プンチャック・シラットの歴史・発祥
プンチャック・シラットとは、現在のインドネシア・マレーシアを含むマレー世界発祥の1000年の歴史をもつ伝統武術であり、大小数百を越える流派が活動しているといわれる。素手・素足での攻撃を基本とするが、短剣や籐の棒などの武器を使う場合もある。また、上半身もしくは下半身のみに特化した動きではなく、体全体をバランスよく優雅に使うことも特徴の一つ。流派によっては、宗教実践や伝統芸能、人生儀礼や年中行事とも深く結びついている。
なお、プンチャック・シラットという語彙そのものは、1948年のインドネシア・プンチャック・シラット協会創設時に、民俗的な文脈で使われていたプンチャックとシラットの語を結合したものである。
プンチャック・シラットの概要
競技としてのプンチャック・シラットは大きく2つの部門に分かれている。一つはポイント制で勝敗が決まるフルコンタクトの試合部門。もう一方は規定の型(ダブルスは自由型)の完成度を競う演武部門である。
試合部門では、ポイントとなるターゲットエリアが小さいため、それを巡った攻防、脚をとる・投げる・倒すの駆け引きが見どころ。演武部門での動きは、一見無意味な踊りのように見えるものにも武術的な意味があり、相手がいることを想定した動きであることがポイント。
プンチャック・シラットのルール
試合部門の勝敗決定にはいくつかのケースがあるが、最も一般的なものは、ポイントの多いほうが勝つケースである。ポイントによる勝敗決定以外では、TKO、辞退、失格などがある。
1・手や肘を使った攻撃(殴る、ひじ打ちするなど)によって1ポイント獲得
2・蹴りによって2ポイント獲得
3・対戦相手が足の裏以外をマットレスにつくことによって3ポイント獲得
演武部門の規定型を競う個人及び団体種目では、3分間で100の動作を披露し、型の完成度と表現・理解によって、技術点と芸術点が評価される。自由型を競うダブルス種目では、3分間で披露する動作の完成度、創造性、表現によって、技術点・芸術点・表現点が評価される。
プンチャック・シラットのコート・用具
2.5~5cmの厚さをもつ緑色を基調とした10m四方のジョイントマット。
プンチャック・シラットの精神
プンチャック・シラットを学ぶことは、「稲の教え(イルム・パディ=実るほど頭を垂れる稲穂かな)」に象徴される。選手たちは皆、以下のような「誓い」を胸に、練習に励むという。
■プンチャック・シラット選手の誓い "Ikrar Pesilat"
・崇高な精神と品格を備える。
・同胞を尊敬し、友愛と平和を愛する。
・常に前向きに考え、行動し、創造性と力強さに溢れる。
・真実・公正・正義を守り、試練に立ち向かい、誘惑を跳ね返す。
・自身の言動に常に責任をもつ。
公式サイト
一般社団法人 日本プンチャック・シラット協会