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「スポーツ・フォー・オール」の理念を共有する国際機関や日本国外の組織との連携、国際会議での研究成果の発表などを行います。また、諸外国のスポーツ政策の比較、研究、情報収集に積極的に取り組んでいます。

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日本のスポーツ政策についての論考、部活動やこどもの運動実施率などのスポーツ界の諸問題に関するコラム、スポーツ史に残る貴重な証言など、様々な読み物コンテンツを作成し、スポーツの果たすべき役割を考察しています。

新たな地域スポーツプラットフォーム「地域スポーツ運営組織(RSMO)」形成に向けた実践研究

~スポーツコミッションの分類とRSMOの形成に向けた検討~
新たな地域スポーツプラットフォーム形成に向けた実践研究

【特徴】

A「広域・行政型」B「広域・民間型」は、イベント等の「誘致」や「開催支援」を活動の中心としつつ、「セミナー・研修」や「地域産業の活性化」に関する事業を実施

C「地域・行政型」は、地域の資源である自然環境やスポーツ施設などを活用した、「誘致」「開催支援」の事業 を中心に活動。また活動費や事業費が予算化されている

D「地域・民間型」は「住民向け事業」が活動の中心。「人材育成・派遣」や「施設管理」「その他事業」に 取り組む組織が多い

研究ユニットメンバー 鈴木 貴大 コメント

しかしながら、現在、各組織が個別に活動をしており、団体・事業間の連携が十分に図られていないケースが多い。人口の高齢化や都市部への人口流出の課題を勘案すると、これまでのように各組織が個別に事業を展開しては地域スポーツの推進は立ち行かなくなると考えられる。そこで、「インナー政策」を担う体育協会、総合型クラブ、行政と「アウター政策」を担うスポーツコミッションが集結し、地域スポーツ事業がもたらす収入と域外ビジターの消費活動から得られる収入により自立した運営を行う「ハイブリッド型事業体」という地域スポーツ運営組織(RSMO)として、地域スポーツの環境を整備することが求められる。RSMOが中心となり、地域のスポーツに係るヒト、モノ、カネ、情報を集約し、共同事業を展開することで新たな地域スポーツプラットフォームが形成されるのではないだろうか。

笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 政策オフィサー 鈴木 貴大


ポイント解説

SSFの考える地域スポーツ運営組織(RSMO)の母体組織や「ハイブリッド型事業体」になり得る組織として期待が高まるスポーツコミッションの組織形態や活動内容の整理を行った。
得られた情報から、活動の主体を「行政主体」「民間主体」、活動の範囲を「広域」「地域」とし、スポーツコミッションを4象限マトリクス分析により形態別に分類した。

図1 スポーツコミッションの形態別分類

スポーツコミッションの形態別分類

図1で分類した象限は、以下のようにした。

  • 象限A…広域・行政型
    活動地域の範囲が複数の自治体に及ぶ行政主体の組織
  • 象限B…広域・民間型
    活動地域の範囲が複数の自治体に及ぶ民間主体の組織
  • 象限C…地域・行政型
    活動地域の範囲が単一自治体かつ行政主体の組織
  • 象限D…地域・民間型
    活動地域の範囲が単一自治体かつ民間主体の組織

活動の主体と活動の範囲に加え、各スポーツコミッションの活動内容を整理し、象限ごとの特徴を明らかにしたうえで、新たな地域スポーツ運営組織(RSMO)の形成に向けた検討を行った。

【RSMO―地域スポーツ推進をけん引する、新たなプラットフォーム】

地域スポーツ運営組織(Regional Sport Management Organization; RSMO)形成イメージ

地域スポーツ運営組織(Regional Sport Management Organization; RSMO)形成イメージ

  • RSMOにおいては、母体となる複数の組織の「人材」「マーケティング力」「財源」を最大限に活かすとともに、それぞれの長所や得意分野を地域全体の強みとして共有する場とする。これらの要素は、持続可能な事業体を目指す上で不可欠なものである。 ・ RSMOは、組織間のコーディネート役となり、地域スポーツの推進に必要な経営資源を集約し、適切に配分する機能をもつ。
  • RSMOの事務局運営者として、「地域スポーツ推進マネージャー」(仮称)を配置する。人材配置の手法として、地方創生人材支援制度(内閣府)における「日本版シティマネジャー派遣制度(※1)」「地方創生コンシェルジュ(※2)」や、観光庁「観光地域づくりマネージャー(※3)」を参考とした人的資源の活用や、民間企業との人材交流も有用である。
  • RSMOは、複合的な事業展開によりプロフィットを産み出す収益事業の実施を通じて自主財源を確保し、その収益を公益的なスポーツサービスに還元する事業体を目指すことで、組織の持続性と発展性を担保する。スポーツイベントや大会の開催、キャンプ・合宿誘致などから得られる利益を地域スポーツへ還元し、地域スポーツ推進の環境を整備するスキームをつくる。

※1 市町村まち・ひと・しごと総合戦略に記載された施策の推進のため、地方創生に積極的に取り組む市町村に対し、国家公務員や大学研究者などを首長の補佐役として派遣する制度。

※ 2 「地方版総合戦略」に沿って施策展開を進め、地方創生に取り組む地方公共団体に対し、当該地域に愛着のある国の職員が国の相談窓口を通じて対応・支援を行う制度。

※3 「観光地域づくりプラットフォーム」が目指すべき方向性について関係者との合意形成を行い、具体的な事業を担う者。観光庁の一定の研修を受けた者が登録され、基本的には民間人から選ばれる。

報告書

全文(PDF:2.41MB)

目次
  • はじめに -研究の経緯と目的-
  • 1. 先進事例としてのスポーツコミッション
  • 2. スポーツコミッションの取組・分類
  • 3. スポーツコミッションの活動事例
    (由利本荘市スポーツ・ヘルスコミッション、金沢文化スポーツコミッション)
  • 4. 地域スポーツ運営組織の形成に向けて
  • 参考文献

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本事業は、ボートレースの交付金による日本財団の助成金を受けて実施しました。

テーマ

スポーツによるまちづくり

キーワード
年度

2019年度

発行者

公益財団法人 笹川スポーツ財団

担当研究者
共同研究者
  • 藤岡 成美