日本人の生活実態を時間からとらえるデータブック
- 調査・研究
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日本人の生活実態を時間からとらえるデータブック
国民生活時間調査は、NHKが1960年から5年ごとに実施している調査で、今回の2010年調査が11回目となる。人びとの一日の生活を時間の面からとらえることによって日本人の生活実態を明らかにする調査であり、結果は社会的な基礎資料として各方面で広く利用されている。全国10歳以上の男女7,200人を対象とし、平日と土曜日、日曜日の睡眠や仕事、家事、スポーツをはじめとする余暇活動、テレビ視聴時間などの一日の時間の使い方が15分刻みで集計されている。サンプル数は曜日ごとに得られたものを全てあわせると、14,000にものぼり、私たちの生活の状況を把握するための貴重な資料である。
データを眺めていくと、現代の日本人の生活の様子や変化が浮かび上がってくる。スポーツに関する時間をみてみると、スポーツをしている人の割合は、全体で平日8%、土曜10%、日曜9%とどの曜日もおおむね1割程度であり、その平均時間は、平日1時間44分、土曜2 時間38分、日曜2時間40分で平日より土曜・日曜で長い傾向が示されている。年代別にみると、平日は男性の10代と60代以上で実施者の割合が15%と他の層に比べて高めであり、部活動などで青少年がスポーツを実施する様子や自由時間の多い中高年が運動・スポーツ活動へ積極的に参加する様子が垣間見える。また、スポーツ実施の時間を男女別にみた場合、いずれの曜日でも実施者の割合・時間量とも男性が女性を上回っている。女性は、炊事・掃除・洗濯といった家事に費やす時間が男性よりも圧倒的に長く、自由な活動にあてる時間が少なくなっていることが示唆される。
これらのデータを通して、生活習慣が多様化する現代においては、人々が生活の状況に応じてさまざまなスポーツの機会を選択できるような環境の整備が必要ではないかと考えさせられる。もともとはラジオやテレビの視聴時間を調べることを目的とした調査であるが、人々の行動を多角的に捉えていくために非常に有用なデータであり、あらゆる分野の方におすすめしたい。
(掲載:2011年11月29日)