チャレンジデーとは人口規模が近い自治体同士が毎年5月の最終水曜日に、15分間以上続けて運動やスポーツをした人々の参加率を競うカナダ生まれの世界的なスポーツイベントである。
日本では笹川スポーツ財団(以下、SSF)が1993年から主催しており、日本初開催となった加茂町(島根県)※1のチャレンジデーには4,973人が参加した。
22回目となった今年は118自治体から239万人が参加する、大きなスポーツイベントに成長した。
チャレンジデーの大きな特徴としてはスポーツの習慣化、住民の健康づくりや地域の活性化、スポーツによるまちづくりへの期待が挙げられる。
このチャレンジデーのルールやプログラムなどを活用し、新たなスポーツ振興プログラムを実施している例を紹介したい。
※1 加茂町は合併し現在は雲南市となった
少子高齢化による超高齢社会の到来は、すべての自治体が抱える悩みであり、「日本創成会議 人口減少問題検討分科会」(2014年5月8日)において、2040年までに日本の自治体の半分が消滅する可能性があると発表されている。※3
一方で2020年には東京オリンピック・パラリンピック大会の開催も決まり、スポーツへの関心も高くなっている。今回紹介した3つの事例は、地元への愛着の再認識と健康への意識づけという観点から、人口の流出や少子高齢化対策のヒントとなる可能性を秘めているのではないか。
秋田県では県内25自治体のうち、昨年、23自治体がチャレンジデーを実施。県民の53.9%が「チャレンジデー」を知っているとの回答結果※4がある。
近い将来、急激な高齢化の進行が予想される神奈川県は、2014年に心身を整え改善することで健康を維持する「未病を治すかながわ宣言」を発表した。医療・介護などの社会制度が崩壊する前に、県民の健康寿命を伸ばそうと「健康寿命日本一をめざす」取り組みが進められている。この取り組みのひとつに日常生活に運動やスポーツを取り入れる活動があり、チャレンジデーは趣旨が合致した事業ということで、黒岩祐治知事が自ら県内の自治体に呼びかけ、昨年は7自治体がチャレンジデーを実施した。今年も自治体数が増える見込みである。
毎年5月の最終水曜日に全国で一斉に開催されるチャレンジデーから、新たなスポーツ振興プログラムが生まれている。対戦による自治体間交流からこうしたプログラムの情報が広がり、多くの自治体が独自のプログラムを開発し実施することもチャレンジデーの成果である。国民が生涯を通じて、それぞれが望むかたちでスポーツを楽しみ、幸福を感じられる社会(スポーツ・フォー・エブリワン)の実現を目指し、未来に夢を描き行動するシンクタンクとして、引き続き進めて行きたい。
※3消滅可能性都市:少子化の進行に伴う人口減少により存続が困難になると予測されている自治体。出産可能年齢の95%にあたる20~39歳の若年女性人口に着目し、このまま人口移動が続いた場合、大都市圏などへの人口の流出が出生数を上回り、多くの地方都市で人口減少が続き、2040年までに若年女性人口が半減する自治体のこと。
※4「平成25年度 スポーツ立県秋田 全県体力テスト・スポーツ実態調査」