
・活動場所:原則、学校部活動と同様の場所
・保護者が負担する会費:
地域クラブの活動維持・運営を踏まえた適切な会費のあり方については、移行期間(2023年度~2025年度)において検討
・活動内容及び大会参加:
移行期間は、学校部活動が週4日、地域クラブ活動が週1日。学校部活動が中心となるため、地域クラブ活動は学校部活動をサポートする位置づけとし、大会・練習試合は、引き続き学校部活動の枠組みでの参加とし、休日の開催となっても学校部活動と位置づけ、引き続き教員が従事する。
・活動日数:
学校部活動と地域クラブ活動の活動日数・時間は合算して、角田市教育委員会が定める部活動の基本方針の範囲内とします。地域クラブ活動へ移行した場合、休日の活動は土日のうちどちらか1日(かつ3時間)以内となります。
移行期間については、地域の人材が生徒へ指導するパターンは、外部指導者・部活動指導員、地域クラブの指導者と複数存在するため、地域の人材の効果的な配置は個別事例ごとに決定します。
・効果的な配置例1
外部指導者・部活動指導員が指導する部活動について、休日の活動が地域移行した場合は、当該休日については地域クラブのスタッフとして指導します。
・効果的な配置例2
休日に指導する地域クラブのスタッフが、学校の要望等により平日の学校部活動も指導する場合は、外部指導者・部活動指導員として指導できないか検討します。なお、外部指導者・部活動指導員としての難しい場合は、地域クラブから平日の学校部活動へ指導者を派遣する形態も検討します。
生徒が特定の種目・部門だけでなく、スポーツ・文化芸術や科学分野の活動や地域での活動も含めて、さまざまな活動を経験できるように地域クラブでは新メニュー:『+チャレンジ活動』を行います(ヨガや工芸教室の開催を予定)。
基本計画と年次計画の進行管理は、角田市教育委員会が新たに設置する「部活動実務者会議(仮)」が担うものとします。なお、年次計画の毎年度の策定、計画に対する取り組みの評価の審議機能は、引き続き運動部については角田市スポーツ審議会、文化部については社会教育委員の会議で審議のうえ角田市教育委員会定例会で行います。
このように、2020年から部活動の地域移行に関する議論を重ね詳細の計画を策定し、2023年度から「学校部活動の地域移行」に関する実証事業として開始することとなりました。