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国際情報
International information

「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

知る学ぶ
Knowledge

日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

障害者スポーツの現状と課題-スポーツ実施場所・受け皿不足

「障害児・者のスポーツの日常化」の実現に向けて、国内の障害者スポーツ環境を、障害者スポーツ施設数、施設運営、利用者数、指導者(人材)、主催事業など、多角的な視点で調査。障害者が、身近な地域で運動・スポーツができる環境整備(場所・受け皿不足)が十分でない大きな課題が浮き彫りになりました。課題解決には、障害者スポーツ専門施設と周辺施設のネットワーク化、専門職のノウハウを地域の裾野に広げていくことが重要です。

大きな課題は障害者のスポーツ実施場所・受け皿不足

障害者専用・優先スポーツ施設数は増加傾向も…

国内で障害者が専用・優先的に利用できる「障害者専用・優先スポーツ施設」を2010年から調査。施設数は増加傾向にあり、2021年の最新調査では150施設と過去最多です。しかし、国内の障害者数は、身体障害児・者は約436万人、知的障害児・者は約109万人、精神障害者は約614万人、合計約1,160万人です(内閣府「令和5年版 障害者白書」)。地域差はあるにせよ、障害児・者が「運動・スポーツをやりたい」と思った時に、十分に対応できる環境が整備されていない現状(受け皿不足)は大きな課題です。

障害者専用・優先スポーツ施設数の推移(2010年~2021年)

障害者専用・優先スポーツ施設数の推移(2010年~2021年)

障害者専用・優先スポーツ施設の利用状況

2012年度から2019年度までの障害者専用・優先スポーツ施設の利用状況は、総利用者数は700~800万人、障害者の利用者数は250万人前後で推移。新型コロナウイルスの影響を受けた2020年度は、総利用者数が370万人、障害者の利用者数は98万人と半減しています。

障害者専用・優先スポーツ施設の利用者数の推移

障害者専用・優先スポーツ施設の利用者数の推移

地域の障害者スポーツをささえる指導者の実態

日本パラスポーツ協会(JPSA)公認パラスポーツ指導員は、初級2万1,699人、中級4,332人、上級900人と、合計2万6,931人が登録されています(2023 年12月31日現在)。都道府県では、有資格指導者の人材バンクとしてパラスポーツ指導者協議会が組織されるほか、パラスポーツ協会などが独自に養成・管理する障害者スポーツボランティア組織などもあり、障害者スポーツをささえていますが、指導者が十分に足りていない現状も課題の一つです。

障害者専用・優先スポーツ施設における障害者スポーツ指導に関わる有資格者の配置状況についてみると、「初級障がい者スポーツ指導員」を配置している施設は82.9%で、平均指導者数は3.7人でした。

障害者専用・優先スポーツにおける 障害者スポーツ指導に関わる有資格者の配置状況

障害者専用・優先スポーツにおける 障害者スポーツ指導に関わる有資格者の配置状況

障害者スポーツ施設・指導者不足の課題解決へ向けて

提言「地域の障害者スポーツセンターをハブとした施設ネットワーク化」

障害児者のスポーツ実施場所が整備されていない現状をどう解消するのか?施設を新しく建てるのは現実的ではありません。地域の障害者スポーツセンターが拠点となり、近隣のスポーツ施設や公共施設とネットワーク化を進め、障害者のスポーツ参加の受け皿(機会)を増やすことを提言しています。障害者スポーツセンターの専門職の指導ノウハウを周辺の公共施設の職員に拡げることで、障害者スポーツの課題である”施設と指導者不足”解消を目指します。

ハブ施設:都道府県単位で障害者スポーツの拠点(ハブ)として機能する障害者スポーツセンター
サテライト施設:地域の障害者専用・優先スポーツ施設や公共スポーツ施設
地域のその他社会資源:ハブ・サテライト施設以外で、公民館や福祉施設など障害者のスポーツの場となる施設

ハブ施設・サテライト施設・地域のその他社会資源とのネットワーク化のイメージ

ハブ施設・サテライト施設・地域のその他社会資源とのネットワーク化のイメージ

国内の障害者スポーツ環境に関する調査・研究

笹川スポーツ財団では、「障害児・者の運動・スポーツの日常化」「共生社会の実現」に向けた、国内の障害者スポーツにかかわる調査・研究を行っています。研究活動から得た結果を、政策提言として発表し、実現に向けて障害者スポーツ推進団体や自治体と共同実践研究も実施しています。

● 障害者専用・優先スポーツ施設に関する研究
● コロナ禍、東京パラリンピック後の障害者スポーツ環境の変化
● 障害者専用スポーツ施設のあり方・専門職が備えるべき能力
● 東京都障害者スポーツ協会や北九州市福祉事業団との共同研究
● 諸外国における障害者のスポーツ環境に関する調査 など


【研究担当者】
政策ディレクター 小淵 和也     

【お問い合わせ先】
公益財団法人 笹川スポーツ財団
TEL:03-6229-5300 MAIL:info@ssf.or.jp