わが国のスポーツ予算の検証
~スポーツ予算とスポーツ基本計画~
- 調査・研究
© 2020 SASAKAWA SPORTS FOUNDATION
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スポーツ政策研究所を組織し、Mission&Visionの達成に向けさまざまな研究調査活動を行います。客観的な分析・研究に基づく実現性のある政策提言につなげています。
自治体・スポーツ組織・企業・教育機関等と連携し、スポーツ推進計画の策定やスポーツ振興、地域課題の解決につながる取り組みを共同で実践しています。
「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。
日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。
わが国のスポーツ予算の検証
~スポーツ予算とスポーツ基本計画~
本研究では、国が担うスポーツ政策全体の現状を把握、整理することを目的とし、次の3点から報告書を作成した。1点目は、国はどのような事業をどの程度の予算で実施しているのかについて過去3年度分を網羅的に把握している。2点目は、スポーツ基本計画に記載されたすべての具体的施策展開について、2014年度時点で国が実施しているどの事業が該当するのかについて確認している。3点目は、2017年頃に予定されているスポーツ基本計画の見直しに向けて、目標値や実態調査、特徴的な事業への指摘を行っている。
わが国のスポーツ予算は年々増加しているが、
「国際競技力の向上」に関する経費の増額の影響が大きい
わが国の近年のスポーツ予算の合計額は、2012年度が235億4,269万3,000円、2013年度が243億2,784万9,000円、2014年度が255億2,784万9,000円となっており、年々増加している。中でも「国際競技力の向上に必要な経費」の増加額が大きく、2012年度から27億円以上増加している。また、2013年度から予算化された「社会体育施設耐震化事業」(10億4,140万円)の影響も大きい。一方で「子どもの体力の向上に必要な経費」は2012年度が11億2,468万円、2014年度が11億3,360万5,000円とほとんど変化がない。「生涯スポーツ社会の実現に必要な経費」は2012年度が15億1,896万円、2014年度が22億3,578万1,000円であり、7億円程度の増額となっている。ただし、これは2014年度から「日本障がい者スポーツ協会補助」および「全国障害者スポーツ大会開催事業」の合計10億6,737万7,000円が厚生労働省から移管されたためであり、これらを除くと2012年度よりも減額となっている。
スポーツ基本計画に基づく今後の指針と実際の事業の対応状況をみると、
「競技スポーツ」では多くの事業が実施されているのに対し、
「生涯スポーツ」では実施されていない事業が多数見受けられた
2012年度にスポーツ政策立案の根拠となるスポーツ基本計画が策定され、「具体的施策展開」として今後の指針が示されているが、現在実施されている文部科学省の事業がどの「具体的施策展開」に該当するかを明らかにした資料は存在しない。本研究では独自にその照合を行い、一覧化した。
「具体的施策展開」に示された指針と文部科学省が実施するスポーツ関連事業との対応状況をみると、国が実施主体とされたものは多くが事業化され実施されていた。しかし、2014年度現在で実施されておらず、指針に対応する事業がないケースもあった。子どもの体力向上や若者・高齢者のスポーツ機会の拡充、地域住民のスポーツ環境の整備といった「生涯スポーツ」の分野で実施されていない指針が多く、国際競技力の向上、国際競技大会の招致・開催、ドーピング防止といった「競技スポーツ」の分野では実施されている指針が多かった。
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本事業は、ボートレースの交付金による日本財団の助成金を受けて実施しました。
スポーツ政策・予算
2014年度
公益財団法人 笹川スポーツ財団