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国際情報
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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

スポーツアカデミー2017 第2回

「スマホ・ウェアラブルが豊かにするスポーツライフ」

2017年度の第2回スポーツアカデミーが9月7日に開催されました。
今回は株式会社電通国際情報サービスの高橋 英昌 氏、株式会社ドコモCSの四元 裕人 氏にご講義いただきました。

【当日の概要報告】

※以下の報告は、当日資料と合わせてご覧ください。

主な講義内容

市民の健康増進、生涯スポーツの充実において、スマホやウェアラブル(身に着けて持ち歩くことができるコンピュータ)を役立てていく取り組みが始まっている。いくつかの事例を紹介する。

株式会社電通国際情報サービス 高橋 英昌 氏

株式会社電通国際情報サービス 高橋 英昌 氏

「エブリスポ!」高橋 英昌 氏

当日資料(PDF:1.14MB)

「歩く」「走る」といった運動、運動イベントへの参加などがポイントとして記録され、そのポイントをチームで競い合う取り組み。街全体を運動場に見立て、みんなでコラボレーションしながら運動量アップを目指す。

1.特徴

(1)チーム対抗形式
チームを作って互いに励まし合うことで、一人で取り組むよりもモチベーションを高める効果がある。

(2)スマホ/ウェアラブルの利用
個人が獲得したポイントの履歴、チームのポイント履歴、ランキングが表示され、これもやる気を高める材料になる。また、チームメイトとSNSを通じてコミュニケーションが取れる機能もついている。

(3)補正アルゴリズム
運動の得意な人、苦手な人、性別や年齢で差がでないようにポイントに補正をかけるシステムを採用。

2.実証実験

(1)2015年3月 品川大崎
大崎駅周辺のオフィスワーカーと住民を対象として「参加型実験イベント」を行った。地元の企業に勤める60人が参加し、1チーム12人、5組に分かれて3週間にわたりポイントを競い合った。最年少が26歳、最年長が76歳、平均年齢は42.4歳。地元スポーツクラブのインストラクターがリーダーとなりチームをまとめた。参加者の平均歩数は第1週が7,858歩、第3週が8,237歩と大きく伸びた。

イベント後、参加者に感想を聞いたところ、①チームで競い合うこと、②ウェアラブルを使うこと、③ミッションを達成すること、④(ミッション達成時やゲーム内で配布される)クーポンやグッズがもらえる点─の順で、モチベーションの向上につながったとのことであった。

(2)2015年10~11月 コーポレートゲームズ
8社が1か月にわたりポイントを競いあった。参加者の平均歩数は第1週が13,415歩、第4週が14,728歩だった。こちらも、チーム対抗形式の競争や、ランキングが参加者の最大のモチベーションとなった。

3.総括

チーム対抗形式が受けたのは、単発で期間が短かったからだと推測される。ウェアラブルも長期間使えば飽きてくる可能性がある。クーポンやグッズは長期にわたってもそれなりのモチベーションになりうるが、最も注目すべきはコミュニケーションの効果。コミュニケーションが継続のキーであり、今後はコミュニケーションの質の向上に重きを置いてサービスをデザインしていく方針。「歩く」「走る」という行動がコミュニケーションの手段となり、運動に新しい価値をつけることで、健康増進につなげていく。

株式会社ドコモCS 四元 裕人 氏

株式会社ドコモCS 四元 裕人 氏

「埼玉県コバトン健康マイレージ」四元 裕人 氏

当日資料(PDF:1.97MB)

高齢化の進むスピードが速い埼玉県では、健康寿命の延伸、医療費の削減を目指し、「埼玉県コバトン健康マイレージ」という全国初の施策を2017年度からスタート。楽しみながら町ぐるみで健康を目指す。平成31年度までに40万人の参加者獲得が県の目標。

1.フローと特色

県民が健康マイレージに申し込みをし、3つのデバイス(歩数計、スマホ、ウェアラブル活動量計)から好きなものを選択。デバイスを使って歩数を計測し、タッチポイント(協賛店などに設置)にあるタブレットにデバイスをかざす。歩数データが送信され、ポイントがたまる。ためたポイントに応じて商品が当たるなどのインセンティブがあり、自分の歩数やランキングが分かる。市町村や企業が住民や社員の健康増進に役立てることができる。

2.タッチポイント

各市町村が公共施設やコンビニエンスストア、駅などに依頼して設置(264か所)。企業協力の一環として、富士薬品のドラッグストア(20か所)、大塚ウェルネスベンディングの自動販売機(34か所)、ドコモショップ(73か所)にも設置している。また協賛企業はクーポン券などでも協力している。(SSF追記:10月からはコンビニエンスストア ローソン等の店内マルチメディア端末「Loppi」でも歩数計のデータ送信が可能となった。また、貯まったポイントで参加できる抽選の賞品の一つにドコモのdポイントが加わった。)

3.今後の展開

利用者の多いドコモのリソースを活用して加入者を増やしていく。継続して利用してもらうために、将来的には歩数だけでなく、食事や血圧などのバイタルデータを集め、より適切な健康アドバイスができるようにしていきたい。保険会社や金融機関との連携も目指す。埼玉県の健康マイレージをモデルケースとして確立し、将来的には全国展開にもつなげてみたい。

質疑応答

Q.(フロア)埼玉県のような施策を行っていない町に住んでいる場合、このようなウェアラブルを使った健康増進のサービスを受ける機会はないのか?
A.

(四元)ドコモでは事業者として一般の方が参加していただけるような仕組みをご用意している。「歩いてお得」というサービスアプリは月額300円で、歩いてポイントがたまるサービス。多くの利用者の方々に300円以上のメリットを感じていただいている。ポイントはローソンやマクドナルド、ドコモなどの店舗で使える。生命保険会社などでも同様のサービスを実施しているところがある。これらのサービスは自治体を介さずに利用できる。

Q.(フロア)身体を動かすのが好きではない人を巻き込むにはどうするべきか?経験上、手ごたえを感じている部分はあるか?
A.

(高橋)無関心層をどう取り込むかは大きな課題。たとえば、マイナースポーツに目を向けてもらう取り組みなどでは、誰かに連れて行ってもらい、初めてそのスポーツの魅力に触れたというケースが多い。誰かに誘われて参加し、チームを作る、そういった流れを作ることが有効ではないかと考える。