スポーツネットワークかくだ設立とその取り組み
2019年4月、角田市ならびに角田市教育委員会とSSFは、「スポーツを通じた地域活性化の実践研究における連携協力についての協定」を締結し、地域スポーツ運営組織(RSMO)をともに形成・運営していくこととなりました。そして、2019年9月、かくだ版地域スポーツ運営組織「スポーツネットワークかくだ(スポネットかくだ)」を設立しました。
RSMOは、地域スポーツを持続可能にする環境の整備、そしてスポーツを核とした地域活性化のための地域スポーツプラットフォームです。既存スポーツ推進団体を一元化し、人材と財源を集約することで、少子高齢化や人口減少に伴うヒト・モノ・カネの不足解消を目指しています。
スポネットかくだでは、スポーツを通じた「明るく楽しく健康で活力あるまち」の実現を目指し、健康スポーツ懇談会と各専門チームを設置、角田市のスポーツにおける課題を解決していきます。そのためには、課題解決の優先度を決める必要があり、「基準の明確化」(スポーツを楽しむ人をどれだけ増やすことができきるか)と「期間の明確化」に加え、①インナー施策 ②アウター施策を用い、スポーツ事業を区分けし、課題解決に向けて取り組んでいきます。
スポーツネットワークかくだ 専門チーム構成図
インナー施策とは、地域住民のスポーツ参加促進、アウター施策とは、地域・経済活性化を目的とします。角田市のインナー施策では「スポーツ実施率の向上」と「スポーツのイメージUP」を優先する課題にして、スポーツイメージの一新をはかりながら、より多くの方にスポーツを楽しんでもらえるようにさまざまな取り組みを進めています。
課題解決に向けた、シンボル事業としてのチャレンジデー
このたび、角田市が初めて行ったチャレンジデーにおいても、スポーツのもつイメージ、特に競技スポーツから連想されやすい“きつい“ 、“激しい“、 “苦しい“などというイメージを払拭し、スポーツが“楽しい“、“さわやか“、“健康に良い“ものだと住民の方々に思っていただけるように、オール角田で取り組むシンボル事業として初めて実施しました。
かくだ田園ホール はじめてのヨガ教室
チャレンジデー2021は10月27日(水)に開催。当日は、市のチャレンジデー実行委員会主催イベントと、角田市の9地区で行うイベントがそれぞれ実施され、新型コロナウイルス感染症対策を施しながら、多くの住民に参加いただきました。
かくだ田園ホールで行われた「はじめてのヨガ体験」では、運動能力にかかわらず自分の身体と気軽に向き合える内容とあって、女性を中心に参加者はのびのびとヨガに取り組んでいました。
賑わいの交流拠点施設である道の駅かくだでは、指導者の案内のもと、「Kスポウォーキングコース2.3Km体験」を実施し、リフレッシュするとともに住民間交流を楽しみました。自らの身体の状態の認識・改善に役立つ「体成分相談会」や「スープリュームビジョン体験」(動体視力、判断力のトレーニング)では、道の駅に立ち寄った方々も気軽に体験でき、普段はなかなか行わない内容とあって、自分の身体を知る重要性を認識していました。
道の駅かくだ Kスポウォーキングコース2.3Km体験
道の駅かくだ スープリュームビジョン体験
幼稚園、中学校などの教育機関では、子どもの発達段階を踏まえ、できるだけ多くの子どもが楽しんで参加できるように配慮。幼児には、遊び要素の強い「リトミック」から、「台山公園お散歩」「台山公園かけっこ」のような安全に行える内容を、中学生には、「球技大会」などの競技に加え、「クラス対抗長縄跳び」など仲間と一致団結できる種目が用意され、子どもたちは運動しつつも和気あいあいと楽しさを共有していた様子でした。
幼稚園児の台山公園お散歩
中学生による体育館クラス対抗長縄跳
そのほかに、「グラウンドゴルフ大会」や「ラジオ体操」、「スローエアロビック体験」、「陸上競技場の無料開放」など、子どもから高齢者まで、年齢を問わずスポーツを楽しんでもらうための多彩なプログラムに多くの住民が参加するとともに、市内にはチャレンジデーののぼりやポスターが設置されているほか、図書館にチャレンジデーコーナー(運動・スポーツ、健康関連書籍)を設けるなど事前の周知活動にも工夫がうかがえました。その結果、初実施にして参加者は4,663人(全人口:28,600人、参加率:16.3%)を数え、角田市でのチャレンジデーは盛況のうちに終了しました。
ユニークなアイディアを盛り込んだプログラムを行うことで、参加した多くの住民の方々はスポーツの楽しさや清々しさを体感すると同時に、チャレンジデーの目的でもある「健康づくり」のきっかけとなったはずです。
チャレンジデー初実施の感想と今後
国井 康士 氏(角田市教育委員会事務局生涯学習課 スポーツ振興係長)
角田市では、スポーツを楽しむ市民を増やすためには、まず、最初に「スポーツのもつイメージに広がりをもってもらうこと」が大切だと考えておりました。
そこで、このチャレンジデーについては、当日を「市民の健康づくりの日」と位置づけ、「スポーツには競技スポーツだけでなく、健康づくり運動や散歩も含まれること」や、「その身体活動は健康で豊かな生活を送るためにとても重要で、大切なことだ」ということの周知に力をいれ取組みました。
実際に開催してみると、チャレンジデーが他のスポーツイベントにはない「すべての住民・団体を対象としたイベント」であるため、周知面での大きな効果を感じており、開催を重ねることでさらなる効果を期待でき、今後の開催がとても楽しみとなりました。
また、チャレンジデーの開催を通して、新たな団体とのつながりができたことや、改めて「どこまでがスポーツか」「スポーツとは何か」などの本質的な議論を実行委員会でできたことは、今後のスポーツ事業の推進にあたってとても有意義であったと感じました。
さらに、今、国の第3期スポーツ基本計画の策定議論の中でもそのことが論点の1つとなっていることから考えると、このチャレンジデーが約30年も前から開催されていたことに驚きを感じつつ、新たなスポーツの価値(健康増進、地域コミュニティの形成など)を自治体レベルで効果的に実現する方法としてチャレンジデーはとても有効なイベントであると感じました。